「メッチャ叩かれたし」サウジ移籍を断り、フランクフルト残留 森保ジャパン集大成を飾るべく再始動した背番号10・堂安律の思いとは

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堂安はフランクフルト残留について「いろんな人に話を聞きながら選んだ道」だと語った(C)産経新聞社

 2027年アジアカップ(サウジアラビア)に向け、9月21日から再始動するはずだった森保一監督率いる日本代表。だが、ご存じの通り、台風25号の影響で初日に全体練習が中止となり、いきなり出鼻をくじかれる状況となった。

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 心機一転、迎えた22日の2日目。午前中に冨安健洋(クリスタルパレス)の負傷辞退が正式決定。午後のトレーニング開始前には鈴木彩艶(アストンビラ)がわき腹痛で別メニュー調整となることが明らかにされ、チームにさらなる暗雲が漂った。

 それでも29人の選手たちが全体練習に参加。2026年北中米ワールドカップ(W杯)でエースナンバー10を背負い、この先も10番継続が決まった堂安律(フランクフルト)もコンディションのよさをアピール。ゲーム形式ではこれまでのベースだった右ウイングバック(WB)よりも、右シャドーでプレーする時間が長かった。

「ワールドカップ中はメディアの前ではあまり口に出してはいなかったですけど、シャドーでよりゴールに絡む仕事を増やしたいというのは自分自身、大会が終わってから非常に考えたこと。頭の中を整理したつもりですし、フランクフルトでも今、中でプレーしているので、楽しくイキイキできていて、いい感覚はあります」と本人は本来の野心溢れるアタッカーとして森保体制の集大成を飾ろうと考えている様子だ。

 W杯後にはサウジアラビアのアル・イテハド移籍が本決まりになりかけたが、最後の最後で破談になった。それに対しても本人は初めて言及し、「行ってもないのにメッチャ叩かれたし」とまず苦笑。「いろいろ考えました」と話を切り出した。

「冗談で叩かれたみたいに言いましたけど、叩いているやつらの何百倍も僕は考えているんで。自分のキャリア、自分の人生なんで、彼らが思いつくことなんて僕の頭の中にはあるし、そこは全部整理したつもりです。僕はあんまり相談するタイプじゃないんですけど、今回はいろんな人に話を聞きながら選んだ道でもあるんで。『お前が日本を背負うな』とか『10番つけるな』とか言われたんですけど、逆に全部背負ってやろうと思います」とまさに堂安らしい物言いで、ネガティブな声をエネルギーに変えようと決意。今季のフランクフルトと日本代表活動に意気揚々と向かっているという。

「1つ言えるのは、この決断をした後の自分の頭がすごいスッキリしているということ。W杯が終わった後、プレシーズンをやってる時も『なんかスイッチ入らへんな』と思ってた中で、悩んだ時間があったんで、決断した後はすごくスッキリして、今、また楽しくサッカーができています」と彼は非常にポジティブな状態を取り戻した模様。これは指揮官にとっても、代表チームにとっても非常に心強い要素ではないか。

 そもそも堂安は、森保監督が日本代表を率いるようになって最初に抜擢した若手だった。2019年アジアカップ(UAE)では冨安とともに最初から最後まで起用し続け、覚悟を持って育てようと仕向けた人材だ。

 その大会で準優勝に終わり、2024年アジアカップ(カタール)でも8強で敗退した悔しさを味わっている。それをバネに3度目の大舞台で頂点に立ってこそ、堂安のさまざまな紆余曲折が報われる。森保監督に優勝をプレゼントし、自分の価値をもう一段階引き上げるべく、今回の9・10月シリーズでは「新たな10番像」を強烈に印象付けてほしい。そう本人も自覚したうえで、24日の初戦・ウルグアイ戦(宮城)に挑んでいくはずだ。

[文:元川悦子]