飾り気のない素直な笑顔や人間味で視聴者を魅了する鈴木奈穂子アナウンサー(写真:本紙写真部)

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NHKの“朝の顔”として活躍する鈴木奈穂子アナウンサー(44)。『あさイチ』の3代目女性MCに就任して丸5年が過ぎ、6年目に突入した今、番組への深い愛と博多華丸・大吉コンビへの絶大な信頼を明かす。

■タイムキープの冷や汗と、インゲンがアスパラに化けた爆笑ハプニング

生放送ならではの失敗談やハプニングも、チームの絆を深めるスパイスになっている。

「タイムキープは私の大事な役割なのですが、過去に、放送終了時間を間違えてしまったことがあります。何を勘違いしたのか、放送終了の1分前に番組を締めるコメントをしてしまったんです。

その日出演されたゲストに、キラキラの笑顔で『今日も1日元気に頑張りましょう!』とカメラ目線で決めてもらったのに、なぜか番組が終わらない……。大吉さんに『あと1分ありますよ』と言われて、頭が真っ白になりました」

絶体絶命の1分間。しかし、ここからのスタジオの対応力が『あさイチ』の真骨頂。

「大吉さんと華丸さんがすかさず『じゃああと1分、何喋りましょうかね?』『後ろのボードでも見せましょうか』と抜群のチームワークで引き取って、笑いに変えながらつないでくださったんです。あの1分は本当に長く感じたし、結果として、生放送ならではのチーム対応力を実感した出来事でもありました。

最近も、残り20秒ほど時間が余ってしまったことがあったのですが、もう5年以上ご一緒している信頼の華大さんがいるので『ちょっと時間が余っちゃいました』と正直に言っちゃいました(笑)。

その時もお二人がツッコミを入れてくれて、ワイワイ楽しく終われました。今はもう、万一の際もチームで冷静に対応できる安心感があります」

ある日の放送では、クスッと笑えるハプニングも。

「“インゲンの肉巻き”を紹介する回で、いざ完成品が出てきたら、中に入っていたのがアスパラだったことがあって。視聴者から『これ、アスパラじゃないですか?』と鋭いご指摘をいただいて、本番中に『先ほど、インゲンで作るところをアスパラで作ってしまいました』という、珍しいタイプの訂正を入れました(笑)。

スタッフ同士のちょっとした伝達ミスだったのですが、スタジオは大爆笑。大吉さんが『でもアスパラで作っても美味しいよね』とフォローもしてくれて、温かい空気に包まれました。普段から、間違えてはいけない情報やコメントをしっかりと伝えるという大前提があって、そのうえで、時折起きる小さなハプニングをみんなで笑い合えるのが、この番組が愛される理由だなと思います」

■台本なし、空気感にゆだねる“朝ドラ受け”の裏側

多くの視聴者が楽しみにしている鈴木アナの表情豊かな“朝ドラ受け”。毎回注目されているがプレッシャーはないのだろうか。

「不思議とプレッシャーは感じていないです。よく『朝ドラ受けに台本はあるの?』と聞かれるのですが、台本には『朝ドラ受けなど』と1行書いてあるだけ。3人の間で『今日はこういう受け方にしよう』といった事前の打ち合わせは一切ありません。基本的にはすべてその場のアドリブで、本番の空気に委ねられています。

日々の朝ドラ受けを積み重ねていく中で、私はドラマを観て感じたことを率直に話す役割。華丸さんが細かい演出への考察やツッコミを入れ、最終的に大吉さんが綺麗にまとめて引き取ってくれる。その絶妙なバランスがあるのかな、と感じました。このバランスと安心感があるからこそ、時に涙することもあるのだと思います」

スタジオでの視聴ルーティンにも、朝ドラ受けへの強いこだわりが隠されている。

「実は華大さんも私も、朝7時30分からのBS放送をそれぞれの楽屋などで一度見ています。さらに8時からの総合テレビの放送をスタジオのモニターで見ています。つまり、ほぼ2回見ているんです。だからこそ、華丸さんも細かい所まで考察ができるんですよね。

オープニングの位置に3人が集まるのは本番の2分前。それまではモニターの前で、主に私と華丸さんで『これは何かの伏線じゃないですか?』『この人、なんでこんなこと言うんだ!』などと、視聴者に近い目線で率直に意見を交わしています。

だから本番が始まったときは、完全にドラマの世界に入り込んだ状態でスタートしているのかもしれませんね」

“朝ドラ受け”でとくに印象に残っているのは、やはり『カムカムエヴリバディ』(2021年11月25日放送)で、ヒロインの父、橘金太(甲本雅裕さん・61)が亡くなった回だ。 番組冒頭から鈴木アナが号泣し、大きな反響を呼んだ。

「あの日は確か、夢なのか現実なのかよくわからないシーンから最後にナレーションで金太が亡くなった事を伝えて終わる回で。放送が始まったというのに感情を抑えることができませんでした。

アナウンサーとしての賛否はあったと思いますが華大さんがびっくりしながらも瞬時にフォローしてくださり、ゲストのIKKOさん(64)も『まぼろし~~!』とうまくつないでくださいました。IKKOさんには本番終了後にお礼を言いに行ったことを覚えています。

あの温かいチームワークがあるからこそ、自然な反応を受け止めてもらえるのかもしれません」

■「鈴木のあーめんどくさい」コーナーから、これからの『あさイチ』へ

番組の人気コーナー『鈴木のあーめんどくさい』が生まれた経緯も、鈴木アナの飾らない人柄がきっかけであった。

「就任直後の最初のロケで、焼売を簡単に包む技を紹介したんです。1、2個やったら終わりかと思ったら、スタッフから『じゃあその方法で20個全部包んでください』と言われて、思わずポロッと『あー、面倒だね』って口に出しちゃって。それがそのままオンエアされて、スタジオゲストのいとうあさこさん(56)たちから『やりなさいよ、それくらい!』って突っ込まれたのを覚えています。

それを面白がったスタッフが、その後『コーナーにしませんか』と提案してくれました。あさイチでこんな風に自分のコーナーも出来た事で気づいたのは、私は、何かする前に『あー面倒だ!』と声に出すことが、実は次の行動への原動力になっている、ということでした」

最近も、洗濯物をたたむことや、子どもの送り迎えのために日焼け対策をして外に出る準備をすることなどに毎回「あー面倒だ!」と声に出しながら、毎日必死に家事と育児をこなしているという。

最後に、鈴木アナにとって共演する博多華丸・大吉さんの存在、そしてこれからの『あさイチ』への思いを聞いた。

「お二人と共演できているからこそ、今こうして楽しく番組にいられるのを実感しています。大吉さんはとても視野が広く、どんな立場の視聴者にも寄り添う視点を示してくれます。進行面でもアイコンタクトで支えてくれる信頼感抜群の存在です。

華丸さんはご自身のことを、会話にちゃちゃを入れる『ちゃちゃ丸』とおっしゃるのですが、いつも台本にはない鋭い問いかけやツッコミが、番組に新しい風を吹き込んで、空気をガラッと変えてくれます。

いまお二人とお仕事ができるこの期間は、私の人生において本当に大きな財産です。 それぐらい『あさイチ』は大切な番組なので、次の節目となる10年を目指して、これからもずっと続けられたらいいなと思いますね。

そして、もし私がいつか担当を離れたとしても、視聴者の皆さんの声がダイレクトに届き、気持ちを共有し合えるこの貴重な双方向番組が、NHKでずっとずっと続いていってほしいと心から願っています」

【PROFILE】

鈴木 奈穂子(すずき なおこ)

神奈川県横浜市出身。2004年にNHKに入局。高松、松山放送局を経て東京アナウンス室へ。これまで『NHKニュースおはよう日本』『ニュースウオッチ9』『NHKニュース7』など、同局を代表する報道番組のメインキャスターを歴任。確かなアナウンス技術と安定感で信頼を集める。2021年4月より朝の情報番組『あさイチ』の3代目女性MCに就任。番組での自然な進行で、幅広い世代から、親しまれている。