「昨日の美味い肉は奥さんだったのか」『三國志』の劉備が感動して涙…中国史で“忠義の美談”とされた人肉食の真実

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皆さんは焼肉はお好きですか。カルビやロースもいいですが、独特の風味の羊肉も美味しいですよね。
ところで中国の歴史書、特に飢饉や戦争の記録を読むと、ある奇妙な食材の名前が頻繁に登場します。その名は「両脚羊(りょうきゃくよう)」。漢字の通り「二本の足で歩く羊」、つまり人間のことです。中国四千年の歴史には、激しい飢餓を女性や子ども、老人の肉を食べてしのいだ、想像を絶するサバイバルの記録があるのです。

そんなおぞましくも悲しい歴史を、チャンネル登録者数14万人超えのYouTube「すずゆうチャンネル」を運営する大人気予備校講師・鈴木悠介先生に聞いてみました。

※本記事は『R18世界史』から一部抜粋、編集したものです。

◆食人地獄と劉備の涙

恐ろしいのは、極限状態の人肉食が正義や忠義として美化されていた点です。

唐の安史の乱における武将・張巡(ちょうじゅん)の籠城戦がその代表例です。城の兵糧が尽きると、張巡はなんと自分の愛妾を殺し、肉を飢えた兵士に食べさせました。

将軍の覚悟に兵士は感動して奮い立ちます。しかしそれも尽きると、今度は城内の女性、老人、子どもの順に殺して食べました。記録によれば食べられた非戦闘員は数万人に及びます。現代の感覚では正気の沙汰ではありませんが、当時の歴史書はこれを「国家への究極の忠義」として大絶賛しているのです。

実際、両脚羊には次のような”肉のランク“がありました。

(イラスト左から)
【不羨羊(ふせんよう)】
「羊肉より美味い」という若い女性の肉。最高級。

【和骨爛(わこつらん)】
骨が柔らかく調理もしやすい子どもの肉。中級。

【饒把火(じょうはか)】
煮ても焼いても硬くて不味い老人の肉。最低級。

あの『三国志』にも、背筋の凍る話が隠されています。

劉備(りゅうび)が敵から逃亡していた時、ある猟師の家に泊まりました。猟師は劉備を尊敬していましたが、貧しくて肉がありません。そこでなんと自分の妻を殺して料理し、「オオカミの肉です」と偽って彼に食べさせたのです。

翌朝、劉備が台所を見ると、肉が削ぎ落とされた女性の遺体がありました。「昨日の美味い肉は奥さんだったのか……!」と、劉備は激しく感動し涙を流しました。現代なら猟奇事件ですが、物語では「妻を殺して主君をもてなした素晴らしい忠義」として美談にされています。当時の価値観では、妻や子どもは男の忠義や野望を成立させるための資源でしかなかったのです。