GⅡオールカマー(中山・芝2200m)が9月20日に行なわれる。この先の大舞台、GⅠ天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)や、GⅠエリザベス女王杯(11月15日/京都・芝2200m)、GⅠジャパンカップ(11月29日/東京・芝2400m)などを見据えた実力馬、実績馬が秋の始動戦として選ぶことの多い一戦だ。

 そのためか、トリッキーなコースであるにもかかわらず、手堅い決着で収まっている印象が強い。事実、過去10年で1番人気は4勝、2着2回とまずまずの成績を残しており、3連単の配当が10万円超えとなったのは一度しかない。そうした状況を受けて、研究ニュースの藤田浩貴記者もこう語る。

「馬連も、過去10年で万馬券が出たのは一度だけ。1、2番人気がともに連を外したのもわずか2回と、比較的平穏な、波乱の少ないレースと言えます」

 そうなると、今年も連覇を狙うレガレイラ(牝5歳)が中心となり、"荒れる"可能性は低いかもしれない。

 だが、過去10年で連覇を遂げた馬はおらず、複数回連対している馬もいない。加えて、週末は雨予報。今週はぐずついた天気が続いていたことを考えても、渋化馬場になるのは濃厚で、レガレイラにとっては明らかにマイナスとなる。藤田記者もその点に目を向けて、こんな見解を示す。

「昨年同様、ここから始動するレガレイラ。昨年から斤量が1kg減となり、相手関係も手薄なことから、崩れることは考えにくいです。とはいえ、重箱の隅をつつくようなものですが、道悪になった場合には不安があります。実際、やや重と重馬場では計3戦して、すべて馬券圏外。馬場悪化となれば、伏兵の出番も十分にあると思います」

 また、人気の一角となるコスモキュランダ(牡5歳)も、3歳時にGⅡ弥生賞(中山・芝2000m)を制してGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)で2着、昨年のGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)でも2着と好走するなど中山巧者のイメージが強いが、昨年のオールカマーでは8着に沈んでいる。全幅の信頼を置けるほどの存在とは言えない。

 ならば、今年は波乱が起こっても不思議ではない。そこで、藤田記者は大駆けが期待できる伏兵候補2頭をピックアップした。

「1頭目は、パンジャ(牡5歳)です。前走で3勝クラスのサンシャインS(4月19日/中山・芝2200m)を勝ったばかりで今回は昇級初戦となりますが、晩成型で、ここに来て本格化の兆しを見せています。


オールカマーでの一発が見込まれるパンジャ photo by スポーツ報知/アフロ

 なにしろ、これまでは時計勝負や瞬発力勝負では分が悪かったのですが、前走ではトップハンデを背負いながら、狭いところを割ってきて快勝。上がり33秒6の末脚を駆使して、鮮やかな差し切り勝ちを決めたことはその証明です。

 この中間の調教でも、美浦のCWコースで終(しま)い11秒1をマーク。鋭い動きを見せていて、前走あたりからパワーアップしていることがうかがえます。

 さらに、天気が崩れそうなのもプラス材料。ゴールドシップ産駒で荒れ馬場は不問です。先週同様、渋った馬場でのレースとなれば、大きくパフォーマンスを上げてくるでしょう」

 藤田記者が注目するもう1頭は、ヴーレヴー(牝4歳)だ。

「1200m戦からキャリアをスタートさせたように、当初は前進気勢にあふれたスピード馬でした。それが、古馬になって気性面がマイルドになったことで、距離の融通が利くようになっています。

 現にここ2戦は、オープン特別の巴賞(7月12日/函館・芝1800m)1着、GⅢクイーンS(8月2日/札幌・芝1800m)3着と、中距離戦で連続好走。滞在の効果があったにせよ、前に壁を作らなくても我慢の利いた走りを見せたことは、成長の証と見ていいでしょう。

 血統的にも、母の父マンハッタンカフェ、父サトノクラウンと、さらなる距離延長にも対応できる下地があります。道悪馬場も得意なうえ、過去10年で勝率、連対率が最も高いのが4歳牝馬というデータも、同馬の激走を予感させます。

 鞍上は、手が合う吉田隼人騎手。折り合いを欠くことなく、リズムよく運ぶことができれば、面白いですよ。一発への期待が膨らみます」

 やや重の馬場で行なわれた先週のGⅡセントライト記念は、12番人気のジャスティンシカゴが勝利。波乱の決着となった。今週も馬場悪化となれば、再び人気馬が不発に終わって、"荒れる"可能性は大いにある。

土屋真光●文 text by Masamitsu Tsuchiya