マクラーレン、5億ポンドの事業拡大計画を発表(前編) 「パフォーマンスSUV」投入も確定 英国に新工場建設
ついに明かされたマクラーレンの将来像
マクラーレンは今後数年のうちに、英国で高性能SUVの生産を開始する。5億ポンド(約1000億円)の大規模な投資によって新しいモデルラインナップを構成し、新工場の建設と生産台数の大幅増、そして全体で4000人の雇用創出が見込まれる。
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マクラーレンは2025年初頭にEVスタートアップのフォーセブンと合併し、事業とラインナップの拡大計画を示唆していたが、具体的な将来像についてはまだ明らかにしていなかった。

マクラーレンは新体制を構築し、事業拡大に向けた大きな一歩を踏み出す。
今回、マクラーレンはアブダビの政府系投資会社L’IMADからの投資を受けることを正式に発表し、今後の変革についての新たな詳細を明らかにした。また、かねてより噂されていたSUVモデルの導入も確認した。その車両はカーボンチューブフレームを採用する可能性があり、将来的には他のフロントエンジン搭載モデルも登場すると期待される。
AUTOCARのインタビューに応じたマクラーレンの最高執行責任者(COO)、マイケル・ストラウガン氏は、今回の発表内容について詳しく説明し、戦略の確固たる姿勢を示した。
「今後約10年を見据えたロードマップがあり、それがわたし達に確かな自信を与えてくれています。成長計画と、目標達成に向けた具体的な展望も持っています」
「これは空虚な言葉ではありません。確固たる計画であり、わたし達は当然のことながら、その計画に基づいて成果を問われることになるでしょう」
英国での生産体制を大幅強化
マクラーレンの新たな親会社となったのがL’IMADであり、最近CYVNホールディングスを吸収合併した。CYVNホールディングスは2024年末にバーレーンの政府系ファンド、ムムタラカットからマクラーレンを買収し、直ちに傘下のフォーセブンと合併させていた。L’IMADによる5億ポンドの資金注入は、マクラーレンの将来に向けた「より大きなコミットメント」の一環とされているが、今後の投資規模については一切明らかにしていない。
この資金は、将来のモデル開発や英国における生産体制の拡大に充てられる。主に、2025年に約2000台を生産した英国サリー州ウォーキングのマクラーレン・プロダクション・センターを補完するため、第2の組立工場を新設する計画だ。

英国サリー州ウォーキングにあるマクラーレン本社
新工場の建設予定地については未確認だが、「次世代のマクラーレン・オートモーティブ車が英国で生産されることを確実にする」ための計画だという。そこには、2030年までの発売に向け開発中のSUVモデルも含まれる。
ストラウガン氏は、新たな車種セグメントへの進出に伴い、追加の生産能力が必要になると説明した。
「もはや、リアエンジン・後輪駆動車だけにとどまることはありません。将来的にはフロントエンジン車や、四輪駆動、あるいは後輪駆動車も登場するでしょう。1本の組立ラインだけでは非常に困難であるため、別の組立ラインが必要となります」
パワートレインを自社開発・生産
また同氏は、英国の他メーカーの工場内に生産ラインを設ける予定はないと述べた。「少量生産は大手メーカーの大量生産にとって大きな支障となる」ためであり、新工場はマクラーレン専用に建設されることになる。
ウォーキングにある本社工場や、シェフィールドにあるカーボンファイバー生産工場も拡張される予定だ。

マクラーレンW1
特に重要なのは、マクラーレンが初めてエンジンの開発と生産を自社内で行うことだ。これまではすべてのロードカー用エンジンを外部から調達していた。主な調達先は英国のエンジニアリング企業リカルドであり、同社は2011年の『12C』以来、すべての主力モデルにエンジンを供給してきた。
自社開発の第一弾となるのが、2種類のエンジンとそれに対応するトランスミッションだ。マクラーレンは技術仕様については言及していないが、「当社のハイブリッドエンジン戦略」を支えるものになると述べている。
新型車、生産体制、開発プログラムにより、マクラーレン社内および周辺で「少なくとも」1000人の雇用が創出され、その結果としてサプライチェーン全体でさらに3000人の雇用が生まれると見込まれている。
販売の主力となる「SUV」投入へ
今回の発表における注目ポイントの1つは、待望のSUV開発計画だ。フォーセブンとの合併より何年も前から検討されてきたものであり、高級車市場シェアの拡大を牽引することが期待されている。
マクラーレンは、SUVをラインナップに持たない「最後」の高級スポーツカーメーカーだ。近年、フェラーリ・プロサングエ、アストン マーティンDBX、ランボルギーニ・ウルスなど、ライバル各社が車高の高い5ドアモデルで販売台数を拡大している中、マクラーレンはスーパーカーに注力してきた。

マクラーレンはこれまでミドシップのスーパーカー/ハイパーカーに注力してきた。
フォーセブンとの合併後、同社は創業以来専ら生産してきたミドシップ・スーパーカー以外のモデルラインナップを拡大すると公約していたが、今回初めて「パフォーマンスSUV」の開発計画が明らかになった。
自社開発のハイブリッドパワートレインを搭載し、2030年までに発売される予定で、DBXやプロサングエのライバルとなるだろう。
SUV開発はどれくらい進んでいる?
ストラウガン氏はAUTOCARに対し、SUVはミドシップのスーパーカーと同様にカーボンファイバー製モノコック構造を採用することで、マクラーレンの伝統を受け継いでいく可能性もあると明かした。
「これは現在議論している課題の1つです。これまで誰もこうした試みをしたことがないからです。このタイプの他のSUVはすべてアルミニウム製であり、将来どのようなボディ構造にするか、現在いくつかの選択肢を検討しています」

マクラーレン750S
「もしその方向(カーボンモノコック)に進めば、世界初となるでしょう。非常に特別なものとなるはずです」
ストラウガン氏は、カーボンファイバー製モノコック構造を採用する場合、「克服しなければならない課題」が複数あることを認めた。例えば、乗り心地、コスト、修理のしやすさへの影響などだ。それらを踏まえた上で、「どの道を進むべきかについて、現在非常に興味深い議論が行われている」という。
こうした議論の内容から、SUVの開発はまだ初期段階にあるのかとの記者の質問に対し、ストラウガン氏は「その通りです」と答えた。
(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます)

