ブラックインターンの体験を明かす女子学生

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 「ブラックインターン」と呼ばれる被害が全国の大学で報告されている。

 インターンシップ(就業体験)に参加した学生を指導することなく、安価な労働力として使うケースが目立つ。大学は慎重な企業選びを呼びかけている。(新美舞)

単純作業ばかり

 都内私立大の4年生の女子学生(22)は3年生だった昨春の3か月間、就職支援会社でインターンに参加した。長期の就業体験をしている友人も多く、「自分はサークルやアルバイトで特に活躍していない。就活でのアピールポイントがない」と焦っていたという。

 募集要項には「マーケティングに携われる」とあったが、実際はリストを基に電話をかけ、学生に就職相談を勧める内容だった。変だと思ったが、「就活のエントリーシートに書くには3か月は必要」というSNSの体験談を信じて、我慢した。

 時給1300円のはずが、実際には個別面談の参加者数に応じた成果報酬型。週3日、3~4時間ずつ働いても月に約5000円で、時給にすると100円ほど。女子学生は「単純作業だけで、学びは何もなかった。就活にはまったくつながらなかった」と憤る。

「ネズミ講みたい」

 九州の大学に通う3年生の女子学生は今春、学生が実施する就活勉強会に参加した。だが、実際には企画した学生は就職支援会社のインターンで、業務の一環として、学生たちを集めていた。同社社長が「君たちの大学では就活の勝ち組になれない。我が社の長期インターンで学べば、大手企業に就職できる」と呼びかけた。

 女子学生が長期インターンに参加を決めると、就活イベントを企画するよう指示されたという。集客ノルマもあり、周囲に声をかけたところ「ネズミ講みたいで怪しい」と、離れていった友人もいた。

 企画書や報告書の提出を求められることも頻繁だった。精神的に追い詰められた女子学生は大学に通えなくなり、就活も休止中という。

「差をつけたい」と参加

 就職戦線は学生有利の「売り手市場」とされる。だが企業規模別にみると、様相は異なる。人材サービス大手のインディードリクルートパートナーズによると、今春卒業した大学生などの求人倍率は従業員300人未満の企業の8・98倍に対して、従業員5000人以上では0・34倍。大企業への就職は「狭き門」だ。

 「周囲と差をつけたい」と、長期インターンへの参加が増えている。同社の調査では、今春卒業生の7%が「2か月以上」のプログラムに参加し、2年前の3倍強となった。

 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子所長は「売り手市場で保護者からの期待も大きい中、就活には正解がなく、学生は不安を抱えている」と分析。「サークルやアルバイトでも多くの経験や学びを得られる。長期インターンにこだわる必要はない。目的やどんな経験を積めるかをよく考え、調べてから参加を決めてほしい」と話している。

「労働者」なら賃金発生…申し込み時に確認必要

 大東文化大(東京)では今年度、学生からのブラックインターンに関する相談が例年よりも増えているという。ホームページに「単純作業」「極端な低賃金」といった典型例を掲載し、注意を呼びかけている。

 中央大(同)も「学生を単なる労働力として扱う企業もある」として、不安な時はキャリアセンターなどに相談するようホームページに記載している。

 労働問題に詳しい鯵坂和浩弁護士によると、インターンとして契約しても、単純作業や雑務が業務に組み込まれているなど、学びの機会が少ない場合は労働者として扱われ、企業には適正な賃金や残業代の支払い義務が発生する。「『やりがい』などの言葉に惑わされずに、職務内容を具体的に確認する必要がある。契約の際は一度持ち帰って確認するべきだ」としている。