内定もらったと思ったのに… ※画像はイメージです(しろたく/photoAC)

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30代男性のAさんは、ようやく希望の会社から内定をもらい転職活動を終えた。そして新たな勤務先へ期待を胸に初出勤する。しかしそこで担当者から言われたのは「あなたを採用した覚えはありませんよ」という衝撃的な言葉だった。

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内定を受けた経緯を説明しても話はかみ合わず、その日は働くこともできないまま帰宅することに。もし本当にこのような事態が起きた場合、Aさんは泣き寝入りするしかないのだろうか。べリーベスト法律事務所の齊田貴士さんに話を聞いた。

ーこのようなトラブルに遭った場合、まず何をすべきでしょうか?

まずは会社に対して「採用した覚えがない」とした理由や、今後の扱いについて、メールなど記録が残る形で確認しましょう。

同時に、内定通知書や採用担当者とのやり取りなど、採用に関係する資料を保存しておくことも大切です。

会社との話し合いで解決しない場合や、有効性について判断が必要な場合は、労働問題を扱う弁護士や労働局の相談窓口に相談することをおすすめします。

ー内定を受けた時点で、法律上はどのような状態になるのでしょうか。

採用内定通知のほかに、労働契約締結のための手続きが予定されていない場合、募集に応募することが労働契約の申し込み、採用内定通知がその承諾に当たります。

ただし、契約に基づいて働き始めるのは入社日からです。また、、以下の2つの要件を充足される場合には企業側が契約を解約できるとされています。

①採用内定当時において知ることができず、また知ることが期待できないような事実を理由とすること

②内定取消しが解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的であり、かつ社会通念上相当として是認できること

厚生労働省も、採用内定通知のほかに労働契約を結ぶ予定がない場合、内定によって労働契約が成立するとしています。

ー初出勤日に「採用した覚えはない」と言われた場合、会社は法的責任を負う可能性がありますか。

内定によって労働契約が成立していた場合、会社が一方的に内定を取り消すことは、解雇と同じように扱われます。

労働契約法第16条では、解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、権利を濫用したものとして無効としています。

最高裁も、採用内定を取り消せるのは、内定時には知ることができなかった事実などを理由とし、社会通念上相当と認められる場合に限られると判断しています(最高裁昭和54年7月20日判決 大日本印刷事件)。

そのため、会社側の手続きミスや「採用した覚えがない」という理由だけで、内定をなかったことにはできません。

ー内定通知書やメール、採用連絡などは証拠になりますか?

内定通知書や採用を知らせるメール、入社日や勤務条件についてのやり取りなどは、会社から採用の意思を示された証明になります。

トラブルになった場合に備え、メールやメッセージは削除せず、内定通知書などと一緒に保管しておくことが大切です。

ー会社の手続きミスだった場合でも、補償を求めることできますか?

会社側の対応が違法な内定取消しに当たる場合は、損害賠償などを請求できます。ただし、請求できる内容や金額は、内定の成立状況や会社側の対応、本人が受けた損害などによって異なります。

その他、従業員としての地位確認の訴えとあわせて、権利濫用による解雇で就労できなかった期間中の賃金支払い(バックペイ)を請求することもできます。

◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士
中央大学法学部を卒業後、神戸大学法科大学院を修了。東京高等裁判所の裁判所事務官を経て司法試験に合格し、司法修習を経て弁護士となる。現在はベリーベスト法律事務所に所属し、幅広い分野の案件を取り扱う。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)