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限定生産部門「ボッテガ」による「ルナロッサ」

イタリアの歴史深いブランド、アルファ・ロメオ。同社が新たに立ち上げた限定生産部門「ボッテガ・フオリセリエ」には、特別感の強い仕様でマニアへ訴えるという重要な役目がある。先日試乗したアルファ・ロメオ 33ストラダーレのような、独自性の高い高額モデルとは別に、既存モデルをベースにした少量生産の限定仕様も展開される。

【画像】圧倒的アナログ感 ジュリア・クアドリフォリオ「ルナロッサ」 ベース仕様と1960年代のオリジナル、33ストラダーレも 全138枚

これにはマセラティも含まれるが、シリーズ第1弾として投入されたのが、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオの「ルナロッサ」。同社は、アメリカズカップを戦うイタリアのヨットチームの、技術パートナーという立場にあるのだ。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)

ヨットレースにちなんだ、特別仕様は珍しいものではない。ボルボは、以前からオーシャンレース・リミテッドを提供してきた。2017年にはBMWも、フィンランドのヨットチームにちなんだ7シリーズを発売している。

目を引くアグレッシブなエアロキット

ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサは、専用エンブレムやボディトリムで仕上げられるだけではない。何より目を引くのが、アグレッシブなエアロキット。アルファ・ロメオによれば、歴代で最も空力性能の良いクアドリフォリオだという。

フロントバンパーのカナードにアンダーボディ・パネル、サイドスカートのフィン、パガーニ・ゾンダを彷彿とさせる両サイドのリアウイングで、空気抵抗を低減。ダウンフォースは増強され、300km/h時で140kgになるという。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)

塗装はマットシルバーで、マットブラックの切り返しが逆三角形のグリルから続く。これは、ヨットの甲板をイメージしたものだとか。ちなみに、生産数は10台のみ。試乗車はプロトタイプの0番だったが、既に完売しているそうだ。

ヨットチームへちなんだ別仕立てのインテリア

インテリアでは、サイドサポートの高いスパルコ社製カーボン・バケットシートが、ライフジャケットから着想を得たクロスで包まれる。シリアル番号が記された、ダッシュボードの化粧パネルには、ヨットの帆と同じ素材が用いられる。

プロトタイプのためか、部分的に製造品質は優れない様子。レッドのアルファ・ロメオ・エンブレムは若干色褪せて見え、シートの調整ボタンが緩んでいたり、クロスが浮いている部分もあった。納車される車両では、違うはずだが。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)

全体的なデザインは見慣れたジュリアのものでも、明るめの色のクロスが新鮮で、雰囲気は好ましい。僅かに時間の経過を感じさせるとはいえ、物理スイッチがふんだんに用いられた操作系にも好感が持てる。

運転姿勢は、いかにもイタリア車。身長の高い人には、余り快適とはいえないかも。

アナログ感が強くオールドスクールな味わい

今回はグレートブリテン島での試乗だったが、流石に140kgのダウンフォースを体験することは難しい。それでも、金字塔といえるスーパーサルーンに仕上がっている。

パワートレインなどのメカニズムへ、特別なチューニングは施されていない。これに疑問を感じる人は、いるかも知れない。だが、通常のジュリア・クアドリフォリオを運転したことがあるなら、それで構わないと感じるだろう。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)

2026年の新たなライバルとなる、アウディRS5の運転体験とは対局にある。どちらもV6ターボエンジンを搭載するが、こちらは圧倒的にアナログ感が強く、オールドスクールな味わいへ惹き込まれる。

ステアリングレシオはクイックだが、可変ギアが介在するわけではなく、程なく慣れるはず。フロントタイヤのグリップが鋭い旋回を支え、姿勢制御は充分にタイト。520psの最高出力は、8速ATと機械式LSDを介して、リアタイヤがしっかり受け止める。

ベースモデルの素晴らしさを再確認させる存在意義

レース・モードを選ばない限り、トラクション・コントロールの介入より早くパワーが絞られる感覚があり、鮮烈さは薄い。しかし切り替えた途端、命綱が消えたかのような興奮と刺激が迫り、心拍数は速まる。

すべての電子アシストがオフになることが正解なのか、議論の余地はある。それでも、挙動は感動的に滑沢で線形的。カーブの立ち上がりでパワーを強めに加えれば、4ドアのトヨタGT86のように、滑らかにテールが滑り出す。それでいて、乗り心地も悪くない。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)

2.9L V6ツインターボも出色。反応は鋭敏で強力なだけでなく、ザラついたサウンドでも楽しませる。アクラポヴィッチ社製マフラーが、それを見事に強調している。唯一惜しいのが、6速MTを選べないこと。それこそ、本当に望まれる特別仕様かも。

10台だけのルナロッサが、アルファ・ロメオの販売を一変させることはない。しかし遊び心に満ちた、共感を誘う限定モデルだと思う。ジュリア・クアドリフォリオの素晴らしさを再確認させる、確かな存在意義もあるといえる。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)のスペック

英国価格:12万ポンド(約2580万円/予想)
全長:4643mm
全幅:1874mm
全高:1436mm
最高速度:307km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:10.0km/L
CO2排出量:227g/km
車両重量:1660kg
パワートレイン:V型6気筒2891cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:520ps/6500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2500-6000rpm
ギアボックス:8速オートマティック/後輪駆動


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ・ルナロッサ(欧州仕様)