「ゴクミ、かわいそう」は本当か? 後藤久美子の事実婚解消にみる世界と日本の「結婚観」の違い
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ゴクミとは事実婚だったのになぜ……
後藤さんは1995年にアレジ氏と交際を始めたが、当時、彼には妻子がいた。国民的美少女と年上のフランス人男性との恋愛は騒ぎとなったものだ。翌年、アレジ氏の離婚が成立、二人は事実婚し、2男1女をもうけた。「ゴクミとは事実婚で、今回はなぜ結婚なのか」については、国籍や宗教の違いがあり手続きが煩雑過ぎたのかもしれないし、フランス特有のパートナーシップ制度であるPACSを利用していたかどうかも分からない。
ただ、ここには結婚やパートナーシップというものに対する、世界と日本の考え方の違いがある。日本と違い、多くの先進国では離婚慰謝料という概念がない。もちろん、財産分与は他国にもある。だが通常、たとえ、相手に新たなパートナーができて離婚する場合であっても、現在のパートナーに「慰謝料」を払う必要はない。愛がなくなったら別れるしかないからだ。愛情の問題をお金で購うのはおかしいという考え方がある。
愛情に関してはシビア
フランスに友人がいるフミカさん(43歳)は、友人の身に起こったことを話してくれた。「学生時代の友人がフランスで事実婚生活を送っていたので、何度か遊びに行ったことがあるんです。昨年行ったら、フランス人のパートナーがいない。『先週、彼が出て行った』と泣いていた。なんでも、『新たな恋人ができた。これ以上、自分の気持ちに嘘はつけないから別れよう』と言われたと」
15年も一緒にいて、子どももいるパートナーが、あっさりと出ていったことにフミカさんは衝撃を覚えたという。日本だったら、疑惑を抱く期間が長くあり、そこから浮気発覚で揉め、さらには離婚か再構築かと、かなり時間がかかるものだが、その友人は彼の浮気など疑ったこともなかったらしい。
「相手とは知り合って半年足らずだったようです。でも僕は彼女と生きることにしたと言われたって。子どもはまだ12歳と9歳。どうなるのかと思ったら、彼と新しい彼女はすぐ近所に住んでいるので子どもはすでに行ったり来たりしていたようです。彼は、パパの友達としてすでに彼女を子どもたちに紹介していたそう。彼女は『私だけが知らなかった』と泣いていました」
「おひとりさま」が許されない文化
二人ともフルタイムで働いているため、今後は子どもたちにかかる費用は折半でということになった。もちろん「慰謝料」の話などは出ない。ただ、彼は身ひとつで家を出たので、家にあったものは、彼が買ったものでも彼女と子どもたちが使うことになった。「周りが彼女に同情しているかといえば、そうでもないんですよね。友人たちは『じゃあ、早速、今週末からボーイフレンド探しのパーティーをしなくちゃね』と盛り上がっているんですって。彼女は日本人だから、もうちょっと一人でいたいと言ったんだけど、『一人で落ち込んでいても意味がない』『すぐに次のパートナーを探して、彼に仕返ししてやらなきゃ』って。こういうとき、カップル文化はきついと彼女は言っていました」
どこへ行くにもカップルで行動しないとおかしいと思われる。パートナーの友達にも会わなければいけない。つまり「おひとりさま」が許されない文化なのだ。
そもそも「慰謝料」の概念とは?
フミカさんは、友人に同情しつつも、「改めて考えると、確かに慰謝料ってヘンな制度なのかも」と思ったという。互いの意志と愛情で結婚したのに、破綻するときは「有責配偶者」が慰謝料を払うことが多い。ただ、結婚生活における信頼関係が、いつどこでどう破綻したのか、はっきり分かることの方が少ないのではないだろうか。たとえどちらかが不倫をしたとしても、そこに至る夫婦関係の歴史がある。例えば夫が妻からじわじわと精神的DVを受けており、それが原因で不倫をしてしまっても、夫が有責配偶者になる可能性は高い。そもそも愛情が失われたことが、慰謝料請求の要因になるのだろうか。
「結婚は愛情より責任が重視されるということなんでしょうね。でもフランスでは、愛情のみが判断基準。だから愛がなくなれば別れるしかない。そこに慰謝料は存在しない。潔いというかなんというか」
私だって、愛情があって結婚生活を続けているのかと問われたら、きっぱり「そうだ」とは言い切れないかもしれない。フミカさんは考え込みながらそう言った。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

