学校や職場で水筒への異物混入被害が相次ぐ中、指紋認証機能を搭載して第三者の開封を防ぐ「スマート水筒」が注目を集めている。テレビ朝日の須藤なぎさ記者が、製品の開発背景や国内外での反響について解説した。

【映像】スタジオで「スマート水筒」を実践(実際の様子)

相次ぐ混入被害と予防の難しさ

 近年、身近な場所で水筒に異物を混入される事件やトラブルが発生している。8月には県立高校の男性教師が生徒の水筒に尿を混入したとして懲戒免職となったほか、翌日には奈良県で、女性社員の水筒に薬剤を入れた男が器物損壊の疑いで逮捕された。過去には2017年にカヌースプリント競技の日本選手権で、選手がライバル選手の飲料に禁止薬物を混入させ、ドーピング違反に陥れた事件も起きている。また、SNS上では、学校で児童が水筒に絵の具を入れられたなどの報告も見られた。

 専門家は、他人の水筒に異物を入れる行為は器物損壊罪に当たる犯罪や深刻ないじめであると指摘する。しかし、部活動や移動の際に水筒を共有空間に放置せざるを得ない場面が多く、自衛や予防策を講じる難しさが課題となっている。

指紋登録者のみ開封可能な仕組みと機能

 こうした不安を解消するため、大阪の精密機器メーカーが小学校で起きた異物混入事件をきっかけに開発したのが、指紋認証機能を備えた水筒である。

 登録した指以外では蓋が開かない構造で、指15本分までの指紋を保存できる。指紋の登録には管理者の指紋が必要なため、保護者の指紋を管理者として登録することで、保護者の認証なしに子ども同士で勝手に設定変更できない設計となっている。充電は1回で約3カ月間持続する。

 サイズ展開は標準的な500ミリリットルに加え、温かいスープを入れたいので小さいものも欲しいという声にこたえて登場した小型サイズや、プロスポーツ選手からの「練習中に大容量のものがほしい」という要望に応えた1リットルの大型サイズ(今年7月発売)が揃えられている。

国内外で高まる需要と市場の広がり

 新学期を迎えるにあたり、親の目が届かない場所での安全確保を求める保護者やアスリート層からの需要が増加している。全国PTA連絡協議会のウェブサイトでも「待望の製品」として紹介されるなど、学校関係者からの反響も大きい。

 販売実績として、日本では発売からの1年間で約2万本を売り上げた。さらに同様の被害事例がある海外での需要も高く、パートナー企業を通じた中国での販売数は1年間で15万本以上に達している。中国では祖父母が孫の小学校入学祝いとして買い与える傾向も見られるという。メーカー側は今後、アメリカなどへの販路拡大も進めていく方針で、自衛のためのセキュリティ機能を備えた容器のニーズは世界的に高まりを見せている。

(ニュース企画/ABEMA