すっきりとした正面デザイン。エンブレムの左右、ヘッドライトとの間に普通充電用(左)と急速充電用(右)の充電口がそれぞれ配置されている

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 ホンダの小型電気自動車(EV)「スーパーワン」に試乗した。

 5月の販売開始からの累計受注が約1万6000台(8月現在)に達する人気車だ。遊び心を重視したクルマで、往年の人気車「シティ・ターボⅡ」を彷(ほう)彿(ふつ)させる走りの楽しさが受けているようだ。また、EV補助金を活用した場合の価格面の魅力も大きい。

「スーパー」に込めた「刺激的で高揚感あふれる走行体験」という思い

 「スーパーワン」は軽乗用車EV「N-ONE e:」をベースにしながら、クルマの横幅を拡大した専用シャシー(車台)を採用してサイズが一回り大きくなっている。一方で、軽乗用車ベースという点を生かし、車体重量は小型EVクラスでは最軽量となる1090キロに抑えた。左右のタイヤ間の距離(トレッド)は1345ミリ(「N-ONE e:」は1305ミリ)と幅広で、タイヤも大型かつワイド化したことで、旋回時や高速走行時でも安定感のあるハンドリング性能を実現した。

 車種名の「スーパー」というネーミングには、従来のEVの常識、軽自動車規格の枠を超えて、刺激的で高揚感あふれる走行体験を提供するという思いが込められている。

仮想の音とギアチェンジ、エンジン車を操っているかのような感覚に

 実際に運転してみる。ドライブモードは5段階あり、最も燃費の良い省エネモード「ECONモード」を使用すると落ち着いた控えめな走行だが、最強の「ブーストモード」となると走りが変わる。最大出力が通常の47kWから70kWとなり、軽自動車ベースとは思えない力強い加速になる。

 モーターなので、本来は変速機がないのだが、7段変速の仮想有段シフト制御があり、アクセル操作に応じたギアチェンジを疑似体験できる。さらに仮想のエンジンサウンドを車内に響かせるアクティブサウンドコントロールを加えることもできる。仮想ギアと併せて、スポーティーなエンジン車を操っているかのような感覚を味わえる。前席シート脇の左右にはサポート部分が張り出していて、スポーツカーのように加速や旋回時には運転者の体をしっかり支えてくれる。

 ただ、いい気になって「ブーストモード」で走行していると、気づいた時には航続可能距離がかなり短くなってしまっていたということになるので、ご注意を。

 「N-ONE e:」と同じ容量(29.6kWh)のリチウムイオン電池を搭載していて、満充電時の航続距離は274キロ(WLTCモード)と、車体重量やサイズの違いが影響して「N-ONE e:」よりやや短い。長距離ドライブだと、途中での充電は必須だろう。ただ、充電にかかる時間は短くなっている。普通充電で約4.5時間(満充電)、急速充電で約30分(充電量80%)のため、充電時のストレスはそれほどではない。

東京在住者の補助金は総額220万円、結果119万円で購入可

 もう一つの魅力は価格だ。国からの補助金「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」130万円が使えるほか、住んでいる自治体の補助金も活用できる。東京都の場合、排ガスを出さない自動車「ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)」の補助金90万円(通常80万円、給電機能付車両補助金10万円)が加算されるため、合計220万円が優遇される。結果、119万200円で購入できる。

 ただ、これから購入しようという人は注意が必要だ。今から購入予約しても納車は来年4月以降になる見通しという。来年度に適用される補助金額がいくらになるかは、現時点ではわからない。価格を重視するという人は、来年度の補助金の詳細が公表されるのを待ってから判断する方がいいかもしれない。

 小型EVをセカンドカーにと考えていたものの、普通のEVでは物足りず、購入を見送ってきたという人には、このクルマは面白い存在だ。特に「ブルドッグ」の愛称の「シティ・ターボⅡ」に親しんだ世代には、魅力的に映るクルマかもしれない。(デジタル編集部 松崎恵三)

【仕様・主要諸元】
 ▼全長・全幅・全高(ミリ) 3580・1575・1615
 ▼最高出力(kW) 70
 ▼バッテリー容量(kWh) 29.6
 ▼価格 339.02万円(オプションは除く)