「投手・大谷翔平」復帰でも「サイ・ヤング賞」どころか「4年連続MVP」に黄信号…最大のライバル「カブスの新星」
いよいよ投手復帰
いよいよ「投手・大谷」が帰ってくる――現地時間8月25日、ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が、大谷翔平(32)が30日(日本時間31日)にも投手復帰する可能性があることを明かした。「今週、彼がどういう状態で過ごせるか」と、条件つきではあるが、想定通りなら、タイガースとのビジターマッチで復帰することになる。
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もっとも、ここに至るまで、大谷を巡っては様々な情報が錯綜していた。
8月18日、大谷は6年連続となる30号ホームランを打った。チームはコロラド・ロッキーズに連勝したが前日にも大谷は2打席連続でホームランを放ち、ロッキーズに快勝している。1打席目の28号アーチは、菅野智之(36)から放ったもの。

19日も勝利し、ド軍は3連勝となったが、8月のドジャースは「まさかの7連敗」もあっただけに、地元ロサンゼルスはもちろん、日本の野球ファンも強い関心を寄せていた。しかし、米国の野球メディアは少し違った視点からドジャースと大谷を見ていた。
「現在、ナ・リーグの本塁打王争いのトップは、フィラデルフィア・フィリーズのカイル・シュワバー(33)の39本です。大谷が2本塁打を打った時点で、(ア・リーグの)シカゴ・ホワイトソックスの村上宗隆(26)に並んだという捉え方をされていました。大谷には4年連続40本塁打の可能性が見えてきたとも伝えられていて、あとは同僚の山本由伸(28)と菅野が12勝で並んでいたので、菅野が先に13勝目に届かないように援護した、との記事もありました」(現地記者)
「大谷一色」になりそうなニュースが、村上や山本、菅野といった日本人選手の情報も加えられたものに“薄められていた”のだ。昨今、こうした内容の報道が増えてきたという。大谷は「愛されキャラ」なので、批判的な内容の報道はなかったが、これまでのドジャース・ニュースとは変わりつつあるようだ。
今季は通算5度目のMVPや3度目の本塁打王、5年連続シルバースラッガー賞、4年連続ハンク・アーロン賞などのバットマン・タイトルのほか、投手部門でも「日本人投手初のサイ・ヤング賞受賞」の可能性が高いことも報じられていた。それだけに、投手としての大谷の話題は、メディアにとっても最優先の取材事項だった。
8月12日、カンザスシティ・ロイヤルズ戦後の監督インタビューでのこと。試合には勝ったが、「1番・DH」で出場した大谷はノーヒットだった。しかし、米メディアの質問は打者成績ではなく、「投手・大谷」に集中した。ロバーツ監督は淡々とした口調で、
「おそらく次の段階ではマウンドに上がることになる。ブルペン投球を何回やるか、ライブBPを何回やるかは分からないが、リハビリ登板は、メジャーリーグの試合がその役割を果たすことになる」
と復帰プランを説明した。試合前にも塁間距離でのキャッチボールを再開、2日連続でその距離で強いボールを投げ始めたことを話していたが、それでも米メディアは復帰時期など、「投手・大谷」に関する質問を続けた。
「メジャーリーグを扱う米メディアは各タイトル争いに関する情報も定期的に更新させています。8月半ば、米スポーツメディア『The Athletic』、『Fox Sports』などがサイ・ヤング賞レースのオッズ表から大谷の名前を消しました。ナ・リーグのサイ・ヤング賞投手の一番手はミルウォーキー・ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー(24)となっています。大谷が巻き返すには相当、インパクトの強いピッチングをすることが必須。まずは早期の投手復帰を果たさなければなりません」(米国人ライター)
大谷はリリーフ?
その翌日以降も「投手・大谷」の復帰時期に関する質問は続いた。8月14日に23日ぶりのブルペン入りを果たして30球以上を投じ、大谷も「ポストシーズンマッチで投げたい」と語っていたが、同日のロバーツ監督の発言が興味深いものだった。
「大谷本人も(復帰への)手応えを感じていた。今後は、あと1、2回のブルペン。その後にライブBPに進む形になると思う。少なくとも2回はライブBPが必要だと思う。そして、メジャーの試合で投げることになるだろう」
そう語った後、「1イニングずつ投げていくような形になる」と言った。ロバーツ監督の「少なくとも2回のライブBPが必要」とのコメントで、取材陣は9月上旬の復帰を予想した。同時に「1イニングずつ」の言葉に引っ掛かった取材陣も少なくなかったそうだ。
ドジャースのブルペン陣はエドウィン・ディアス(32)が復帰したものの、本調子ではなく、苦しいやり繰りが続いている。一方、先発はMLB最強左腕のタリク・スクーバル(29)のトレード獲得に成功したので、大谷の復帰を急ぐ必要がなくなった。こうしたチーム事情を併せてこんな予想もされているそうだ。
「大谷の調整登板が1イニングずつであるならば、2イニング以降を投げるロングリリーバーが必要になります。それでは登板過多で、本調子ではないリリーフ投手陣を消耗させてしまいます。『1イニングずつ』とは、リリーフ登板ではないかと囁かれているのです」(前出・同)
ドジャースでは昨季終盤戦、故障明けの佐々木朗希(24)をリリーフに起用した前例がある。
「シーズン最終戦まで残り50日となったタイミングでブルペン投球を再開させているのも気になります」(前出・同)
この絶妙なタイミングも「リリーバー・大谷」の予想を加速させている。DH制を解除し、マウンドに行く大谷の姿は、実現すれば日米の野球ファンを興奮させるだろう。
とはいえ、「リリーバー・大谷」は苦肉の策とも言えそうだ。大型補強を続けても故障者の続出や不振で苦しいやり繰りが終わらない。大谷も長く悩まされてきた左膝の痛みがようやく解消されつつあり、チーム全体の高齢化も指摘されている。
「16日のブルワーズ戦で、25年オフ、4年総額2億4000万ドル(約372億円/当時)で獲得したカイル・タッカーが飛球を捕り損ねるミスをしました。結果的に試合も落としました。米メディア『Sports Illustrated』がその映像を公開した直後はタッカーへの批判が殺到しましたが、翌日以降、『タッカーを叩きすぎてかわいそうになってきた』との投稿も増えてきました。ファンに同情されるなんて、常勝チームでは考えられないことです。昨季、ドジャースから一人も守備のタイトルホルダーが出なかったのは、チームの高齢化による衰えも無関係ではありません」(前出・現地記者)
他のタイトルも…
大谷の4年連続MVPもあやしくなってきた。最大のライバルはシカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロング(24)で、打撃、守備、走塁、投球の全てをチーム貢献として表す「WAR」では大谷を上回っている。
さらに追い討ちをかけるように報じられたのが、チームの筆頭オーナーであるマーク・ウォルター氏(66)が、NBAロサンゼルス・レイカーズを125億ドル(約2兆円)で売却したこと。わずか14か月での売却であり、第一報を伝えた米テレビ局「CBS Sports」は大谷の契約についても触れていた。
ドジャースと契約した23年オフ、総額7億ドル(約1115億円)の契約は97パーセントが契約終了後の2034年から10年間に分割して受け取る後払いになったことが注目を集めたが、筆頭オーナーのウォルター氏か、チーム編成トップのアンドリュー・フリードマン氏(49)のいずれかが役職を外れた場合、契約を途中解除できる条項も含まれていたという。ドジャースは球団としてウォルター氏の球団株売却の懸念を否定したが、彼はウォール街出身の投資家で「ピークのときに持ち株を売る」手法でも知られている。
ドジャースにこれ以上の上積みが期待できなれば――その懸念は消えていない。大谷がノンタイトルで終わっても、それはポストシーズンマッチでベストを尽くすための選択だとファンは分かっているが、チームの近未来像は誰も予測できない。
デイリー新潮編集部
