私大進学の次男が借りる奨学金480万円、返還総額は「646万円」…借りる前に親子で話す「2つのこと」

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第二種奨学金は、以前のように「ほとんど利息がかからない借金」とは言いにくくなっています。前編記事では、大学費用として約500万円を準備していた家庭が、不足する費用について教育ローンと第二種奨学金を比較しました。下の子の教育費や親自身の老後資金も踏まえ、夫婦が選んだのは、第二種奨学金で補う方法でした。

詳しくは前編記事で→「子どもに借金をさせたくない」はずが…世帯年収950万円夫婦が次男の私大進学「1000万円」で選んだ"奨学金"

しかし、第二種奨学金を月10万円、4年間借り、年3%の利率が適用された場合、卒業後に返還する総額は約646万円にもなります。返すのは、社会人になった子ども本人です。だからこそ、借りる前に話しておきたいことがあります。

1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』著者の磯山裕樹さんが、第二種奨学金を借りる前に親子で話し合いたいことについて解説します。

・今回登場する夫婦の家族と家計

家族構成:夫婦と子ども3人(長男:社会人、次男:高校3年生、長女:中学生

夫婦の世帯年収:950万円

480万円を借りても、返すのは約646万円

第二種奨学金では、次の2つから利率の算定方法を選びます。

・利率固定方式

・利率見直し方式 

利率固定方式は、貸与終了時に決まった利率が、返還完了まで変わりません。

利率見直し方式は、貸与終了時に決まった利率が、おおむね5年ごとに見直されます。

2021年3月の利率見直し方式は年0.004%でしたが、直近の2026年7月には年2%まで上昇しています。固定方式も、同じ期間に年0.268%から年3%へ上昇しました。

「低金利だから、とりあえず最大額を借りておこう」と考えやすかった時代とは、前提が変わっています。

第二種奨学金を月10万円、4年間借りた場合、貸与総額は480万円です。JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)の奨学金貸与・返還シミュレーションで試算すると、貸与総額480万円を年3%で20年間返還する場合、毎月の返還額は約2万6,900円、返還総額は約646万円となり、貸与総額を超えて返還する金額は約166万円になります。

奨学金は、将来の自分から借りるお金

第二種奨学金は社会人になった子ども本人が返すお金です。

言い換えれば、大学時代の自分が、将来の自分から毎月10万円を借りていることになります。

だからこそ、奨学金を借りる前に、親子で話し合っておきたいことが2つあります。

1つ目は、奨学金は借金であること。

2つ目は、借りたお金で大学4年間をどう過ごし、どうお金を管理するかです。

返還開始後の「自分が返すの?」を防ぐ

奨学金について、最初に子どもへ伝えなければならないのは、奨学金は、子ども本人が返す借金であるということです。

社会人になり、返還が始まってから、

「自分が返すの?」

「こんなに借りていたの?」

と初めて知る。

このような状態は避けなければなりません。

JASSOの調査では、返還義務を申込手続き前に知っていた割合は、返還を延滞していない人では87.7%でした。一方、延滞者では60.1%です。奨学金を借りる前に、本人が返還義務を十分に理解しておくことが重要です。

月2万円なら平気? 借金は重なると苦しくなる

借金とは、将来得る予定のお金を、先に使うことです。今、手元にないお金を使える代わりに、将来、元金に加えて利息を返します。

社会人になると、お金を借りられる場面があります。

例えば、

・自動車ローン

・クレジットカードのリボ払い

・カードローン

などです。

最初は、

「月5000円なら払える」

「今回だけリボ払いにしよう」

と思うかもしれません。

しかし、少額の返済でも、複数重なると家計を圧迫します。

自動車ローンが月2万円、スマートフォンの分割払いが月5000円、リボ払いが月1万円、奨学金が月2万円。

1つずつを見ると払えそうでも、合計すれば毎月5万円を超えます。

JASSOの調査では、延滞が続いている背景として、本人の低所得や奨学金以外の借入金の返済などが挙げられています。奨学金だけなら返せていた家計でも、自動車ローンやカードローンなど、ほかの返済が加われば、生活に余裕がなくなる可能性があります。

さらに、リボ払いやカードローンは、第二種奨学金より高い金利が設定されていることが一般的です。

毎月の支払額が少なく見えることで、借金が増えていることを実感できず、気づいたときには、毎月の返済で生活が回らなくなっている人もいます。

奨学金をきっかけに、親子で次のことを確認します。

借金は、将来得るお金を先に使うこと

・借りた元金に加えて、利息を返す必要があること

・月々の返済額だけでなく、総返済額を確認すること

・安易に借金を利用しないこと

大学進学前に借金の仕組みを理解することは、社会人になってからリボ払いやカードローンを安易に利用しないための金融教育にもなります。

借りた480万円を、どんな4年間につなげるのか

親子で話し合うべきことでもう1つ大切なのが、借りたお金で進学する大学の4年間を、どのように過ごすのかということです。

今回のお子さんは、スポーツを続けるために県外の大学を希望しています。

だからこそ、本人にも次のことを考えてもらいます。

・なぜ、その大学へ行きたいのか

・その大学でなければできないことは何か

・4年間でどのような経験をしたいのか

大学で実力を伸ばし、全国大会を目指したい。そのために、遠征費や用具代、トレーニング費用に使うなど「大学でしかできない経験にお金を使う」選択もあります。

一方、アルバイトで生活費の一部を賄い、奨学金をなるべく使わずに「卒業後の奨学金返還に備えて貯めておく」選択もあります。第二種奨学金は貸与期間中には利息が付かないため、使わなかった分は貸与終了後に繰り上げ返還することもできます。

大学4年間を「お金の自立」に向けた準備期間に

親がすべて決めるのでも、子どもにすべて任せるのでもありません。

本人が自分のお金として考え、親は家計の状況を伝えながらアドバイスをする。

大学4年間は、親子で一緒に家計について考えられる、最後の期間になるかもしれません。

社会人になれば、子どもは独立した家計を持ちます。毎月の給料をどう使うか、将来のためにいくら貯めるか、自分で決めないといけません。だからこそ大学4年間に、お金をどう使うのかを親子で話し合います。

正解はありません。親からアドバイスを受けながら、最後は本人が自分の意思で判断することが大切です。

この経験は、社会人になってからの家計管理に、そのままつながります。

奨学金を、子どもの金融教育の機会に変える

奨学金は、借りずに済むなら、それに越したことはありません。

しかし、子どもに借金をさせないために親が無理をして教育ローンを抱え、下の子の教育費や老後資金が不足することも、必ずしも家族にとって最善とは限りません。

今回の家庭では、親が用意した500万円を学費に使い、一人暮らしの生活費に相当する部分を、子ども本人の第二種奨学金で補うことにしました。

そのうえで、親子で2つのことを話し合います。

1つ目は、奨学金が借金であることです。

借金は将来のお金を先に使うことであり、借りた元金に加えて利息を返さなければなりません。借金の仕組みを理解しておくことで、社会人になってから、リボ払いやカードローンなどの借入れを安易に重ねることを防げます。

2つ目は、大学4年間をどう過ごし、お金をどう管理するかを自分で考え、実践することです。

大学4年間は、子どもが独立する前に、親からアドバイスを受けながら自分の家計を管理できる貴重な期間でもあります。その経験は、社会人になってからの家計を管理する力につながるはずです。

奨学金をただ借りるだけで終わらせず、子どもの金融教育に活用する絶好の機会にしていくのはどうでしょうか?

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