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無惨な姿のフェラーリ488 チャレンジ・エボ

ネバダ州の公道で競われる、「ネバダ・オープンロード・チャレンジ」。スタート後に優先することは、目標の平均速度を可能な限り短時間で上回ること。止まった状態から計測は始まり、しばらくは平均速度を下回ることになるからだ。

【画像】世界最長の公道コースで競うネバダ・オープンロード・チャレンジ ゴルフ GTIとRも 全132枚

序盤の区間は、本当に砂漠のど真ん中を突っ走る。ルート318は完全に封鎖され、30秒毎に1台ずつスタートするため、ライン取りは自由だが、センターラインを跨いで走るのがベスト。緩やかなカーブもあり、左右を良く見渡せる。


ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

筆者が挑んだのは、ツーリング・クラスに属する、時速110マイル(約177km/h)クラス。後方へ景色は吹き飛び、地平線付近のアスファルトはカゲロウを漂わせる。

幻想的な情景に少し気を奪われていると、無数の破片とタイヤ痕が目前に迫る。コース脇の牧草地に、クラッシュしたフェラーリ488 チャレンジ・エボが止まっていた。無惨な姿だったが、ドライバーとコドライバーが命を落とすことはなかったらしい。

コース最大の難関は渓谷地帯の「ザ・ナローズ」

常に危険が隣り合わせだと再確認しつつ、速度調整へ集中する。好成績を残すには、速度と時間の計算がカギとなる。平均時速110マイルの場合、1マイル(約1.61km)を32.73秒で走る必要がある。

コース最大の難関が、ザ・ナローズと名付けられた場所。往路の110km付近に存在する、渓谷地帯だ。逆バンクや、崖が迫り先が見えないカーブ、短いストレート、急勾配などが連続して現れる。この区間も、平均時速の計測へ含まれる。


ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

「渓谷へ入る前に、時間の貯金を作っておく必要があります。あそこでのタイムロスは避けられませんから」。スタート前、とあるベテラン・ドライバーが筆者へ忠告してくれた。「走る速度を決めるのは道です。ドライバーじゃないですよ」とも。

最高速度と最低速度も、指定されている。時速110マイル(約177km/h)クラスの場合、上が時速124マイル(約200km/h)で下が80マイル(約128km/h)。ルート上には速度計測ポイントが見えないように点在し、この範囲を超えると失格になる。

速度の維持には相当な集中力が必要

ザ・ナローズの遥か手前から、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIの速度は177km/h以上。そこまでのルート318は、視界を遮るものが殆どない。普段は許されない速度域でも変化は乏しく、特別感が薄れていく。だが渓谷が近づくにつれ、緊張感が高まる。

岩の壁が突然迫り、幅員も狭くなる。カーブが次々に現れる。高めの速度を保つには相当な集中力が必要で、気を引き締める。タイムロスは、最小限に抑えたい。


ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

冷静にザ・ナローズを通過し、残りの約30kmは再び砂漠の直線。平均速度を調整するため、有効に走らなければならない。クルマへ負担をかけずに、完走することも必要だ。

公道を思い切り飛ばせるのに、完全な合法

無事に、往路の90マイル(約145km)を走破。時速110マイル(約177km/h)クラスの目標タイムは49分05秒455だが、だいぶ迫れていた。1時間近く180km/h前後で走っていたから、自分のスピード感覚が完全におかしい。車内の静寂が、不自然に思える。

折り返し地点となるアッシュ・スプリングスの町では、復路へ挑むマシンが熱を冷ましている。しばしの休憩を挟んで、次は61マイル(約98km)。天気予報によれば、これから近隣の山には雪が降るらしい。ネバダ州の砂漠らしい天気だ。


7位入賞を喜ぶ筆者、グレッグ・ケーブル(右)

果たして、筆者が記録した往復の平均速度は、時速109.9808マイル(176.9965km/h)。なんと、クラス7位入賞が叶った。想像していなかった好成績に、胸が踊る。

荒野のルート318に、多くのクルマ好きが毎年集まる理由へ、筆者も強く共感できる。公道を思い切り飛ばせるのに、完全な合法。こんなイベントは、他に思い浮かばない。

番外編:他にもある過激な公道レース

モンテカルロ・ラリー

世界で最も長い歴史を持つラリーの1つで、屈指の過酷さで、今でも世界ラリー選手権の人気イベント。圧雪路やブラックアイスバーンなど、真冬の不順な路面は手強い。

パイクス・ピーク・インターナショナル・ヒルクライム

アメリカ・ロッキー山脈のパイクス・ピークを駆け登る、ヒルクライム・レース。無数のヘアピンカーブが点在するコース長は、19.9km。高地の低酸素とも戦うことになる。

マン島ツーリスト・トロフィー


マン島ツーリスト・トロフィーの様子

バイクのレースだが、クレイジー度は最高峰。村々が点在する島の外周、約60kmのコースを、身を守るものが殆どないライダーが全開で疾走する。コーナーは219を数える。