キオクシア・ブームは序の口!むしろ、これからが本番だった「AIツルハシ銘柄」でバブル第2波に備える

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ゴールドラッシュではツルハシを売った人が儲けたと言われる。米中のAI開発競争を横目に日本の半導体関連銘柄のお宝を探してみよう。

日本にはシェアトップの企業がたくさん

「6月22日に日経平均株価が史上最高値をつけたのは、AI・半導体株の大幅上昇が主因です。その後、6万円台まで下落しましたが、株価急上昇に伴う過熱感や利益確定売り、海外のAI・半導体関連株の下落、金利上昇への警戒感などが重なったことが背景にあります。しかし、今回の下落はAI・半導体相場の終焉ではありません。長期上昇相場では避けて通れない健全な調整局面と見るべきです」

こう話すのは、マーケットバンク代表の岡山憲史氏である。半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスが最高値から半値以下になるなど、AI・半導体バブル崩壊を危惧する声は少なくない。

しかし、株式投資のプロたちはむしろ、これからが本番だと口を揃えるのだ。

「第1波が大規模データセンター(DC)の建設とGPU(画像処理半導体)争奪戦というインフラ構築であったのに対し、第2波は『エッジAI』(端末側での処理)の普及とインフラの物理的限界の克服という新たな段階になります。

いずれにせよ、世界ではAIの投資競争が加速していきます。巨大IT企業はDCへの設備投資を拡大し続け、先端半導体や光通信部品、電源設備まで、AIインフラ全体への投資はまだ拡大します。これは日本企業にとって追い風です。半導体製造装置や基板、検査装置、電子部品など、半導体に必要で日本企業が世界トップクラスのシェアを持つ分野は数多く存在するからです」(岡山氏)

日本企業の重要性は高いまま

19世紀のゴールドラッシュでは、金を掘る人よりも彼らにツルハシを売った人のほうが儲かったことがよく知られる。これと同じように、AIバブル第2波でも、AIを生み出す道具を売る企業が恩恵を受けやすいはずだ。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が言う。

「懸念として指摘されるのが中国製AIの台頭です。中国から低価格で高性能なAIが登場し、現在の巨額投資が無駄になるリスクは考えられます。ただし、総合力ではまだ米国製のAIが有利です。

このまま米中のAI競争が続く場合、日本企業の重要性は高いままでしょう。半導体製造装置の東京エレクトロンや検査装置のアドバンテストなどは最先端AIを作るのに不可欠な企業です。数年後には勇気を出して買ってよかったと思える可能性は高い」

7月中旬には半導体世界最大手、米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日。赤澤亮正経産相をはじめ、村田製作所や味の素、富士通などの経営トップと面談し、国産AIへの協力をアピールした。SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏がこう話す。

「今後、AIが普及するにつれて、AI向けDCがさらに増えていきます。そこで必要になるのが、AIサーバーを冷やす冷却機器で、私が注目しているのは山洋電気です。ここはサーバー向けの冷却ファンを作っていて、目先の株価は下がっていますが、今期の業績が大幅に伸びると予想されています。

また、信越化学工業も要注目です。ここは半導体向けシリコンウエハーで世界トップ企業。シリコンウエハーはAI半導体の基板になる素材で、これから着実に業績は発展していくでしょう。今よりもう少し株価が下がるかもしれないので、そこが絶好の買い場となる可能性があります」

一周回って、あの大型株の名前も……

世界中でDCが増設されているが、DC内の配線を主に手がけ「電線御三家」と称される古河電気工業と住友電気工業、フジクラは高値から半値程度まで株価は調整している。ただし、今後持ち直す可能性は高い。株式コメンテーターの岡村友哉氏は、とくに古河電工に期待を寄せる。

「株式を10分割し、最低投資金額が下がったため、個人投資家にも買いやすい価格帯になりました。同社はケーブルのみならず、DC向け放熱・冷却製品も手がけ、'27年度に1000億円以上の売り上げを見込んでいます。粗利率20%超の水冷モジュールの売上構成比が高まれば、会社全体の利益率を大きく押し上げるでしょう」

今後はDCの性能を上げるために配線の高速化が問題となる。そこで存在感を発揮する日本企業があると、楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫氏が解説する。

「AIサーバー間のデータ送信の高速化に光通信が使われつつあります。この光配線にはインジウムリンウエハーという基板が使われていて、この代表的なメーカーが住友電気工業とJX金属なのです。インジウムは中国の生産量が世界一で、輸出規制を行っています。しかし住友電工は調達の多様化を進めており、JX金属は自社が保有する鉱山などから得ていて、この2社はDCの高性能化に重要な役割を果たすと考えています」

雨宮総研代表の雨宮京子氏は防衛関連銘柄としても脚光を浴びる大型株を挙げる。

「一周回って、三菱重工業が面白いと思っています。防衛関連のイメージが強いですが、エヌビディアとDC事業で連携し、冷却技術を提供するなどAI関連の材料も持っています。まさに『AIツルハシ銘柄』と考えられるでしょう。2月から3月にかけての最高値から約半年が経過し、高値摑みした投資家の整理が進めば、再び上昇トレンドに入る可能性があります」

【後編を読む】「AIツルハシ銘柄」バブル第2波 SaaS市場再評価で「絶好の買い場」が来る

週刊現代」2026年8月17日号より

【つづきを読む】「AIツルハシ銘柄」バブル第2波 SaaS市場再評価で「絶好の買い場」が来る