「布団の中で目を閉じて待つ」のは逆効果…眠れない夜にやってはいけない”3つのNG行動”

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眠れない夜、とりあえずベッドの中でじっと目を閉じている。寝つきをよくするためにお酒を飲む。寝る直前までスマホを見ている……。米国ミシガン大学などの研究で、これらは睡眠の質を下げる「NG行動」であることがわかってきた。産業医で、著書に『科学的に認められた 疲労回復大全』がある岩見謙太朗氏が、眠れない夜の正しい過ごし方を教える。

前編記事を読む→「休日の寝だめ」は悪ではなかった…健康になる人と不調になる人を分ける"1時間"の差

「良い習慣」のつもりが睡眠を妨げている

NG行動(1) 寝られないのに布団の中にとどまる

睡眠には、無意識の暗示が強く影響しています。本来、「布団に入ること」と「眠ること」は、脳の中で強く結びついています。そのため、布団に入るだけで自然と眠気が出る状態が理想です。

ところが、眠れないのに布団やベッドの中に長くとどまり続けると、状況はネガティブな方向に進みます。「まだ眠れない」「明日がつらい」「また眠れなかったらどうしよう」……こうした不安や焦りが強くなり、脳は「布団=眠れずに考え事をする場所」と学習してしまいます。

すると、布団に入っただけで目が冴えたり、緊張したりするようになり、ますます眠れなくなるという悪循環に入ってしまいます。

この負のスパイラルを断ち切るために有効なのが、「眠れないときはいったん布団から出る」という習慣です。目安として、布団に入って20分ほどたっても眠気が来ない場合は、無理に横になり続けず、いったん布団から出ましょう。

大切なのは、「布団=眠る場所」という関係を、脳にもう一度しっかり覚えさせることです。

布団から出たあとにすべきことは、刺激が弱く、頭を使いすぎないことです。「眠くなるのを待つ時間」と考えてください。

◯ おすすめの行動

部屋を軽く片づける

・紙の本を読む(軽めの内容のもの)

・洗濯物をたたむ

ストレッチや軽い体操をする

これらは、脳を興奮させにくく、自然な眠気を待つ行動です。

× 避けるべき行動

・スマホやタブレット端末を眺める

・仕事や勉強を始める

・時計を何度も確認する

これらは脳を刺激し、「まだ起きていなければいけない時間だ」と誤認させてしまいます。

「少し眠くなってきたな」と感じたタイミングで、再び布団に戻りましょう。もしまた眠れなければ、同じことを繰り返してください。これは不眠症治療でも使われている、科学的に確立された方法です。

この方法を続けていくと、脳は少しずつ、「布団=考える場所」→「布団=眠る場所」へと学習し直していきます。

「そのまま寝られなかったらどうしよう」と不安に感じるかもしれませんが、心配無用です。厚生労働省や日本睡眠学会でも、1〜2晩眠れなくても健康に大きな影響はないとしています。眠れなかったことを翌日に引きずらず、「寝られるときに寝る」と開き直るのも大切です。

お酒は「眠りの質」を下げる原因に

NG行動(2) アルコールを使って寝ようとする

「寝る前にお酒を飲むと、よく眠れる」と感じている人は少なくありません。実際、アルコールには脳をリラックスさせ、眠気を催す作用があります。そのため、「寝る前にウイスキーを1杯」「晩酌をしないと眠れない」という人もいるでしょう。

しかし、寝酒は睡眠の質を大きく下げる行為です。アルコールを飲むと、脳は一時的に「眠るモード」に入ります。そのため、最初の寝つきだけは良くなることがあります。

ところがその裏で、体の中では別のことが起きています。アルコールが体に入ると、今度は肝臓に「アルコールを分解せよ」という仕事が回ってきます。この分解作業は、寝ている間も止まりません。

・肝臓はフル稼働

・交感神経が活発に働く

・体は「起きている状態」に近づく

その結果、交感神経が優位になり、眠りは浅く、途中で目が覚めやすい状態になります。つまり、寝酒は「眠らせてくれる」のではなく、「浅い眠りに押し込んでいるだけ」なのです。

さらに問題なのは、寝酒が習慣になることです。毎日寝る前にお酒を飲み続けると、以下のようなリスクが高まります。

・肝機能の異常

・脂質異常症

・アルコール依存

そして何より、「お酒がないと眠れない」という状態が作られてしまいます。

もしすでに「お酒を飲まないと眠れない」という状態になっている場合は、無理に我慢するよりも、医師に相談することをおすすめします。アルコールと同じように脳を落ち着かせつつ、安全性が確認されている睡眠薬を、必要に応じて使う方が、体への負担は小さいです。

眠りの天敵「ブルーライト」への対処法

NG行動(3) 布団の中でスマホを見る

睡眠を浅くしてしまう原因の一つが、夜に浴びるブルーライトです。「寝る前のスマホがよくない」ことは、多くの人が頭ではわかっています。それでも、つい手に取ってしまう。そんな経験に心当たりがある人も多いでしょう。

ここで大切なのは、「使うか、使わないか」の二択で考えないことです。睡眠のために本当に考えたいのは、どう使うかです。

スマホやパソコンの画面から出る光は、脳に「今は昼間ですよ」という合図を送ります。目の奥には眠気のリズムを調整する仕組みがありますから、夜に強い光を浴びると、眠りのスイッチが入りにくくなってしまいます。

実際の研究でも、その影響ははっきり示されています。

就寝前にタブレット端末で読書をした人は、紙の本を読んだ人に比べ、寝つくまでに時間がかかり、眠気を作るホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられていました。その結果、体内時計が後ろにずれ、翌朝に眠気を残しやすくなることも確認されています。

理想を言えば、寝る1時間前からスマホを使わないのが一番です。ただ、仕事の連絡を確認したり、気分転換に動画を見たりと、完全に手放すのは現実的ではありません。無理な「禁止」は、かえってストレスになり、眠りを遠ざけてしまうこともあります。

だからこそ大切なのは、夜のスマホを睡眠に響かない形に整えることです。

そのために、次の5つのことを意識してみてください。

夜にスマホを使うとき意識すべきこと

対策(1) 光をコントロールする

スマホやパソコンの「夜間モード」や「ブルーライトフィルター機能」をオンにし、画面の明るさはできるだけ下げましょう。画面との距離も重要です。顔のすぐ近くでのぞき込むのではなく、30cmほど距離を取るだけでも刺激は弱まります。

対策(2) 通知を制御する

就寝前は「おやすみモード」を設定し、不要な通知で気持ちが引き戻されないようにします。緊急連絡だけが届く設定にしておけば、安心感も保てます。

対策(3) 使い終わりの時間を決める

たとえば「寝る30分前にはスマホを終える」と決め、タイマーを使って習慣化するのも有効です。終わりの時間が決まっているだけで、だらだら使い続けることは減っていきます。

対策(4) 枕元に置かない

スマホは枕元ではなく、ベッドから少し離れた場所で充電します。物理的な距離があるだけで、無意識に手が伸びる回数は確実に減ります。

対策(5) 暗い部屋でスマホを見ない

暗い部屋スマートフォンを見ると、目には想像以上の負担がかかります。周囲が暗い状態で画面だけが強く光っていると、明るさの差が大きくなり、瞳孔が大きく開いたまま強い光を受け続け、その結果、目の疲れや乾燥、ピント調節機能の低下が起こりやすくなります。

また、長時間近くを見続けることでまばたきの回数が減り、目が乾きやすくなるのも特徴です。暗い部屋ではなく、明るさを調整した環境でスマホを使うようにしましょう。

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【参考文献】

Ebrahim IO, Shapiro CM, Williams AJ, Fenwick PB. Alcohol and sleep I: effects on normal sleep. Alcohol Clin Exp Res. 2013 Apr;37(4):539-49.

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