「3カ月分の給料でもコメ1キロ買えず」北朝鮮国内から悲鳴
北朝鮮北部・両江道恵山市の工場で、労働者に3カ月分の給料がまとめて支給されたものの、社会保険料や慶弔費などを差し引いた手取り額が、市場で売られているコメ1キロの価格にも届かなかったことが分かった。デイリーNKの現地消息筋が13日までに伝えた。
消息筋によると、恵山市内のある工場では今月初め、滞っていた3カ月分の給料を従業員に一括して支給した。しかし、給料総額の10%が「社会保険料」として徴収されたほか、結婚や葬儀などに伴う2回分の慶弔費計6万北朝鮮ウォンも差し引かれたという。
同工場の最低水準の月給は3万ウォンとされる。この場合、3カ月分は計9万ウォンとなるが、社会保険料9000ウォンと慶弔費6万ウォンを引かれ、実際に受け取ったのは2万1000ウォンにとどまった。
一方、デイリーNKが定期的に実施している北朝鮮の市場物価調査では、8月1日時点で恵山市の市場におけるコメ1キロの価格は4万5500ウォンだった。
つまり、最低水準の給料を受け取る労働者の場合、3カ月待ってようやく支給された給料でも、手取りではコメ1キロすら購入できない計算になる。
(参考記事:ここまで飢えが…北朝鮮「山奥の洞窟」で起きた衝撃事件)
北朝鮮では2021年3月に「社会保険および社会保障法」が制定された。同法は機関や企業所、団体に所属する労働者や事務員に社会保険料の納付を義務付け、その基準を毎月の労働報酬の1%としている。
ところが今回の工場では、給料総額の10%が社会保険料として差し引かれたとされ、法律に明記された割合の10倍に達する。制度そのものが変更されたのか、それとも工場側が独自に徴収額を引き上げたのかは確認されていない。
北朝鮮では勤務先によって給料の支払い状況にも大きな差があるという。学校や病院では数カ月分が滞った後にまとめて支払われることがあり、軍需工場など重要な生産施設では比較的安定しているとされる。
これに対し、原材料不足などで操業が止まっている一般工場では、給料がほとんど支払われないケースもある。労働者は事実上の無給状態でも職場への出勤を求められ、割り当てられた仕事をこなさなければならない。

