つの丸:だよな。だから、いろいろリサーチしながら描いているんだろうなって思ってた。たまに男女の恋愛の機微とかも描いてて、「なんで大石にこんなにいい話をされて、納得しなきゃいけないんだよ!」って(笑)。

大石:あはは(笑)。僕のなかの「疲れたおじさん」の人格を憑依させて描いていますから。

──SNSの反響は見ますか。

大石:僕はかなり見ますね。

『ジャンプ』のアンケートシステムをSNSに当てはめる感じで。「告知用にはこういうページは引きがありそうだな」「この題材は反応ないな」と試しながら描いています。

つの丸:俺は完全に見てない。反応で作品の流れに影響を受けるのが嫌だから。

◆近い将来ギャグ漫画はなくなるかもしれない

──正反対な作品作りをされているお二人ですが、コンテンツが多い時代に、ギャグ漫画を描き続ける意義とは。

大石:ギャグ漫画自体、もうなくなる気がします。現に、純粋なギャグ漫画を描いている人は、増田こうすけ先生やうすた京介先生など、極端に少なくなっていると思います。

つの丸:『でんぢゃらすじーさん』の曽山一寿さんとかね。

大石:SNSや動画サイトに面白い投稿はいっぱいあるから、読者もあえて漫画を選ぶ必要がないんですよ。

ネット上には何億人もいて、それぞれが1個でも人生の一番面白いギャグを披露すれば、数億個になりますよね。僕は安定して70点を何回でも出せる自信がありますが、何億人もの100点という数の暴力に対して一人で勝てるのかというと、かなり難しい。

つの丸:そもそも今は能動的に漫画を読む人より、偶然ネットで目に入ったものを読む人のほうが多いしね。

復讐やエロなど引きが強いコンテンツをチラ見せして、読者が続きを読まざるを得ないように誘導する。ほぼすべてのエンタメがそうなってるけど、そこに作り手の純粋な面白みはない。だから、今の時代に生まれていたら、ギャグ漫画家にはならなかったかもしれない。

◆面白いものを作れればそれでいい。最後まで必ずこだわりたい

大石:選ばないですよね。というか漫画家という職業自体を選ばないかも。そもそも僕はお笑い芸人になりたかったけど、表に出るのは向いてないから漫画家になったので。

つの丸:俺も最初は映画監督になりたかったから。今はYouTuberや放送作家とか、いろいろあるもんな。

大石:漫画家にも、漫画家になりたいタイプと、面白いものが作りたいタイプの2種類がいて、僕らは後者じゃないですか。だから、漫画じゃなくても何かで表現できればいいのかもしれないです。