パレスに新天地を求めた冨安。イングランドではその万能性が高く評価されている。(C)Getty Images

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 冨安健洋が、プレミアリーグに戻ってきた。

 2025年7月、アーセナルとの契約を1年残しながら、双方合意で契約を解除した。長く膝の故障に苦しみ、復帰の見通しも立たないなかでの決断だった。

 負傷した選手と契約途中で別れるのは、少なくともイングランドでは珍しい。そこから半年近くをリハビリに費やし、12月にアヤックスとシーズン終了までの短期契約を結んだ。

 公式戦出場は9試合、236分。それでも実戦に戻り、日本代表として北中米W杯も経験した。そして今夏、再びフリーとなった冨安は、クリスタル・パレスのトライアルを経て契約を結んだ。

「競争のある環境でプレーしたかった。ここが自分の来たかった場所だった」

 加入後のクラブのインタビューで冨安はそう話した。パレスはここ2シーズンで3つの主要タイトルを手にし、今季はプレミアリーグに加えてヨーロッパリーグも戦う。

 フランス人のピエール・サージュ監督を迎えたばかりで、チームも新しいサイクルに入った。「今は変化の時期。もちろん、良い方向への変化だと思う」。冨安にとっても、まさに同じことが言える。

 しかも、ここは出場機会だけを求めればいい場所ではない。国内リーグ、欧州と国内のカップ戦を並行して戦い、ポジション争いもある。冨安があえて「競争のある環境」という言葉を使ったのは、その厳しさも含めてパレスを選んだということだろう。
 
 興味深いのは、そこで自分の立ち位置をどう描いているかだ。

 イングランドで冨安を語る時、最もよく使われてきた言葉が「万能性」だった。アーセナルでは左右の両SBでプレーし、緊急時にはCBにも入った。地元メディアの『フットボール・ロンドン』も今夏、アーセナルは冨安の退団後も「複数のポジションをこなせる冨安の万能性を真に埋めることができていない」と評している。欧州では、左右をこなせるSBという印象が非常に強い。

 だが、本人の自己認識は少し違う。

「自分はセンターバックが本職だと思っています。日本でもベルギーでもセンターバックとしてプレーしてきた。3バックのシステムが自分には一番合っていると思います」

 パレスでCB一本で勝負すると宣言したわけではない。それでも、この言葉からは、新天地で中央の守備者として自分の価値をもう一度、示したいという思いがうかがえる。

 その意味で、サージュ監督の存在は追い風になりそうだ。クラブの土台を尊重し、3バックを軸にしながら必要に応じて4バックも使い分ける柔軟な指揮官。とりわけ3バックをベースとするパレスは、冨安が「一番合っている」と考える形でCBとして勝負する機会を増やしてくれるはずだ。