「父の遺産を最良の状態で引き継ぐことが…」 イオン爆発で非難殺到の「ハビタ」エリート社長はハーバードでMBA取得 かつて語っていた「経営哲学」とは
命より優先すべき業務などあるのか――。イオンモール熊本の爆発事故により女性従業員2人が犠牲となったテナント雑貨店の運営会社「ハビタ」。亡くなった2人は客を誘導して一度は外に出たものの、会社から売上金を金庫に移すよう指示を受け館内に戻ったところ事故に遭遇。さらに、同社は県内の他の3店舗にも、地震発生直後、同様の指示をしていたという。そんなハビタには批判の声が殺到。社長の上野景真氏は超エリートという報道もあるが、一体どのような人物なのか。
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【写真を見る】自信に溢れた顔つきの若き日の上野景真社長(ハーバード・ビジネス・スクールの公式サイトより)
地元紙の記者は言う。
「エリートというのは間違いありません。今は見られなくなっていますが、ハビタの公式サイトには上野社長のプロフィールに《ハーバード大学MBA、モルガンスタンレー、ボストン・コンサルティング・グループを経て現職》とありましたからね。国内でも東京大学大学院学際情報学府を修了しているそうです」

正確には、世界最高峰と言われるハーバード大学の経営大学院(ビジネス・スクール)でMBAを取得したようだ。上野氏は同校の公式サイトで卒業生としてインタビューに答えている。「あなたはかけがえのない人生をどう生きるつもりですか?」という質問に対しては以下のように話す。
――父は家族経営の家業を切り盛りしていたがオフィスで倒れ、急性心不全で亡くなってしまった。私が10歳の時だった。母はビジネスの経験も経営能力もなかったが、父の後を継いで事業を経営した。母がなぜそうしたのか理解できなかったが、成人してから聞いてみると、「私の役割はお父さんの遺産を最良の状態であなたに引き継ぐことだと信じていた」。私はその遺志を受け継いでいく。
原文はもちろん英語である。前出の地元紙の記者は言う。
家族経営の家業
「上野氏はMBAを取得しているだけにやり手として知られています。雑貨店『ハビタ』の社長であると同時に、ヘルスケアやライフサイエンスの専⾨商社『ケミカル同仁』、再生医療の技術開発会社『同仁がん免疫研究所』、医薬品や診断薬原料の製造販売会社『バイオゲート』などを傘下に置く『同仁グループ』の社長も務めています」
一代でそこまで大きくしたということか。
「ハーバード大のインタビューを読むとそのようにも思えますが、ちょっと違うと思います。確かに上野氏の父親は彼が10歳の時に亡くなりましたが、その時すでにハビタとケミカル同仁の社長を務めていました。なんでもハビタの新入社員歓迎パーティーの席上で倒れ、そのまま亡くなってしまったそうです。父親は社員に好かれていたようで、社員が中心になって追悼文集まで作られたそうです。ちなみに、当時のハビタは年商約22億円、ケミカル同仁は年商約25億円でした」
家族経営というレベルではないようだ。
“わさもん”の家系
「そもそも熊本の上野家といえば、地元を代表する名家と言っていいでしょう。元々は大正時代に上野景治氏が創業した同仁堂薬局が基盤です。第一次世界大戦時、ドイツからの医薬品輸入が止まったことからアスピリンの製造に着手し、国内で2番目に成功して財をなしたそうです」
景治氏は景真氏の曾祖父に当たるという。
「2代目を継いだ景治氏の長男・景規氏が多角化経営を推進し、彼の長男に同仁堂、次男にハビタとケミカル同仁を継がせたのです。景規氏には九州大を出た学者肌の弟がおり、同仁化学研究所所長を務めましたが、九州大学教授に転身。同仁化学のほうは弟の子息に引き継がれました。こちらの家系は、息子も孫もテキサスA&M大学を出ています」
2代続けて米国の大学とは、進歩的な家柄である。
「熊本弁で新しもの好きを“わさもん”と言うのですが、上野家のことを“わさもん”と報じた記事が出たこともあります」
その末裔がハビタおよび同仁グループの現社長・上野景真氏ということになる。
「犠牲となった社員に館内に戻るよう指示を出したのは営業部長ですが、社長である上野氏が経営ばかりでなく社員についてどう考えていたのか。『かけがえのない人生をどう生きるか?』という質問は、今、社員の人生について問われるものとなっているようです」
デイリー新潮編集部
