AIブームの裏で「電力不足」が深刻化。投資家テスタが注目したイーレックスのビジネスモデル
膨大な計算を処理するデータセンターには、これまでにない巨大な電力と熱処理が必要不可欠。「急増する電力需要」と「脱炭素」という2つの難題は、今後の株式市場やエネルギー産業の行方を左右する注目のトピックとなっています。
本記事では、投資家として知られるテスタ氏が出演する番組『経済×バラエティ テスタの気分上々』での現場取材をベースに、この「AI×電力」の課題を解決する注目企業「イーレックス株式会社」の強みとビジネスモデルを詳しく解説していきます。
AIで電力需要が20%増加、専門家が警告する「圧倒的電力不足」の現実
「AI企業がどんどん上場していますが、AIってプログラムを作るだけじゃ動かないんですよね。データセンターに膨大な数のパソコンを並べて計算させるので、とにかく電力がめちゃくちゃ重要になってきています」——テスタ氏はそう語りました。

番組内でこの問題を解説した国際大学の橘川武夫氏も、事態はすでに待ったなしの状況だと語ります。
「日本だけじゃない。世界的に電力不足になろうとしています。」

日本の現在の発電量は約9,400億kWh。しかし、AIの普及でデータセンターの電力消費が急増し、将来的には1兆〜1兆2,000億kWhへ、なんと約20%も増える見込みであることが解説されました。
でも「火力発電を増やせばいい」という単純な話でもありません。国は脱炭素を進めており、2040年度までに再エネ比率を今の約23%から4〜5割へ引き上げる目標を掲げているからです。
つまり今は、「電気の量を一気に増やしながら、同時にCO2を出さないクリーンな電力へ切り替える」という、二重の難しい課題に直面しているのです。

では、この難題をどうやってクリアすればいいのでしょうか? 電力問題の専門家である国際大学の橘川氏は、再エネを増やす上での「実態」をこう明かします。
「実は、再エネには2種類あります。1つは太陽光や風力のように伸びしろはあるけれど、お天気任せで発電量が激しく変わる「やんちゃな再エネ」。もう1つはバイオマスや地熱のように、24時間ずっと使える「安定している再エネ」です。 これからは、電気があまった時に貯めて、足りない時に出す「蓄電」の機能が絶対に欠かせません」(橘川氏)


「24時間動く安定電源」と「不安定さをカバーする蓄電」。橘川氏が提示したこの2つの条件を、まさに現場で体現している存在として言及されたのが、イーレックス株式会社でした。
「タダ同然の電気を買い、高い時間帯に売る」──宮崎の蓄電所で見た新ビジネス

番組内でテスタ氏が視察に向かったのは、イーレックスが今春稼働させた宮崎県の系統用蓄電池施設。蓄電施設とは、電力系統から電気を充電して、必要なときに放電する――産業用の巨大なモバイルバッテリーのようなものです。規模は2MW/8MWh、一般家庭約800世帯分の電力を蓄えられます。
この施設において、テスタ氏が投資家として特に着目したのが、イーレックスのアグリケーション事業部に所属する内田氏が解説した「収益モデルの合理性」でした。
「晴れた日の昼間は太陽光発電が一斉に電気をつくるため、電気が余りすぎて捨てられる寸前になります。例えば5月31日のデータでは、昼間の電力取引価格がほぼ0円(0.01円の投げ売り状態)まで暴落しました。このタダ同然の時間帯に一気に充電し、需要が高まって価格が跳ね上がる夕方(約17円)に放電して売る。この価格差で収益を生み出しています」

これを聞いたテスタ氏は「株で例えたらめちゃくちゃ得してるよ!」と声を上げるシーンもありました。捨てるはずだった電気を活用する、シンプルで合理的な仕組みです。

天候に左右されない再エネ、沖縄バイオマス発電所の実力

イーレックスのもう一つの大きな柱が、天候に左右されない「安定した再エネ」であるバイオマス発電です。同社が運用する沖縄バイオマス発電所の敷地内には、燃料となるPKS(ヤシ殻)や木質ペレットが一面に広がっています。(出力約49,000kWを誇る巨大施設です)

現場を視察したテスタ氏は「これが電気になるなんて想像がつかないよね。これでスマホが動いているんだから」と驚きつつ、「あとは何よりもエコなのがいい」と感嘆。
国が脱炭素を進め、既存の石炭火力発電所が減少していく今、実効性の高いクリーンな「安定電源」としてのバイオマス発電は、投資家の目から見ても市場価値が急速に高まる注目の領域です。
燃料を燃やして発電する仕組み自体は、従来の火力発電と変わりませんが、太陽光のように天候に左右されず、24時間休まず安定して電力を供給できるという圧倒的な強みがあります。

では、なぜ従来の火力発電は敬遠され、バイオマス発電は「エコ」と評価されるのでしょうか。
その鍵を握るのが「カーボンニュートラル」という考え方です。石炭や石油などの化石燃料は、地下に眠っていた炭素を排出して大気中のCO2濃度を増加させてしまいます。一方、PKSや木質ペレットといった植物由来の燃料は、成長するプロセスで大気中のCO2をすでに吸収しています。
そのため、発電時にCO2を出しても「もともと吸っていた分を空気中に戻しているだけ」とみなされ、地球全体のCO2排出量は実質プラスマイナスゼロ(脱炭素)になります。

火力発電と同じ「24時間いつでも動かせる安定感」を持ちながら、「地球にやさしいエコ(脱炭素)」を両立させる――。この2つを兼ね備えたバイオマス発電は、日本の圧倒的な電力不足を支える有望なビジネスとして、市場からの期待をますます集めています。
灰すら無駄にしない「完全循環」と、アジア市場へのスケール
番組を通じて、二つの現場を巡ったテスタ氏がもうひとつ着目していたのが、徹底された「無駄のなさ」でした。
イーレックスでは、バイオマス発電で発生した灰を道路の材料(路盤材)として再利用し、発電に使った水も適切に処理。単にクリーンな電気をつくるにとどまらず、副産物のリサイクルまで自社で完結させる循環型のビジネス構造を整えています。この徹底した姿勢に、テスタ氏も「無駄がないビジネスモデル」と深く納得の表情を見せていました。

さらに、この持続可能な仕組みは、いまや経済成長が著しいアジア市場へと広がっています。同社で広報・IRを担当する持田氏は、今後の展望を番組内でこう語っていました。
「日本だけでなく、経済成長が進むアジアなどの海外市場でも、電力需要を取り込んでいく事業体制を構築しています」

国内の電力課題に応える基盤を固めつつ、副産物まで無駄にしないエコな仕組みを携えて、巨大なアジア市場の電力需要を取り込みに行く――。国内での盤石な実績と、海外市場という大きな伸びしろを併せ持つイーレックスの挑戦は、投資家の目から見ても非常に魅力的なスケール感を秘めています。
まとめ
AI時代の電力不足と脱炭素という大きな壁。 この難題に対し、安く買って高く売る「蓄電」と、24時間頼れる「バイオマス」で見事に応えてみせたイーレックス。
社会の課題を解決しながら、ビジネスとしても強固に稼ぎ出す。まさに投資家も納得のモデルでした。 電力の未来を支えながら成長していく同社の挑戦から、今後も目が離せなさそうです。
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