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 ◇セ・リーグ 阪神10―5DeNA(2026年8月6日 横浜)

 阪神の初回大量7点を呼んだのは近本光司の二盗である。そして中野拓夢とのコンビでつくった無死二、三塁である。

 盗塁やスピード、いわゆる機動力はチームに勢いをもたらすのである。「そう言ってもらえるとありがたいですけど」と外野守備走塁チーフコーチ・筒井壮は言った。

 1回表先頭、四球で出た近本は二盗を決めた。中野の初球はバントの構えから待球。2球目にあっさり走った。初対戦のDeNA先発の新外国人右腕オスバルド・ビドは「走れる」と踏んでいたのだろう。4月26日に死球を受け左手首を骨折していた近本にとっては同月10日以来、約4カ月ぶりの盗塁だった。

 無死二塁となり中野は外角低め151キロをうまく引っ張った。走者を進める意識が見える二塁左へのゴロで、自身も内野安打で生きた。

 一、三塁から中野二盗で無死二、三塁をつくったわけだ。相手内野陣は深く引いて守った。打席の森下翔太は「内野ゴロでも1点になると思っていたので楽な気持ちでした」と話した。追い込まれながら転がした打球は左寄りシフトの二塁手正面だったが、二塁ベースに当たって跳ね、中前2点打となった。幸運もあって、長打あり一発ありで大量点につながった。

 2回で8―0だが楽勝ではなかった。一発を浴びていたら……とヒヤリとするシーンもあった。横浜スタジアムは乱戦になる怖さが常にある。

 それでも今はもう勝つことだ。不格好でも何でも結果の時期だ。昔より開幕は早まり、既に残りは46試合。昔の「セプテンバー・ヒート」(9月の優勝争い)が今や「ミッドサマー・ヒート」(真夏の争い)である。

 名将・三原脩の名言に「アマは和して勝つ。プロは勝って和す」があった。似た意味で大リーガーは「ケミストリー」を使う。人と人とのつながりが生む雰囲気を化学反応にたとえる。コラムニストのロブ・ネイヤーは「原因より結果の方が重要だ」と論じる。マイク・スタドラー『一球の心理学』にあった。「優れたケミストリーが勝ちをもたらすのではなく、勝つことで優れたケミストリーが生まれてくる」

 筒井は「残り試合も少なくなり、みんな必死ですよ」と言った。ライバル巨人も3位狙いの他球団も必死だろう。1つの勝利で化学反応が起き次の勝利を呼ぶ。そんな真夏である。 =敬称略=

 (編集委員)