NHKの職員が番組出演者らとの懇親会後にその出演者から性被害を受け、精神状態の悪化をして休職していたことが明らかになった。被害者は被害から1年数ヶ月後、職場で打ち明けて別の部署への復職を求めた。しかし、希望は認められず、異動が認められるまでに3年を要したという。被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している。

【映像】NHK性加害の出演者による“釈明内容”

 ニュース番組『わたしとニュース』では、このNHK職員の性被害と組織の対応について、コラムニストの月岡ツキ氏とともに考えた。

■「どんなに苦しかっただろうか」復職時の負担と組織の体制

 この問題に関し、月岡氏は「まず被害に遭われた方も、加害をした番組出演者も性別が明かされていないのでどういう人かわからないので、あまり決めつけるようなことは言いたくないというのは大前提にある」と前置きした上で、NHKの会見でも詳細がわからないことが多く、言葉を選ぶ必要があると言及。

 その上で、「被害に遭われた方が長い間苦しみ、異動がかなったもののPTSDを発症したこということで心を痛めるばかりかと想像する」と語る。月岡氏自身、会社員時代に休職の経験があると明かし、「ただでさえストレスで休職したような形であっても、復職する時の面談はすごく緊張した。その後、自分が職場にちゃんと適応できるのか、受け入れてもらえるのか、本当にただでさえ緊張する中で、このような本当にひどいことがあった職場にそのまま戻らなければいけないというのは、どんなに苦しかっただろうと思う」と思いを馳せた。

 また、「ハラスメントが起きた際に、社内の通報窓口などを通じてプライバシーが守られながら組織が然るべき対応をしてくれると信じられるのが理想」だとした。しかし、「大きな組織だと、『自分なんかが言ってもちゃんと取り合ってもらえないのではないか』と絶望してしまう気持ちは、すごく想像できてしまう」と語る。

 今回のケースでは、異動までに3年、被害から休職、復職までに1年数ヶ月を要しており、発生から4年ほどが経過している。月岡氏は「その長い間、本当に苦しみ続けていたというのは長すぎる時間だ」と指摘。「これは本当に体制の問題だと思うので、そこがちゃんとクリアにならないと、今ほかに働いている社員の方も安心して働くことができない」と訴えた。

■「飲酒で記憶がない」釈明への違和感と特定による二次被害の懸念

 NHKの会見によると、加害を指摘されている出演者は「飲酒していたため記憶がない。もしそうした事実があったのであれば申し訳ない」と話しているという。

 これに対し、月岡氏は「飲酒していたため記憶がないということで、何かが免罪されることは一切ないと思っている。『お酒を飲んでいたから覚えていない、あったとしたら申し訳ない』という感じは、すごく納得がいかない」と苦言を呈した。

 一方で、出演者の特定をめぐる懸念についても言及した。「出演者が誰なのか特定する動きになってしまうと、そこから被害に遭った方のことも『この人なのではないか』『あの人なのではないか』と憶測されるのがすごく嫌だ」としつつも、「出演者の人には然るべき処罰を受けてほしいという心情はある」と複雑な心境を明かした。

 なお、NHKの説明によれば、当該番組はすでに放送を終了しており、この出演者は現在NHKで起用されていないという。

■問われる企業の対応と再発防止への課題

 被害者は異動が実現されなかった理由を確認するため、労働組合を通じて申し出を行った。これを受け、NHKは2025年5月に調査委員会を立ち上げた。しかし調査委員会の報告によると、被害者が正式に訴えていたにもかかわらずリスク対策担当部局に情報が共有されておらず、被害が深刻であったにもかかわらず前例踏襲の対応に終始したと指摘されている。

 月岡氏は「被害を矮小化していたのか、現場で内々で処理しようとしてしまっていたのかはわからない」としつつも、「上にまであがっていないということは、やはりちゃんとしたラインができていないということだと思う」と述べた。

 最近ではフジテレビでも性被害への対応が問題になったが、今回はNHKでも同様の問題が浮き彫りとなった。月岡氏は、「まずは本当に被害に遭われた方の心のケアや、安心して働ける環境が1日も早く整うことを心から祈っている」と語った。

(『わたしとニュース』より)