海南省東方市にある大広壩ダムのほとりにある草原を駆けまわる移転保護されたカイナンターミンジカ。(東方=新華社配信)

 【新華社海口7月20日】中国の国家1級保護野生動物に指定されているカイナンターミンジカは海南島にのみ分布し、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種(CR)に分類されている。

 カイナンターミンジカは、これまで大田、邦溪両自然保護区で生息域内保全が図られてきた。数十年にわたる努力の結果、個体数は徐々に増加したが、同時に新たな問題も発生した。個体群の密度が環境収容力の限界を超え、食料資源の不足や個体群内の競争激化が進んで、幼体の生存率が低下し、成体の死亡率が上昇、個体群の健全で持続可能な発展が懸念される状況にある。

海南省東方市にある大広壩ダムの近くに設けられたカイナンターミンジカ保護ステーション。(東方=新華社配信)

 この困難を打開するため、海南省の林業部門は人工的な移転保護(生息域外保全)を実施。2023年に30頭のカイナンターミンジを選定して、元の保護区から遠く離れた東方市の大広壩ダム中下流域に設けた「新たなすみか」に移転させた。

 カイナンターミンジカ保護ステーション責任者の符旭紅(ふ・きょくこう)氏によると、カイナンターミンジカの「新居」は深い森で豊富な水や草に恵まれており、森林保護員が定期巡回し、緊急救助体制も整備されている。

 ここ数年、中国科学院動物研究所のモニタリングにより、移転保護されたこのカイナンターミンジカの群れが新しい環境に完全に適応し、自然繁殖に成功していることが判明した。これまでに、「引っ越し」したカイナンターミンジカの数は30頭から50頭以上に増え、今なお増加を続けている。(記者/陳凱姿)

海南省東方市にある大広壩ダムのほとりの草原で餌を探す移転保護されたカイナンターミンジカの群れ。(東方=新華社配信)