国旗損壊罪は「許されない」千葉県弁護士会が反対声明 批評や風刺、パロディも罪に問われる可能性
国旗損壊罪の創設について、千葉県弁護士会(会長:牧田謙太郎弁護士)は7月15日、「刑罰をもって国旗損壊を取り締まるべき立法事実は存在しない」として反対する会長声明を発表した。
声明では、同法案は憲法で保障された「思想良心の自由」を侵害するおそれがあるほか、政治的表現の自由を制約するものであるとして「許されない」とうったえている。
●「国旗への尊敬や愛着の強要につながりかねない」
千葉県弁護士会は声明で、法案が保護法益とする「国旗を大切に思う国民感情」について「国旗に対する感情は個人によってさまざま」であり、「主観的な感情を、刑罰をもって保護しなければならないほどの重大な法益と位置付けることはできない」と批判した。
また、「国旗を大切に思うかどうかは、個人の内心の自由に属する」ものであり、国家が刑罰によってこれを保護することは「個人の内心の自由に国家が踏み込み、思想良心の自由を侵害するおそれがある」と警鐘を鳴らしている。
●「表現行為に多大な萎縮効果を与えかねない」
さらに、国旗を損壊する行為について、政府や国家政策への批判を示す政治的表現行為であり、「健全な民主主義の成立のために認められるべき多様な意見表明の一つ」であると強調した。
そのうえで、国旗損壊罪が創設されれば、犯罪にあたらない表現行為にも多大な萎縮効果を及ぼし、表現の自由を広く制約することになりかねないと指摘している。
また、法案で用いられている「社会通念上」や「著しく不快または嫌悪の情を催させる」といった基準が極めて曖昧であることを問題視。
表現上の加工行為との境界が明確でなく、国旗を用いた批評や風刺、パロディも同罪に問われる可能性を否定できないとして、「どのような行為が犯罪を構成するのか明確でなく、罪刑法定主義に反する」と指摘した。
●「治安が危機にひんしている事実がない」
声明はさらに、刑罰によって国旗損壊を取り締まる必要性そのものにも疑問を呈している。
1999年の関連法制定時にも政府は刑罰の対象とすることを考えていないと答弁していたと指摘。その後、「国旗の損壊行為が社会にまん延し治安・法秩序が危機に瀕しているという事実がない」ことから、法案には「立法事実を欠き、法案制定の必要性がない」と強調した。

