《横浜高校野球部・村田浩明監督のパワハラ疑惑》学校側の“事実無根”声明発表に反論、事件を把握・対応したメール履歴も存在 第三者機関による調査を望む保護者も
春夏通算6回の甲子園制覇を誇る名門・横浜高校の村田浩明監督(39)のパワハラを告発した本誌「週刊ポスト」前号記事(7月10日号)。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が迫った部員へのパワハラ疑惑と、村田氏が頼る"謎の除霊師"の存在に関する詳報には大きな反響が寄せられた。
【写真】電話をかけながら素通り 記者からの直撃質問にも答えなかった村田浩明監督
問題自体がなかったかのような印象さえ与える
報道直後、横浜高校はホームページに「事実無根」とする声明を発表。後日、同校及び村田監督の代理人弁護士が、記事の「核心部分における事実関係について重大な誤認」があるとする声明を報道機関に送付した。筆者の取材に応じず、事実誤認とする具体的な記述について一切言及しないまま、である。
前号記事で実名告発したのはOBの若杉聖一氏。同校野球部に所属していた次男のA君が、村田監督から2024年10月に部内で起きた現金紛失事案の罪を着せられたという訴えだ。A君は否定するも、村田監督は「お前がやったんだろ」「認めなければ関東大会のメンバーに入れない」などと発言し、事件を機にA君は昨年1月に退部を余儀なくされたと若杉氏は主張する。
「村田監督は『防犯カメラの映像に(A君の)犯行が映っている』と言っていましたが、その映像は現在まで私たちには見せてもらえていません」
A君の名誉と将来を守るべく、退部後、両親は学校に再調査を依頼した。
「事実無根」との声明は問題自体がなかったかのような印象さえ与えるが、同校の栗田陽介教頭とA君の両親が交わした昨年5月から12月にかけてのメール履歴がある。そこに若杉氏側が不当を訴え、学校側が応じなかった経緯が記録されている。
昨年8月には、若杉氏側が〈盗難という犯罪行為をやっていないと主張している者に対して認めさせると言うことは、冤罪に近い行為だと認識していますが、学校側の認識をご教示ください〉と訴えかけるも、学校側は明確に回答していない。
同じメールでA君が退部に至った経緯を他の部員や保護者に説明することも求めているが、教頭は対応を検討するとしながら〈認定した事柄以上のことを発信することはできませんし、いづれかのサイドの主張のみを一方的に採用することはございません。また、全ての情報を開示することもございません〉と返答。
若杉氏側が求めた事案発生当時の全部員への聞き取りについては、昨年3月に卒業した生徒にアンケートURLを配信する方法がないとして退けている。卒業生に連絡を取る手段は、本当になかったのだろうか。
村田監督は地元紙取材に「邪魔しないでもらいたい」
その後に学校側は昨年9月20日付で「調査報告書」を若杉氏に提出し、〈再調査の結果、(中略)A君(原文では実名)の当該事案への関与について、証拠不十分により認定しないと結論づけました〉と記した。
主張が認められた形の若杉氏側は、村田監督らの謝罪を求めた。教頭は〈謝罪についてですが、ご意向はうかがいました〉としたが、現在まで村田監督はA君に謝罪していない。
学校は現金紛失事件を把握、対応しており、若杉氏側はそれに不当を訴えている。一体、どこが「事実無根」なのか。
前号記事には、夏の神奈川大会開幕直前ということもあり、横浜高校のファンから「なぜこの時期に」との批判も寄せられた。筆者の取材に応じない村田監督は、神奈川新聞の取材に「ひきょう。選手や保護者たちも困惑している。邪魔しないでもらいたい」と話した。
だが、そもそも筆者に選手の大会出場を阻止するような意図は毛頭ない。告発が問うのは、村田監督の指導者としての資質と学校側の対応の問題だ。村田監督と横浜高校は、たとえ夏の大会以降であっても取材に答え、説明すべきだろう。
同校と村田監督の代理人弁護士に、事実無根とする論拠、メール履歴への見解を問い、前回記事で回答しなかった質問を再送したが、「現時点で回答することは差し控えさせていただきます」とした。
ある横浜高校関係者はこう語る。
「報道後も学校は選手や保護者に聞き取りをしない。第三者機関による調査を望む保護者もいます」
昨年1月に起きた広陵高校野球部内の集団暴行事件では、第三者委員会による調査の結果、集団暴行が認定され、中井哲之前監督が学校を去った。
真相究明のため、学校と村田監督への取材及び第三者による調査を切に望む。
【プロフィール】
柳川悠二(やながわ・ゆうじ)/1976年、宮崎県生まれ。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。2016年に『永遠のPL学園』で第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。他の著書に『甲子園と令和の怪物』がある。
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※週刊ポスト2026年7月17日号
