日本各地で相次ぐタクシーの値上げ! そもそも日本の「タクシー料金」は海外に比べて高額だった

この記事をまとめると
■東京では加算運賃改定により実質的なタクシー値上げを実施
■利用者減少の兆候が現れ乗務員からも変化を指摘する声もある
■世界と比較すると日本のタクシーは高額だが品質面では優位に立つ
日本のタクシー料金は国際的に見ても高額
2026年4月20日より、特別区・武三交通圏(東京23区及び武蔵野・三鷹市)において、タクシー料金の事実上の値上げが行われた。「事実上」としたのは、初乗り料金(1kmまで)500円は変わらないのだが、加算運賃がそれまでの255mごと100円から232mごと100円へ改定されたためである。
今回の値上げの目的は乗務員の待遇改善とされており、アメリカとイスラエルのイラン攻撃による中東情勢の影響による燃料価格の高騰などは考慮されていないとのことである。
先日、中国の首都・北京への出張の際、上海経由で向かったこともあり、北京首都国際空港ではなく、2019年に新たに開港した、北京の中心市街地まで46kmほどの距離にある北京大興国際空港に降り立った。荷物も多く深夜であったため空港からタクシーを利用したのだが、その際にスマホによるキャッシュレス決済なので油断していたら、見事にボッタくられてしまった。

目的地に到着すると、車内にあるQRコードをスキャンしメーター料金を入力して決済することになる。今回はそもそもメーターではなく乗務員の手書きメモに書かれた数字を入力するようにいわれたのだが、思わず入力してしまった。乗務員は487元(約1万1200円)の入力指示をしてきたが、ハンパな数字だったこともあり、なにも疑わずに思わず正しい額と勘違いしてしまったのである。帰りも同じルートを利用したら、その半分ほどの料金で済んだ。
ところが、日本のあるタクシー料金シミュレーションで、ほぼ同じ距離での日本国内のある地域での料金試算を行うと、深夜割増も高速料金加算もない状態で2万4420円となり、北京でのボッタくられた金額よりも多くなった。なにがいいたいかというと、日本のタクシーは高いのである。
タクシー料金の値上げは東京だけではなく、ここ最近全国的に相次いで行われている。今回の値上げでまた日本のタクシーはワンランク高い公共輸送機関となったのだ。

筆者の居住する地域では、東京よりひと足早くタクシー料金の値上げを行っている。そんななか、馴染みの乗務員のタクシーに5月の大型連休明け直後に乗る機会があった。開口一番「連休が明けてからガクっとお客が減った」と乗務員がボヤきはじめた。まあ大型連休中にレジャーなどで散財するひともいるので、5月の大型連休やお盆休み、年末・年始休みなど長期休暇明けはタクシーを利用するひとは目立って少なくなるのはいまにはじまったことではない。
それでも「マスコミが東京のタクシー値上げの報道を頻繁に行っていたから、その影響もあるのでは?」と返すと、「確かにそれもありそうですね、利用するお客さまも減っていますが、実際に利用されるひとも、ここでいいよ、という具合で、なるべくメーターが上がらないうちに降りていくひとが目立つようになりました」と語ってくれた。まだ日の出前の暗い時間帯だったので、助手席のガラスにタクシーメーターが映っていたのだが、料金があがっていくスピードがかなり速くなっていることがわかり驚いてしまった。
値上げで変わるタクシー事情
料金が上がるなかでもヘビーユーザーというものは存在する。病院へ通院に利用するお年寄り、帰宅や出勤が早朝や深夜になるひとなど、世のなかでは料金が上がろうともタクシーを利用しなければならないひとがいるのである。東京23区内では乗用車を所有するよりは安く上がるとして、すべての移動をタクシーにする所得に余裕のあるひともいる。ただし、全体の利用については料金値上げがネガティブに働くので、乗務員の印象は「利用が減った」となってしまう。
早朝に自宅からスマホアプリで配車要請しても、最近は数分でタクシーがくるようになったし、駅前へ行くと多くのタクシーが早朝だというのにタクシープールで客待ちをしている。確かに需要は多少鈍ってきているようだ。

これがインバウンド(訪日外国人観光客)の多い地域ならば、インバウンドがカバーしてくれることになる。自国に比べれば高い印象のある日本のタクシーだが、それは円安である程度カバーできる。車両がキレイで乗務員も愛想がいいので、おもに欧米系の富裕層は自国よりコスパのいい乗り物として重宝して利用しているようである。
多少話はそれるが、一般的には週末明け月曜日はタクシー利用が控えめとなる。「まだ週のはじめだし……」という遠慮が優先するようなのだが、木曜日や金曜日ともなると休日が近いという解放感もあるし、いい加減疲れてくるひとも出てくるようで、タクシーの利用は増えてくる。3連休では初日、2日目ぐらいまではまずまずの需要があるのだが、連休最終日は需要が鈍る傾向があるようだ。
「海外のようにライドシェアを導入すればタクシーより安く移動できる」という声もあるが、アメリカではライドシェアはすでにタクシー並みの料金となっている。東南アジア諸国でもライドシェアは固定料金になるのに対し、タクシーはメーター料金になり渋滞などで変動するのだが、相場的にはほぼ同額となっている。夕方など繁忙期では、ライドシェアもダイナミックプライシングを採用しているので、高いイメージが強くなっている。

インドはタクシーが乗り合い前提となり、日本のようなプライベートタクシーはライドシェアのみとなっているが、これは世界一安いといわれており、筆者もインド滞在中はひんぱんに使っている。車両は日本のタクシーに比べれば汚いし不安だらけだが、とにかく安くてすぐ来るので使い勝手はかなりいい。
新興国では、タクシー料金の設定自体が物価に対して日本よりは安めに設定されているので気軽に利用してしまうが、日本では、「よし乗るか」といった変な気合いが入るのは筆者だけではないはず。賃金も物価上昇に即してアップしていけばいまのような高い印象も和らぐのだろうが……。これも「失われた30年」が色濃く影響した結果なのかもしれない。

