「ものは少ないほうがいい」と、なんとなく思い込んでいませんか? ライフオーガナイザーの尾花美奈子さんは、片づけを続けるなかで、もののよし悪しを決めるのは「数」ではなく「暮らしへの影響」だと気づいたといいます。無理なく管理できて、手に取るたびに気持ちが満たされる。そんなものなら、増やしてもいいのかもしれません。思い出のつまったマグカップをきっかけに見えてきた、50代からの「ちょうどいいもののもち方」を紹介します。

思い出の「マグカップ」が、ものを増やすきっかけに

職業柄、ものを増やすことに慎重な私が、最近あえて増やしたのは「マグカップ」。もともとわが家にあったマグカップは、家族4人に対して2つだけでした。

【写真】やっとの思いで購入したマグカップ

全員で同時に使うタイミングがなかったため、それで十分たりていたのです。ただ、できれば1人1個ずつマグカップをもって、みんなでお茶を飲みながら楽しく過ごしたいという気持ちはありました。

すき間時間に気分転換もかねて、ネットやお店でマグカップを探しはじめたものの、「これだ!」と思えるものにはなかなか出合えず…。

探して探してやっと見つけたのが、今回購入したマグカップでした。

昭和を思い出させるレトロ柄。じつは、実家に似たようなマグカップがあり、私のお気に入りでした。けれど、いつの間にか姿を消していて…。

どうやら、生前整理をがんばっていた母が手放していたようです。

「もらっておけばよかった〜」と、あとから何度も後悔。ときどき思い出しては、残念な気持ちになっていました。

久しぶりにものを増やして感じられた、ワクワク感

そんな背景があったので、今回、実家にあったマグカップと似ている柄の商品をネットで見つけたときは、思わず画面に顔を近づけるほど大興奮!

ただ、昭和レトロが流行っているせいか、どのショップも「在庫なし」。諦めかけながらも探し続け、ようやく在庫ありのショップを見つけて購入しました。

正直なところ、手元に届くまで「本当にちゃんと届くかな?」と不安もありました。それだけに、実物を手にしたときは、あまりのうれしさに、娘たちのところへ見せに行ったほどでした。

届いたからには、新たに収納場所をつくらなければなりません。でも、おっくうでもなければ面倒にも感じませんでした。

途中、なかなかうまく収まらず悪戦苦闘もしましたが、それすらもなんだか楽しい時間に。うまく収納できたときはうれしくて、すぐに写真を撮ったほどです。

今でもその引き出しをあけるたびに、思わずニヤついてしまいます。それくらい大好きな空間になりました。

大切なのは、ものの数より「幸福感とQOL」

今回の経験を通じて感じたのは、「ものを増やすことは、必ずしも悪いことではない」ということでした。

もちろん、収納に困ったり、管理が負担になったりと、「ものが多いことで、生活に支障が出ている場合」は問題ととらえて対処すべきだとは思います。

ただ、「コレクター」と呼ばれる方たちのように、きちんと管理ができていて、むしろものが増えることで幸福感があるのであれば、無理にものを減らす必要はないのだと思います。

私にとって、今回のマグカップはまさにその存在でした。

「大好きな食器は、食器棚の引き出しに無理なく収まるなら増やしてもいい」。そうした自分なりの基準を設けるようにしたのです。無理なく収まる量であれば、出し入れもしやすく、管理も苦にはなりません。

ものを整理するときに本当に意識したいのは、「ものの数」そのものではなく、その人の「幸福感」や「QOL(生活の質)」なのではないでしょうか。

新しく仲間入りしたマグカップを手に取ると、ふと両親の姿が脳裏に浮かび、暖かい気持ちになります。それはきっと、「減らして残ったもの」ではなく、「自分で選び抜いたもの」だからこそ生まれる感情なのだと思います。