53歳でスペインに単身留学し、現在はジョージアに滞在中のRitaさん(56歳)。海外で暮らすようになって、以前までは「がんばるのが当たり前」と思い気負いすぎていたものやことが、近頃は少しずつ変化してきたのだと語ります。「こうあるべき」より「今の自分にちょうどいい」で暮らし方を選ぶようになったRitaさんの生活習慣の変化について、教えてもらいました。

1:食事は「素材の味そのまま」がおいしい

以前、子育て中の食事は「栄養バランスのとれた手づくり」が理想だと思っていました。また、友人たちとの外食の際は、ちょっと背伸びしたり、評判のお店や話題の店ものぞきたくなるタイプ。

【写真】色鮮やかなお野菜

でも今は、現地でしか味わえないものを楽しむ一方で、基本は“素材の味そのままを活かす”食事が心地よくなりました。

野菜や果物が手ごろで手に入りやすい環境もあって、調味料は少なくても、じっくり火をとおしたり、素材の組み合わせを楽しんだりするだけで、十分満たされるようになったのです。

2:「掃除をする日」は決めない

キッチンや洗面所は、使ったついでにひとふきしています。そのため、「掃除をする日」をあらためて設ける必要がなくなりました。そうすることで、おっくうになりがちな「やらなきゃ」と思う気持ちをすっかり消すことができました。

今の住まいはホテル形式で、最低限の家具や調理器具はそろっていますが、ワンルームで広さが限られています。そのため、春夏物や滅多に使わないものはスーツケースに入れたまま、半年間出さずに暮らしています。

「最低限のものを同じ場所に収納する」だけで、ものを動かして掃除する必要もなくなりました。

歩いたついで、座ったついで、ドライヤーをかけたついで…。「ついで掃除」が手軽で快適な生活を維持しています。

3:「もたない快適さ」を知る

日本からスーツケース1つで出発して以来、荷物はほとんど増えていません。

誘惑に負けて洋服やコートを買ったこともありますが、拠点を変えるときには不要なものを手放し、私の適量であるスーツケース1つの暮らしを保つように意識しています。

買い物をする前には、「代用できるものはないか」「本当に必要なものか」を、とてもよく考えるようになりました。どうしても買う必要があるなら、今手もちのなにかを手放すことをセットで考えるようにしています。

そんな繰り返しをしているうちに「なくてもいいもの」がどんどん増えていきました。

4:無理に社交的にならない

私はもともとひとりの時間が好きで、大勢の集まりでは気疲れしてしまうタイプです。ましてや言葉が完全には通じない海外では、余計に気づかいがかさむこともありました。

最初は「海外にいるのだから社交的でいなくちゃ」「社交こそが海外にいるよさなんだから」と自分を奮い立たせた時期もありましたが、無理してがんばる自分は、自分ではないような気がしていました。

今は、心地よい時間ひとりを最優先にしています。たとえだれとも話さなくても、「ああ、今日もいい日だったな」と感じられる自分の時間。

つながることも大事ですが、離れて過ごす時間も同じくらい大切なのだと気づきました。

5:不安を「なくす」より「うまくつき合って」暮らす

海外生活には、お金や健康の不安がつきものです。でも私は、不安をゼロにするのではなく、うまくつき合う方法を考えるようになりました。

おそらく、どの国で暮らしていても、日本であっても、完璧な安心が手に入るものではありません。だからこそ、「不安と一緒に生きていく」という構え方を受け入れることで、生活の基準が変わっていきました。それはけっして悲観でもなく、むしろ自分を大切にする視点のようにも感じています。

年齢を重ね、日本で多様なパターンの基準を経験してきたからこそ、今もう一度、自分の暮らしを選び直すことができています。

過去の自分と比べるのではなく、今の自分、これからの自分の心地よさを選んでいく。
それが、私の新しい「生活基準」です。