【アニメ大先生】第5回 森遥香

写真拡大

人生に迷ったとき、元気がほしいとき、あるいはただ日常を忘れて泣きたくなるとき――そのような瞬間にそっと寄り添う存在がアニメである。アニメには人生のヒントや生きる力が詰まっている。
本コラム『アニメ大先生』は、「人生で大切なことはすべてアニメが教えてくれる」をテーマに、アニメを通じて得られる学びや気づきを綴る連載である。

第5回は、第1回で『サマーウォーズ』の魅力を熱く語ってくれた、アニメ大好きアナウンサー・森遥香氏が再び登場。”アニメ大先生”が森氏に教えてくれた、アニメの奥深い世界とは――?

【関連写真】森遥香さんの『鬼滅の刃』愛が伝わる写真をチェック!

◆劇場版『鬼滅の刃』は”至高の領域”──登場人物が示す「本当の強さ」とは

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開から、早くも5週が経った。
「気になるけどテレビ放送でいいかな」「流行ってるし、逆に観たくない」――そんなふうに思っているそこのあなた。
後生ですから、オタクの叫びを聞いてください。

「1度でいいから映画館で観てほしい! 絶対に後悔はさせません!」

かく言う私も、すでに3回鑑賞している。正直、公開前はこんなに短期間に何度も観に行くとは思っていなかったし、おそらくこれからも足を運ぶと思う。

無限列車編にいたっては、再上映を含めて9回ほど”乗車”した(Blu-rayもカウントすると乗車回数は無限である)。これはもう、すっかり煉獄さん推しになってしまったからだ。私は、序盤の「うまい!」の時点から「最後の晩餐だ……」と、毎度クライマックスのように涙を流していた。

煉獄さんの生き様はもちろんのこと、繰り返し観ても初見のように圧倒されるアクションシーン。無限列車編以降、映像表現はさらに進化し、TVシリーズでありながら「遊郭編」では劇場版さながらのド迫力を見せつけたことも記憶に新しい。

「これ以上、驚くような映像体験はもうないだろう」――そう油断していたのに、まだその先があったのだ。
想像をはるかに超える感動と没入感。鍔の金属音や衣擦れの音まで、細やかに響く繊細な演出。目も耳も支配される圧倒的な情報量。映像、音楽、そしてひりつくようなキャストの演技まで、すべてが「至高の領域」に達していた。

エンドロールでは思わず、画面の向こうにいるクリエイター陣に向かって、心の中で五体投地していた。何度劇場に通っても、この衝撃と興奮はおさまらない。

冒頭から無限列車編と重なるような演出で、「人の想いは受け継がれる」という、作品の柱となるテーマのひとつが描かれている。そんな感極を揺さぶる場面や語りたいことは山ほどあるが、ネタバレは最小限に抑えたいので、ここでは少しだけ。

「鬼滅の刃」という作品に触れるたび、私は「強さとは何か」を考えさせられる。
どんな相手にも手を差し伸べる炭治郎や慶蔵のような優しさだろうか。不条理な世の中に絶望しても、自暴自棄にならない胆力だろうか。

私は「人は繊細な情緒を持っているからこそ、鬼にもなりうる」のだと思っている。
弱さや醜い感情、特別になりたい欲求――それらは人間に本来備わっているものだ。それらに飲み込まれてしまったとき、人は鬼になってしまう。

鬼殺隊を見ても、初めから強い人などいない。自信はなくとも、弱さを受け入れることができれば、善逸のように弱点を強みに変えることもできる。
弱さを認めることこそが、強さへの出発点。登場人物たちは、そのことを身をもって示してくれた。

とはいえ、わかっていても、これがなかなか難しい。自分の嫌な部分を受け入れるには、大きな勇気が必要だ。
だから私は、そんなとき「心を燃やせ」と心の中で唱えるようにしている。  
まだまだ強くなるには修行が必要かもしれない。
それでもせめて、心の中の幸せの箱から、幸せがこぼれ落ちないように──そんなふうに生きていきたい。