話を整理して伝えられる人は何をしているか。関西テレビ放送アナウンサーの石田一洋さんは「ロジカルに話を整理するコツは、一度話の構成をまとめてみることだ。一般的なビジネスシーンでは、『ピラミッドストラクチャー』という基本の型に沿って『主張』『理由』『事例』という3つの項目を当てはめていくだけで、自然に話の論点を整理できる」という――。

※本稿は、石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■ロジカルに話の要点を整理する魔法のフレームワーク

「説明をしているときに、何を話していいのか分からなくなる」
「頭で整理しながら話したいんだけど、どうまとめればいいのか分からない」
「もっとロジカルに説明できるようになりたい」

このように思う方が数多くいます。

しかし、実際にロジカルに話を整理できている人は多くありません。

ロジカルに話を整理するには、あるコツがあります。

そのコツとは、一度話の構成を頭の中で描いてみる、あるいは書き出してまとめてみることです。

順番に沿って決まったパターンに落とし込むだけで、自然とロジカルな説明になります。

ロジックのパターンは大まかに分けても数十はあるといわれていますが、一般的なビジネスシーンを想定した場合、それほどの数は必要ありません。

本稿では、聞き手を論破することではなく、分かりやすく伝えて、聞き手に動いてもらうための説明を目指していますので、基本の型を覚えるだけで十分です。

もっとも代表的な型が「ピラミッドストラクチャー」と呼ばれるものです。

ピラミッドストラクチャーを使った説明には、明確な強みがあります。

それは、「理由」や「事例」によって、「主張」が支えられることです。

■説明は「主張・理由・事例」の3段構造で整理する

各階層の項目を当てはめていくだけで、話の論点を整理することができます。

説明シーンでは、次の3段構造のピラミッドストラクチャーを用意しましょう。

・上から1段目の階層→「主張」
・上から2段目の階層→「理由」
・上から3段目の階層→「事例」

出所=『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』

2段目、3段目はそれぞれ1〜3つの項目を設定します。

4つ以上になると、話が膨らみすぎて論点がぼやけるため、まずは3つ以内で考えるようにしましょう。

それでは、実際に「新人歓迎会のイベント案」というテーマで考えてみましょう。

1段目の「主張」は「ボウリングにしよう」だったとします。

その場合、1段目の主張に「新人歓迎会はボウリングにしたい」を入れます。

2段目の階層は「理由」です。

「みんなで楽しめる」「部長が喜ぶ」「予算に収まる」の3つを入れてみます。

■要素をピックアップして、箇条書きにするだけでいい

そして、3段目の階層の「事例」も考えると、次のような説明になります。

?主張「今回の新人歓迎会はボウリングを提案します。その理由は3つです」

?理由「まず1つ目は、みんなが楽しめること。次に部長が喜ぶこと。最後に予算内に収まることです」

?事例1「最初の、みんなが楽しめるという点ですが、ボウリングは老若男女問わず、誰でもプレーできます。スコアにハンデをつけることで、うまい下手にかかわらず、みんなが拮抗して勝負できることも、幅広い年代が揃う社内イベントには最適です。

さらに、部署対抗戦にしてチームごとにレーンを分ければ、一投ごとに拍手やハイタッチが飛び出して、メンバー間で一体感が生まれますし、会話のきっかけもつくれるのではないでしょうか」

?事例2「2つ目の部長が喜ぶという点は、実は部長は平均スコア200超えの凄腕です。2年前も歓迎会でボウリングが行われたのですが、ベストスコア賞を獲得してご満悦だったそうです。その翌日も機嫌が良かったので、これは見逃せないメリットだと思います」

?事例3「3つ目の予算の点については、会社から一番近いボウリング場で貸し靴込みで3ゲーム1000円というお得なプランが用意されています。

これなら賞品代を捻出しても1人2000円の予算に収まりますので、コスパに優れています。以上3つの理由から、今回の歓迎会はボウリングがよいと思いますが、いかがでしょうか?」

これまでにご紹介したポイントとピラミッドストラクチャーを組み合わせると、このような説明が出来上がります。

構造はシンプルですが、主張と理由がハッキリしています。

このように、思考を整理して全体の設計図を明確にすることで、伝え漏れや余計な話がなくなります。

最初から頭の中だけでピラミッドストラクチャーを浮かべて整理するのは難しいので、まずは書き出してみることをおすすめします。

要素をピックアップして、箇条書きにするだけでいいのですぐに完成します。

大事な説明をする前など、ぜひ試してみてください。

■「理由」や「事例」を入れて回りくどくなるなら省く

ピラミッドストラクチャーが相手を動かすときに優れているのは間違いないのですが、型にこだわりすぎず、シーンに応じて臨機応変に対応することも重要です。

理想としては、2段目の階層が「理由」で、3段目の階層が「事例」という形です。

しかし、プレゼンテーションや難易度の高い依頼など、聞き手を動かすために説得力を持たせたいとき以外は、この型を崩しても大丈夫なのです。

説明をするとき、いつも「理由」や「事例」があるとは限りません。

そんなとき、ピラミッドストラクチャーは必ずしも3層である必要はありません。

例えば、明日の予定を次のように「理由」と「事例」を入れて説明していては回りくどくなります。

「明日は朝8時に集合でお願いします。なぜなら、営業先に行く前にミーティングをしたいからです。例えば……」

この場合はシンプルに、

「明日は朝8時に集合します。その後、軽くミーティングをしてから、みんなでA社に向かいましょう。A社の商談が終わった後、丸の内に移動してからランチタイム。そして、14時にB社に訪問する予定です」

と伝えれば問題ありません。

■ときに「理由」を伝えると、重要性を高める効果も

一方で、「朝8時に集合すること」に大きな意味がある場合は、次のような補足説明が必要になります。

「明日は朝8時に集合します。営業先に行く前に、大事なミーティングを行うからです。いつもより1時間早い出社になりますが、遅れないようにお願いします」

ピラミッドストラクチャーの2段目の階層を用意して、「大事なミーティングを行うから」という「理由」を伝えることで、集合時間の重要性を高めることができるわけです。

写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat

聞き手にしっかり理解してほしい点については、「理由」「事例」を入れて階層を重ねるよう意識しましょう。

事例を語る必要がなければ、理由だけ伝える2階層で構いません。

また、理由すら必要なければ、主張や結論だけの1階層でOKです。

説明といっても、そのパターンは実に多様です。

複雑な内容を説明して聞き手を説得するものから、スケジュールの連絡や簡単なお願い程度のものまで、伝える目的や状況によっても異なります。

もし事実を伝えるだけでよい場合は、無理に内容を膨らませるより、聞き手に伝えたいことだけに絞って、短く伝えたほうがよいでしょう。

■「ポイントは○つあります」の効果

「これからお話ししたいポイントは3つです」
「新商品の主な特徴は2つあります」
「重要なのは、この1点のみです」

このように、話す内容の項目数を先に提示することは、聞き手だけでなく、説明をする自分自身にもメリットがあります。

石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)

そのメリットは次の3つです。

1つ目は、先に数を言うことで項目が絞られるため、頭の中が整理しやすくなること。

2つ目は、結論が前にくることで大事なポイントが明確になるため、伝わりやすい話し方になること。

3つ目は、項目の数に応じて時間を配分すればよいため、話す内容のボリュームを決めやすくなること。

どうでしょう。

いま、まさに、項目数を先にお伝えする説明の仕方を実践してみました。

この説明が分かりやすいと思っていただけたのであれば、「ポイントは○つあります」には効果があるといえます。

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石田 一洋(いしだ・かずひろ)
関西テレビ放送アナウンサー
広島県出身、2002年早稲田大学商学部卒業。RKB毎日放送を経て2014年から現職プロ野球日本シリーズや、競馬G1、大阪国際女子マラソンなど全国ネットのスポーツ中継のほか、番組MCやリポーター、ニュース、ラジオパーソナリティ、ナレーション、司会と幅広く担当。アナウンスメントやドキュメンタリー制作のコンテスト優勝、受賞歴多数。第10回全国講師オーディションではグランプリを獲得。学校や企業研修では、「伝わる説明の技術」や「人を動かす伝え方」を中心に、「アサーティブコミュニケーション」「獲れる採用説明会の作り方」などを指導している。
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(関西テレビ放送アナウンサー 石田 一洋)