「敵」が東京国際映画祭の最高賞、東京さくらグランプリを受賞。(右から)主演の長塚京三、吉田大八監督、審査委員長のトニー・レオン

写真拡大

 第37回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが6日、都内で行われ、コンペティション部門(トニー・レオン審査委員長)の最高賞、東京グランプリに長塚京三主演「敵」(吉田大八監督、来年1月公開)が受賞した。長塚が最優秀男優賞、吉田氏が同監督賞と計3冠を獲得した。

 邦画の最高賞は2005年「雪に願うこと」(根岸吉太郎監督)以来、19年ぶりの栄冠。同作で最優秀男優賞の長塚は16年ぶりの主演映画だったが「こういう次第になってびっくりし、まごまごしている。年も取って、もうそろそろ引退しようか、とも考え始めていた。奥さんが、がっかりするかもしれないが、もうしばらくここの世界でやってみようと思う」と現役続行を明らかにした。

 吉田監督は「この作品で自分がいい監督だったがどうか分からなかったが、“敵”でなく、“味方”の皆さんのおかげでいい映画になったと思う」と喜びをかみしめた。モノクロ映画の「敵」は、筒井康隆原作。大学教授を辞めて10年になり、静かな日々を送っていた男に起きる異変を描いていく。