【解説】与党過半数割れで自民党は“少数与党”に?維新・国民と連立組み過半数を維持?それとも野党に政権交代?【衆議院総選挙】
“与党過半数割れ”という、厳しい審判が下された今回の衆議院選挙。
与党が過半数に届かないという結果に終わったわけですが、自民党に一体何が起こってくるのか。
このニュースについて、政治ジャーナリスト・田崎史郎氏(※崎は立つ崎)に聞きます。
──なぜ石破首相は辞任しないのか。
政治ジャーナリスト・田崎史郎氏:
石破さんは、まず自分はやる気だということです。自分が続けたいと思っていること。
もう1つは、首相指名選挙を来週後半に控えているので、自民党にとっては首相を変えるよりも、権力を維持すること政権を維持することが重要なんですね。
石破さんの足を引っ張っても何の得もないねということで、みんな静かにしているということです。
──「辞めろ」という声もない?
政治ジャーナリスト・田崎史郎氏:
多少、起きてくると思います。これから。
今後の国会運営どうなっていくかですが、今回の選挙結果というのは、私たちの生活に関する法案にもいろいろ関わってくる大事なことになってくるわけです。
前提として、衆議院というのは小選挙区と比例で定数が465です。
今回の選挙の結果、自民・公明合わせて、与党で215議席ということなので、過半数の233議席には及びませんでした。
もし仮にこれが、政治資金不記載問題で非公認になった議員、そして当選した人を追加公認したとしても届かない数字だったということです。
そうなると、与党の提出した法案が通りにくい事態になるということなんです。
そこで、ここからは自民党に今後何が起こるのかということを見ていきます。
3つのパターンが考えられます。
1つ目が“少数与党で混迷のまま生きていく”。
2つ目が“維新・国民などと連立を組んで過半数を取りに行くこと”。
3つ目が“野党に政権を取って代わられる”、政権交代というパターンですね。
──首相会見では「連立は考えません」とあったが、少数与党の混迷のまま生きていけるものなのか。
政治ジャーナリスト・田崎史郎氏:
1996年に橋本龍太郎氏が解散総選挙を行った時、自民党は過半数よりも12少なかったんです。今回は過半数より18少ないんです。
12少なかった時は、半年ぐらいで12人増やしたんですよ。それは石破茂さんはいったん自民党を離党したんですが、この時、復党したり高市さんは自民党に入党したりして。いろいろ引っ張ってきたんですね。
そういうことをやっていけば10くらいは復活できる、戻すことができるんですけれども、18というのはちょっときついかなと思います。
では、2つ目・3つ目のパターンについて可能性があるのか見ていきます。
維新、国民民主党などと連立で過半数を取りに行く場合、例えば38議席の維新ですとか、28議席の国民民主党など、ここが回れば数字上は過半数を到達する計算にはなります。
──キーマンは国民民主?
政治ジャーナリスト・田崎史郎氏:
政策的に比較的近いのが、国民民主や維新なんですね。
しかしながら両党とも、自民党の政治とカネを激しく批判して、今回、議席を国民は大きく伸ばした。そうなると、今度は逆に立憲のほうに乗るかということになると、維新と国民を足しますと、これが214になるはずです。
自民と公明党を足して215で、1議席足りないだけなんですけど、そこで、れいわが乗っかれば野田佳彦氏が首相に指名されて、立憲民主党政権ができるわけです。
でも、維新や国民民主党は自民党にも乗らないけど、立憲にも協力しない。それぞれ独自の道を歩んでいくということ。
それはやっぱり総選挙を前にして選挙協力、立憲と維新と国民の間では全く進まなかったわけですね。
あの時やっておけば、こういう時は信頼関係はできているんですけど、基本的な政策の一致がないという理由で選挙協力もできなかったんです。
もう1つは、2025年に参議院選挙があるんですね。参議院選挙は、それぞれの政党で戦うので協力したら、かえって損になるということです。
どうやって過半数を回復するかということですが、それはそれでなかなか難しくて、特に問題なのは、法案ならば修正なんかできるんですが本予算なんですよ。予算に賛成してくれるかというのは非常にハードルが高いですよ。
3つ目、野党に政権をとってかわられるパターン。これは多くの野党が一体となって、与党に立ち向かっていくパターンです。
来週には“首班指名”もある。
首班指名というのは、首相指名選挙でして、この場合1回目の投票で過半数を取れば、自民党A党だとすると石破首相がそのまま首相になりますが、1回目の選挙で過半数を割れてしまうと2回目、決選投票となり、恐らく今回野田氏、石破首相という対決になるのではということです。