前半、ヘディングで先制ゴールを決める北川(左、カメラ・越川 亘)

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◆国際親善試合 なでしこジャパン4―0韓国女子代表(26日・国立)

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は、8強だったパリ五輪後初戦で韓国女子代表に4―0で快勝し、28年ロサンゼルス五輪に向けて最高の船出を切った。前半32分に、右CKからDF北川ひかる(27)=ヘッケン=のヘッドで先制すると、5分間で3点のゴールラッシュ。この試合限定でコーチを務めた元日本代表DF内田篤人氏(36)の指導が、攻守に実を結んだ。後半11分には、MF谷川萌々子(19)=ローセンゴード=が4点目を決めた。

 満面の笑みで仲間に抱きついた。0―0の前半32分。北川はMF長谷川の右CKから、ゴール前へのクロスに走りこみ頭で合わせると、ポスト左に当たりネットに吸い込まれた。勝利を呼び込む先制弾に北川は「コーナーのニアは得意なポジション。唯さんのボールがニアに来ると思っていたし、どういう軌道で来るかも分かっていた」とうなずいた。

 “ウッチー効果”だった。この試合のコーチを務めた内田氏は、セットプレーや守備の指導を担当。セットプレーでは入るポイントや蹴るタイミング、それぞれの場面でのポジショニングを徹底指導した。試合2日前の“内田塾”ではDF陣にヘディングなどの指導を行い、CKからの先制点と無失点へと導いた。

 パリ五輪4試合でなでしこはCKからは無得点。韓国の試合映像を内田コーチと見ながら、セットプレーの攻略法を練ったという長谷川は「動き方の工夫を指導してもらった。なでしこにとってポジティブな要素が多かった」と明かした。佐々木則夫監督代行(66)も「ウッチーのおかげ」と感謝した。

 先制点で勢いづいたチームは、2分後に北川のプレスから生まれたチャンスをMF藤野が決めて追加点を得ると、同37分には相手のミスからFW田中が3点目。素早い攻守の切り替えを体現したサッカーで、5分間に3点を奪った。

 五輪後退任した池田太監督(54)の後任は未定。昨年の女子W杯やパリ五輪は8強止まり。再び世界のトップを争うには、新たな武器を加えて欧米勢と渡り合う必要がある。“内田イズム”も糧になでしこの挑戦が始まった。(浅岡 諒祐)

 ◆内田 篤人(うちだ・あつと)1988年3月27日、静岡・函南(かんなみ)町生まれ。36歳。06年に清水東高から鹿島入りし、右サイドバックとして07〜09年のリーグ3連覇に貢献。10年夏にドイツ1部シャルケへ移籍し、17年夏から同2部ウニオン・ベルリンへ。18年に鹿島に復帰し、20年8月に現役を引退。08年北京五輪、10年南アフリカW杯、14年ブラジルW杯日本代表。国際Aマッチ通算74試合2得点。176センチ、67キロ。右利き。