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 将棋の藤井聡太竜王(22)=王将を含む7冠=が挑戦者に佐々木勇気八段(30)を迎える第37期竜王戦7番勝負第3局は25日、京都市の仁和寺で始まり午後6時9分、後手・佐々木が56手目を封じて1日目が終了した。53手目、藤井が飛車を2筋から8筋へ転回する地下鉄飛車を発車させ、佐々木の王頭へ圧力を加えた。

 飛車の利きが外れたため佐々木角に2筋への成り込みを許す決断の一着。「全力を尽くし、最後まで見応えのある熱戦にできるよう頑張りたい」。24日の前夜祭で語った意気込みを指し手に示した。

 福井県あわら市での第2局から中4日で臨む、1勝1敗での第3局。1日目に自陣の囲いを崩してまで、強く反発してきた佐々木の指し手に対応できず「完敗。早い段階で熱戦にできず、残念」と語った反省を盤上で生かすかのようだ。2日目は午前から激しい戦いに突入すると予想される。

 戦型は佐々木のダイレクト向かい飛車になった。日本将棋連盟のデータベースによれば、居飛車党の佐々木が居飛車相手に飛車を振るのは2017年3月20日、NHK杯での中村修九段戦以来7年ぶり。第1局を藤井、第2局は佐々木と先手番が制し合って迎えた第3局。藤井の先手番をブレイクできれば、7番勝負を先行して自身が先手となる第4局へ持ち込める。24日の前夜祭。750人のファンへ向けたあいさつで「自分の力を出し切りたい」と意欲を語っていた。

 佐々木の変化球は予想の範囲内だったのだろうか。8筋から2筋へ佐々木が飛車を振った直後の15手目、藤井はわずか2分で王を7筋へ寄った。そこまでの消費時間は佐々木の7分に対して藤井は6分。その後は一転、37手目、王のコビンが開く5筋の歩突きに1時間7分、昼食休憩明けの43手目、佐々木角へ圧力を加える天王山への歩の進撃には1時間31分と慎重に時間を使った。指し掛けまでに持ち時間8時間から藤井は4時間16分、佐々木は3時間20分を消費と1時間近い差が生じている。

 なお午後3時のおやつは藤井が濃厚かぼちゃの王手パフェとアイスティー。佐々木はどら焼きと京都宇治玉露。26日午前9時から対局再開される。