退職金がこの20年で「700万円減少」…50〜60代を直撃する「定年後不安」をどう解消するか

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年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。

10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

50歳以降に急上昇する「仕事満足度」

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」によれば、多くの人が定年後に就く「小さな仕事」にやりがいを感じ満足している人は増えるのだという。

〈年齢を追いながら仕事満足度の推移を見ていくと、現在の仕事に満足している人の割合は20歳時点の44.2%から30歳には36.8%まで下がる。

若い頃は比較的多くの人が充実感をもって仕事をしているが、仕事をしていくうちにそうした気持ちは失われていく傾向にある。

その後、50歳時点の35.9%まで低調に推移を続ける。壮年期の労働者のうち現在の仕事に満足しているといえる人は3人に1人しかいない。

そして、50歳以降は一転して仕事に満足している人の割合は急上昇する。60歳の就業者の45.3%、70歳の就業者の59.6%が仕事に満足している。

つまり、70歳の就業者の5人に3人が、いまの仕事に満足していると答えているのである。

これは、かつて従事した責任ある仕事を失い低い給与で働いているという表層的にうかがえる事実に照らして、意外な結果といえる。〉(『ほんとうの定年後』より)

定年後のことに漠然とした不安を抱く人も多いなか、60〜70代で仕事に満足している人の割合が増えることはポジティブな話だろう。

退職金が激減している

厚生労働省「就労条件総合調査」などから、退職金の状況を知ることができる。

〈2003年に2499万円あった退職給付金額は、2018年には1788万円と、近年急速に減少している。退職金額が減少している背景には、バブル崩壊以降の低金利によって退職積立金が減少していること、などが影響している。

近年、退職金制度を取り巻く状況は大きく変わっている。

日本企業では歴史的に給付額が約束されている退職金のみを支払う企業がほとんどであったが、バブル崩壊による低金利などを背景に前払い賃金の性格が強い確定拠出年金への移行が進んでいる〉(『ほんとうの定年後』より)

20年前には約2500万円だった退職金は、1700万円台にまで落ち込んでいる。

700〜800万円も減っていることは衝撃だが、このことは不安にも直結しうる。

定年後を豊かに生きるために、仕事とお金のことをデータなどからしっかり把握し、少しでも不安を安心に変えておきたい。

つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。

多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体