「おから」で絶品ゆで豚までできる!飛田和緒が発見した”史上最強の卯の花レシピ”

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料理家・飛田和緒さんが食材を無駄にしない方法をお伝えする「始末の料理」連載の後編は「おから」を使ったレシピを紹介します。

食物繊維たっぷりで栄養も豊富、低カロリー、低糖質でお値段も激安、ところによっては、無料でくれるお豆腐屋さんもあったり。

ところが日本豆腐協会によれば、こんなにもありがたい「おから」が年間約70万トンも捨てられており、私たちが食べているのはおから全体の1%にも満たないのだとか(大半は肥料や飼料などに利用)。

便秘がちだったフードスタイリストKさんを救った「おからドーナツ」のレシピ開発をきっかけに、「おから」の活用法にハマった飛田さん。この「もったいない」現実に立ち向かうべく、おからレシピを開発しました。

前編「便秘女性を救った『おからドーナツ』。料理家・飛田和緒が『生おから』で絶品レシピを考案」では、豚肉を煮る時に、豚を柔らかくする効果があり、しかもあく取りにもいいからと、一緒に入れたおからで作った“卯の花”が、これまで飛田さんが作ってきたどんなレシピよりもおいしかった“極うま卯の花”や、Kさんの便秘を1回で直した、最強の「おからドーナツ」について、お伝えしています。

おからたっぷりのドーナツ

おからはできるだけたくさん入れつつ、粉は減らす…がみそ。砂糖はきび砂糖以外に、上白糖やグラニュー糖など好みのものでOK。

おからのドーナツ

●材料(約8個分)

生おから(冷凍でも可) 100g

薄力粉 50g

ベーキングパウダー 小さじ1

塩 一つまみ

きび砂糖、または好みの砂糖 大さじ4強

豆乳(成分無調整) 大さじ4

揚げ油 適量

●作り方

1ボウルにおからを入れ、薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい入れ、塩、きび砂糖も加えて混ぜる。豆乳を、様子を見ながら加えてひとつにまとまるまで混ぜる。

2手に油少々(分量外)をつけ、直径3cmくらいに丸める。

3揚げ油を170℃に熱し、2を入れて返しながら3〜4分揚げる。

4器に盛り、好みで粉砂糖をふる。

「おからは冷凍したものを使っても。生地も冷凍できます。冷凍保存した生地は半解凍して丸めて揚げます」。

揚げたドーナツを冷凍保存する場合は、冷ましてから冷凍し、食べる時は凍ったままオーブントースターで焼きます。

ゆで豚に使ったおからが最高の味に

おからは、豚の塊肉のあくとりだけでなく、落としぶた代わりにもなります。おから効果で、あくとりせずとも豚肉はやわらかくしっとりとゆで上がります。しかも脂はすべておからが吸ってしまうのか、脂をすくう手間なし。豚肉もおからも美味しくなって一石二鳥にも三鳥にもなる、最強レシピです。

ゆで豚

●材料(作りやすい分量)

豚バラ肉(塊) 650g

塩 大さじ1/2(豚肉の重量の1%)

生おから(冷凍でも可) 200g以上

●作り方

1豚肉は鍋に入るように半分に切り、全体に塩をすり込む。ポリ袋に入れ、冷蔵庫に約1日(から3日まで)おく。

2厚手の鍋を熱し、豚肉の脂の多い面から焼き、返しながら全面を焼く。

3全面がこんがりと焼けたら水5カップを加え、豚肉を覆うようにおから200gをのせて豚肉がやわらかくなるまで1時間〜1時間30分ゆでる。途中で豚肉が煮汁から出るようになったらおからをのせて煮る。

4豚肉がやわらかくなったら火を止め、ふたをして粗熱がとれるまでおく。

5豚肉は取り出し、ゆで豚などとして食べる。鍋に残ったおからで卯の花を作る。

ゆで豚の食べ方(おまけ)

豚肉は薄切りにし、薬味に長ねぎのせん切り、香菜のざく切りなどを添えます。塩豚で味がついているのでそのまま食べられます。

「ほかにはラーメンなどの麺ものと合わせたり、サンドイッチやサラダの具にしたりし、はしっこはチャーハンにと使っています」(飛田さん)

ゆで豚を角煮にする場合は、塩をしないでおからで豚肉をゆでる。豚肉のおからと水分を拭き取って、食べやすく切って鍋に入れ、ひたひたの水、薄切りのしょうがとにんにく各2かけ、酒1カップ、砂糖大さじ3、しょうゆ大さじ4〜5を加えて強めの中火で20分ほど煮ます。

肉好き夫が丼で平らげた最強レシピ

卯の花

豚肉をゆでた後の、鍋に残ったおからで作ります。豚肉を取り出した後は水分が多く、シャバシャバなので、まずは水分を飛ばし、それから具材を加えて煮ます。

「豚の脂を吸っているので、具材は野菜やきのこなどさっぱりした食材がおすすめです」と飛田さん。

材料(作りやすい分量)

●豚肉をゆでたあとのおから 全量

生きくらげ 大2枚

生しいたけ 3枚

にんじん 1/2本

長ねぎ 1/2本

みりん、しょうゆ 各大さじ2

●作り方

1きくらげは5cm長さの細切りにする。しいたけは石突きを除き、軸は縦薄切り、かさは半分に切って薄切りにする。にんじんは3cm長さの細切りにする。長ねぎは小口切りにする。

2豚肉を取り出した鍋を火にかけ、ときどき混ぜながら水分を飛ばす。おからのザラザラが見えてきたらきくらげ、しいたけ、にんじんを加えて混ぜながら煮る。

3汁けがほぼなくなったらみりん、しょうゆを加えて焦がさないように混ぜながら煮つめる。しっとりしてきたら長ねぎを加え、ひと混ぜして火を止める。

※卯の花は密閉容器に入れて、冷蔵保存で4〜5日保存可能。

キムチ鍋にとろみとボリュームが

飛田さんが今お気に入りで作っているおから料理。とろみがつき、ボリュームもアップします。飛田さんは「気軽におからを摂るなら、いつもの汁物に加えてみるのもおすすめ」とも。

豚キムチ煮

●材料(2人分)

豚バラ薄切り肉 200g

白菜キムチ 400g

絹ごし豆腐 1丁(300g)

にら 1/2束(50g)

生おから(冷凍でも可)50〜100g

だし汁または水 3カップ

ナンプラー 小さじ1

しょうゆ 小さじ1/2

ごま油 少々

●作り方

1豚肉は4〜5cm長さに切る。豆腐は8等分に切る。にらは4〜5cm長さに切る。

2鍋に豚肉を入れて脂なしで炒め、豚肉の色が変わったら白菜キムチを汁ごと加えて炒める。油がまわったらだし汁を加えて10分ほど煮る。

3豆腐を加えて煮て温まったらナンプラー、しょうゆを加える。おからを加えてしっとりするまで2〜3分煮、にらを加えてさっと煮、ごま油をまわしかけて火を止める。

便秘にいいというおからですが、食べ過ぎは逆効果にも。というのも大量に摂取するとお腹に便が溜まりやすくなり、その結果、便が出づらくなる可能性があります。くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。

便秘の悩みはなくとも、不足がちな食物繊維がふんだんに摂れる卯の花は、筆者も時々は作っていました。

が、これまでのパートナーの反応は飛田さんの夫とまったく同じ。あまり興味を示さず、一口、二口くらいしか食べない……。

ところが豚バラ肉をゆでたおからから卯の花を作り、「騙されたと思って食べてみて」と出すと、「美味しいね。もっと頂戴」となったのです!

メインおかずのゆで豚がおいしく煮えて、おからは最強の味わいになる。それこそ「騙された」と思って、ぜひ作ってみてください。

取材・文:相沢ひろみ

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