「政治とカネ」に優しすぎる国は、経済成長しないことが判明…!シンガポールで汚職政治家に下された「厳罰の中身」と日本との「ヤバすぎるちがい」

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知っておきたい「汚職と経済停滞」の深い関係

世界でも最も汚職が少ない国の1つといわれるシンガポールで、先日、現職大臣への賄賂をめぐる裁判が決着をしました。

その判決の内容は、当初の疑惑よりも少ない金額の賄賂であったにもかかわらず、検察の求刑よりもさらに厳しいものでした。

政治とカネにまみれる日本では、考えられない判決にシンガポールと日本とのちがいを感じざるをえませんでした。

この経緯からは、シンガポールが政治家や公務員に対してどのような規律を求めそれに違反したものを厳しく罰することで、今のアジアで最も豊かな経済的繁栄を築いてきたのかが垣間見えます。

経済成長する国で「政治腐敗」がない理由

国際的な調査団体であるトランスペアレンシー・インターナショナルは、10以上の公的機関が調査したレポートに基づいて、腐敗認識指数というランキングを発表しています。

この指数は最もクリーンな状態を100、腐敗の極致を0としてポイントを発表しており、最新の24年1月に発表されたレポートによると、デンマークが90ptsで世界で最もクリーンな国となっています。

そのあとにつづくのは、2位=フィンランド(87pts)、3位=ニュージーランド(85pts)、4位=ノルウェー(84pts)、5位=シンガポール(83pts)、6位=スウェーデン、スイス(82pts)です。

ちなみに、日本はベルギーやウルグアイと並ぶ73ptsで16位にランクインしています。

上位にランクインしている国々は、豊かな国ばかりです。

世界銀行による2023年時点の1人あたりGDPで見て1位のデンマーク=約6.8万ドル、2位フィンランド=約5.4万ドル、3位ニュージーランド=約4.9万ドル、4位ノルウェー=約8.8万ドル、5位シンガポール=約8.5万ドル、6位スウェーデン=約5.6万ドル、同スイス=約10万ドルでした。日本=約3.4万ドルなので、我が国をはるかに上まわっています。

シンガポールで下された「厳しすぎる懲役刑」

シンガポールは、資源に乏しく65年前の独立時には世界でも最貧困のレベルでしたが、いまやアジアでも最も豊かな国へと昇り詰めました。そのプロセスは、政治がクリーンであることが重要な基盤となってきました。

私自身シンガポールで暮らすようになって10年以上が経過して、こちらで営利法人を経営していますが、シンガポール政府とやり取りする際にデジタル化が進んだ効率性とともにその透明性にもよく感心させられます。

そのシンガポールで1986年以来となる現職閣僚の汚職による退任が昨年に起き、国民の関心事となりました。

イスワラン前運輸大臣は、昨年にシンガポールの不動産王と知られるマレーシア人の大富豪オン・ベンセン氏から高額の贈答品を受け取ったとして逮捕され、24年10月に判決が出ました。オン・ベンセン氏はF1のシンガポールGPの開催権を持っているプロモーターでもあります。

罪に問われた賄賂の金額は、2017年のF1シンガポールGPのVIPシートや22年のカタールのドーハへの旅行代金など総額1000万円以下で、当初に追及された金額よりも少額にとどまりました。

それでも懲役1年の判決が下り、それは検察が求刑した半年の2倍という厳しい内容でした。

毎年のように政治家の金銭スキャンダルが複数報じられ、閣僚辞任もめずらしくない日本とのちがいに正直、驚きました。

そして、シンガポールで汚職が少ない理由は、さらに日本との違いを鮮明にしているのです。

その驚きの中身については、後編『日本の「政治とカネの問題」の罰則が“甘すぎ”だったウラで、世界とどんどん広がる「経済格差」のヤバすぎる実態』で詳しくお伝えしていきます。

日本の「政治とカネの問題」の罰が“甘すぎ”だったウラで、世界とどんどん広がる「経済格差」のヤバすぎる実態