半導体決算に注目、海外発の波乱経て=今週の米株式市場

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Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 今後数週間の米国株式市場では、半導体関連株の決算に注目が集まりそうだ。半導体は幅広い製品に使用されるため、関連企業の業績と株価は景気・市場動向を探る上で重要な手掛かりとなる。

半導体産業は今年、人工知能(AI)ブームの中心に位置し、中でも大手エヌビディアの株価は高騰した。

ミラー・タバクの首席市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「半導体株が持ちこたえることが決定的に重要だ。これらの株が下がれば市場全体を圧迫する」と語る。

フィラデルフィアSE半導体株指数(SOX指数)は今年前半に40%余りも上昇した後、伸び悩み、現在は年初来で約25%高となっている。これに対し、S&P500種総合指数の年初来上昇率は22.5%だ。 

S&P500指数における半導体株とその関連設備の株のウエートは11.5%。エヌビディアだけで6.8%のウエートを占めている。

海外では15日、欧州最大のハイテク企業であるオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLが発表した2025年の売上高と受注の見通しが予想を下回り、米国でも半導体株が急落した。しかし17日には半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が予想を上回る増益を発表したため、半導体株は全般に反発した。

半導体セクターで次に注目されるのは米テキサス・インスツルメンツ(TI)や米半導体装置メーカー、ラムリサーチが21日からの週に発表する決算だ。

シノバス・トラストのポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏は、TIの半導体は自動車などに幅広く利用されているため、これら産業が回復しているかどうかを見極めるバロメーターになると述べた。

モーガン氏によると、米半導体株の株価純資産倍率(PBR)は5.6倍と、適性水準にある。2021年は8倍を超えていた。

28日の週には米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が決算を発表する。来月終盤に予定されるエヌビディア決算を前に、AI関連半導体の需要を探る最初の手掛かりとなるだろう。

AMDがAI関連半導体について強い需要見通しを示すなら、「セクター全体にとって追い風になる」とミラー・タバクのメイリー氏は述べた。

21日からの週には、半導体企業以外でも電気自動車(EV)のテスラやコカ・コーラ、IBMなど、S&P500社の中で100社を優に超える企業が決算を発表する予定。