Image: Menlo Park police Chief David Norris via SFGate

警察車両として活躍できるの?

カリフォルニア州アーバイン警察署が、派手めなプロモーションビデオで、新しいTasla(テスラ)サイバートラックのパトカーを披露して大きな注目を集めています。

動画では『ターミネーター』シリーズの音楽が使われていることもあり、ちょっと不気味な雰囲気。アーバイン警察署は、警察車両として使用される初のサイバートラックだと謳っているのですが、実際にはパトロールではなく、D.A.R.E.(薬物乱用防止教育)プログラムにのみ使用されています。

しかし、テスラ車は犯罪捜査用の警察車両として本当に向いているのでしょうか?

EV車は加速が速く、ステアリングもいいですし、理想的に思えますが…。

警察車両として向いているのか?

そんな疑問を解決すべく、メディアサイトSFGateが調査を行なっています。すでにテスラ車を導入している北カリフォルニアの3つの警察署に話を聞くと、電気自動車にネガティブな意見はなかったものの、同時に特にすごく熱い反応もなかったとのこと。今回のような法執行機関での使用に限らず、EV車全般の課題とも呼べることなのですが、充電問題はどうなのでしょうか?

1日中運転しなければいけない警察車両にとって、充電問題は大きそうに思えますが、実際にはそうではないようです。署長たちが最も強調した2つの問題点は、車両のサイズとカスタマイズでした。

メンドシーノ郡のユカイア警察署は、2022年に市議会が可能な限り環境に優しい車両に転換するよう各部署に指示する決議を可決した後、2台のテスラ モデル3の購入に踏み切りました。クルーク警察署長は、警察仕様に改造された2台のモデル3の費用は15万ドル(約2250万円)だったとSFGateに語っています。

改造ができるのはたった1工場

クルーク署長が最初に言及した問題は、改造についてでした。

テスラは通常の状態でもサービスやカスタマイズが難しいことで有名ですが、警察車両は緊急ライト、プッシュバー、仕切り、防弾パネルなど、多くの追加装備を必要とします。

テスラをそういった形に改造できるのは、ホーソーンにあるアンプラグド・パフォーマンスという場所のみ。ここはアーバイン警察署のサイバートラックの改造も請け負っています。クルーク署長がアンプラグドに連絡を取ったところ、モデル3のカスタマイズには数カ月かかることがわかったそうです。しかもその改造をしてもらうには、何百マイルも離れた南カリフォルニアまで車両を運ばなければならないことも判明しました。

車内が狭すぎる!

クルーク署長は、モデル3の後部座席が「囚人1人分のスペースしかない」とし、複数の容疑者を同時に隔離することができないという問題に直面していると語っています。

また、警官が着用する装備ベルトは上半身に重量と体積が多くかかるため、モデル3の細身の運転席への出入りが難しいという問題も判明したのことです。

テスラのパロアルト本社のすぐ近くにあるメンロパーク警察署でも、同じ不満が挙がってきています。

こちらの警察署ではもっと広く大きいモデルY クロスオーバーを使用しているのですが、前席と後席を分ける仕切りを追加すると、センターコンソールと警察用コンピューターがある前方のスペースが減少してしまったそうです。SFGateの調査によると、「警官たちは、狭い車内のせいで装備ベルトと防弾ベストが助手席に突き出て、ほぼ使用不可能になったと報告しています」とのこと。

結局警察車両としては使えなかった...

クルーク署長はモデル3の改造完了まであと6カ月も待たなければならない状況ですが、このような理由から車両は実務にまったく向かないため、警察車両として活躍はぜずに、事務職員が使うことになるそうです。事務職員用の車両に15万ドルを費やすことになってしまったわけですが、納税している市民はどんな気持ちになるんでしょうか。

フォートブラッグにある警察署の場合、サーベンカ警察署長がEV愛好家で、テスラではなくフォードF-150ライトニングを選択しています。この車両はガソリン駆動のF-150とほぼ同じデザインで、警察署でよく見られるタイプです。署長によると、電動版は内燃機関版と似ているため部品の入手も難しくなく、その部品を扱う整備士も見つけるのが簡単だとのこと。一方、テスラは簡単に改造できず、テスラ認定の技術者でないと修理できないので、その間使用不能になることが多いとの懸念があったと署長は述べています。

サーベンカ署長は、フォードF-150のデザインは、テスラのモデル3やYよりも警察の仕事に適していると述べています。特に車高の高さは縁石を乗り越えたりオフロード走行をしたりする際に重要で、テスラは車高が低すぎるのです。特にF-150は、警察の装備や自転車、その他の道具を収納できるトラックベッドもあるので、やっぱり警察車両としては理想的なスタイルなんですね。

まぁ、一般市民でさえEVについてはいろいろと不満を持っていて、そのニーズに応える選択肢が十分にないので、警察も同じように不満を持つのは当たり前ともいえるかもしれませんね。

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