[10.18 J1第34節 川崎F 1-1 G大阪 U等々力]

 今季限りでの退任発表後最初の試合で、白星を飾ることはできなかった。それでも川崎フロンターレの鬼木達監督はいつも通りに試合後の会見に臨んだ。選手たちには「特別、自分のためにがんばるとかそういうのはいらない」と伝えていたという。

 16日に公式サイト上で今季限りでの退任を発表。2017年から指揮を執り、2度のリーグ連覇をはじめ、主要7タイトル獲得で黄金時代を築いた。だが、今季は2年ぶり2度目の無冠が決定。そして、鬼木監督の今季限りでの退任も決まった。

 サポーターからの声には感謝を口にした。「試合前から名前を呼んでもらって感謝している。個人としてはうれしい思いでピッチを眺めていた」(鬼木監督)。それでも退任は試合には関係ない。「いろんな思いはあるが、勝つことに集中することは、今までもこれからも変わらない。その姿勢は選手たちに伝えている」と力を込めた。

 来季まで続くACLの戦いはあるものの、リーグ戦は残り5試合となった。そのなかで、指揮官は勝負へのこだわりを強調する。「いま勝率が五分になった。昨年は8位で現在10位。中位に甘んじてはいけない。中位に慣れてしまってはいけない。だから勝たないといけないと話した。そこへのこだわりを持たないと成長しないからがんばろうと伝えた」。33試合を終えて11勝11分11敗。自身の退任が決まったなかで、ひとつでも多くの勝利を積み上げる覚悟を見せていた。

(取材・文 石川祐介)