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2024年10月15日、台湾メディアTVBSは、中国本土が「日本の失われた30年」を再現する可能性があると報じた。

記事は、現在の中国本土経済は不動産市場が冷え込み続ける中、自動車市場も低迷気味であり、専門家からは「すでに経済の『日本化』が起こり、金利引き下げの中で市民が債権ではなく貨幣で資産を保有し、民間投資が冷え込む『流動性のわな』に陥っている可能性がある」との見方が出ていると伝えた。

その上で、中国本土が市民の消費を刺激するために利率を断続的に引き下げており、国有大型銀行などの普通預金利率が0.15%にまで低下し、5年定期でも2%を切って1%台に入ったとするとともに、利率が低下しているにも関わらず市民の預金額はますます増えていると指摘した。

そして、中華経済研究院国際経済研究所の戴志言(ダイ・ジーイエン)副研究員が「これは以前に見たデフレの現象と非常に似ていて、消費者は価格がどんどん安くなることを期待して消費を先延ばしにしている。もう一つの問題は、不動産市場が冷え込んで非常に久しいこと。今や不動産収入が家計を支えるのではなく、家を維持するために働かざるを得ない状況で、ポケットマネーはどんどん銀行に吸い取られていく。現状では消費者には購買力はない。この2つの状況を考えれば、金利を非常に低い水準まで引き下げたとしても消費に走る動機にはなりにくい」と分析したことを伝えている。

また、中国当局は普通預金の金利引き下げに加え、既存の住宅ローン金利を0.5%引き下げることも発表し、中国国家統計局の今年1〜8月の全国の新規住宅販売面積は前年同期比で18%、販売件数は同23.6%それぞれ減少する中、金利引下げによって消費者の住宅ローン負担が軽くなると紹介する一方で、台湾・中央大学経済学部の呉大任(ウー・ダーレン)教授が「今回の景気低迷の核心は不動産バブルの崩壊にある。一般家庭が『富の縮小』を感じ、お金を使うことを恐れるようになった。状況を打開するには不動産市場のテコ入れが必須。さもなければ、金利引き下げやより大胆な金融政策に頼ることになるが、消費への波及効果は限定的だろう」と述べたことを伝えた。

記事は、1990年代に始まった不動産バブルの崩壊で市民が消費を恐れるようになった日本の「失われた30年」が再現されるか否かで、中国本土が大きな試練に直面しているようだと評している。(編集・翻訳/川尻)