アタッカー陣で唯一フル出場した三笘。左WB→左シャドーとポジションを変えながらサイドでチャンスを作った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[北中米W杯アジア最終予選]日本 1−1 オーストラリア/10月15日/埼玉スタジアム2002

 大勝が続いたそれまでの戦いから一転、この日の埼玉スタジアムには重苦しい閉塞感が漂った。

 序盤から圧倒的に押し込むも、なかなか決定的なチャンスを作れない。守備を固めるオーストラリアを相手に、どこか得点の匂いがしなかった。

「あれ、おかしいぞ?」

 時間の経過とともに焦りは増え、そんな空気感はより強まるなか、58分に谷口彰悟がクロスへの対処を誤り、痛恨のオウンゴールで先制を許す。

 その後、必死の反撃に出た日本は、76分に途中出場の中村敬斗が、鋭いクロスで逆にオウンゴールを誘発。1−1に追いついたが、勝ち越し点までは奪えず、最終予選開幕からの連勝は3、2次予選から合わせれば9連勝でストップした。

 キャプテンの遠藤航が体調不良で欠場するなか、代わりに腕章を巻いた守田英正は試合後、「サッカーってやっぱり得点で変わってくる。 得点することの重要性を今日の試合で改めて感じた」と口にした。
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 今後、こうしたケースで勝点3を積み上げていくために求められるものは何か。それはやはり、クロスやフィニッシュの質向上であり、攻撃バリエーションの増加だ。

 アタッカー陣で唯一フル出場した三笘薫は、「後ろが固くて高さがあるチームに対して、単調なクロスになった。効果的な崩しが少なかったのでそこは課題」と伝え、相手のブロックに阻まれた自身のシュートに関しては「あそこで当てているようじゃまだまだ。冷静さが必要」と改善を誓った。

 そしてOBである李忠成氏は、Xで「日本のラストピースはミドルシュートかな」と発信した。

 ただ、後輩たちのパフォーマンス全体には非常に満足しているようで、「欲張りすぎか。サッカーうますぎ。最高だ」「左に右に日本のサイド攻撃はワクワクでしかない。お金払って生で見る価値が十二分にある。引き分けだけどお腹一杯、心も満たされちゃってる。良くないなぁ!まだ予選突破した訳じゃないから最後まで気を緩めず応援しようと」も綴った。

 個人的にも確かに、ミドルシュートを放つ回数自体を少なく感じした。だからこそ、71分に田中碧が距離のある位置から思い切って右足を振り抜いた際、埼スタがより沸いたようにも思える。

 森保ジャパンがいくつかある“ラストピース”の1つ、ミドルシュートを突き詰め、武器とできれば、世界に誇るサイド攻撃の脅威はさらに増すはずだ。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)