業界人が語る「見たい/見たくない」秋ドラマ6選。「魅力が発揮されていない」主演女優も
続いて、サスペンスドラマを中心に担当するフリーの30代女性プロデューサー・B氏にも見たい作品と見たくない作品を聞いた。
「期待しているのは、主演が藤原竜也さん、バディ役を広瀬アリスさんが務める『全領域異常解決室』(フジテレビ系、水曜午後10時〜)ですね。
神隠し、シャドーマン、キツネツキといった“超常現象”が絡んだ事件を解決していく新感覚ミステリードラマで、圧倒的な知識や記憶力、洞察力を兼ね備えた天才役を演じる藤原竜也さんがとにかく魅力的で彼の新しいハマり役になりそうな予感がします。常人ではない役どころを演じさせたらピカイチですよね。
盛り上がり次第では「映画化もあり得るのでは?」と語る新感覚ミステリーを推す一方で、B氏が「見たくない」と不安視する作品は?
◆シリアスな展開を描けるか疑問が残る『ライオンの隠れ家』
「期待外れに終わってしまいそうなのは、10月11日からスタートする柳楽優弥さん主演の『ライオンの隠れ家』(TBS系、金曜午後10時〜)ですね。
同作は、自閉スペクトラム症の弟と暮らす主人公の元に、突如“ライオン”と名乗る少年が現れ、預かることになり……といったところから始まるヒューマンサスペンス。
柳楽優弥さんや坂東龍汰さんといった俳優陣の演技力は目を見張るものがあるのですが、『おっさんずラブ』シリーズ(テレビ朝日系)や『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)のヒットで知られる徳尾浩司さんの脚本がやや不安要素です。
軽快なタッチやセリフのうまさは認めるところですが、『恋はDeepに』(日本テレビ系)や『unknown』(テレビ朝日系)ではストーリーが入り組みすぎたり、強引なオチになったりする傾向が見られました。なので、同作もプロデューサーや制作陣がうまくバランスを取ってくれないと、序盤で視聴者が離れる可能性がありますね」
高視聴率作品も多いTBSの金曜10時枠だけに、ストーリーの面白さが明暗を分けそうだ。
◆海外方式のライターチームが手掛ける『3000万』
また、恋愛映画やネットドラマを手掛ける30代の若手脚本家・C氏が脚本家目線で語ってくれた。
「一番注目しているのは、安達祐実さんが主演を務める『3000万』(NHK、土曜午後10時〜)です。あることをきっかけに現金3000万円を手にした家族の波乱万丈な顛末を描いていくのですが、全く先の読めない展開になっており、近年稀にみるハラハラするドラマです。
同作は、NHKが立ち上げた脚本開発に特化したライター集団に所属する4人の脚本家による共作だそうで、海外では主流の共同脚本を採用しているチャレンジングなところも面白い点です。
どうしても設定がうまい、セリフがうまい、キャラクター像を作るのがうまいなど、脚本家によって長所と短所はあるので、そこを補い合えているドラマだと感じます。最終回まで楽しみです」
◆要素を詰め込みすぎた『3年C組は不倫してます。』
C氏は序盤話で脱落してしまい、「もう見ない」と決めたドラマも教えてくれた。
「深夜枠の『3年C組は不倫してます。』(日本テレビ系、火曜深夜0時24分〜)は2話で見るのをやめてしまいました……。
“18歳成人”の実施に伴い、親の同意なく結婚できるようになった高校生たちによる学園ものと不倫サスペンスを掛け合わせた作品ですが、とにかく要素が多すぎる。何を楽しんでよいのか分からないです。
キュンとする初恋シーンもあれば、高校生同士の不倫やパパ活などのドロドロしたシーン、ミステリー的な展開もあり、頭が混乱しましたね。とにかくヒットするジャンルを詰め込みすぎた印象で、深く感情移入できなかったです。若い視聴者には刺さるのかもしれませんが……」
ここまで、事前情報や序盤回を見た時点での業界人が推す作品と評価の低い作品を挙げてきたが、テレビドラマは見てみないと分からないモノ――。業界人の声を参考にしつつ、できれば自分の目で見るべきか否かを判断してほしい。
<ライター/木田トウセイ>
【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。