意外と知らない?iPhoneバッテリーの"劣化具合"
iPhoneのバッテリーの劣化具合は、いつでも確認できる(筆者撮影)
iPhoneを使っていると、バッテリーの残量は非常に気になる。1年経ったぐらいから「少し減りが早くなったかな?」という気がしはじめて、3〜4年も経つと「電池の減りがすごく早い」「1日持たない」と感じるだろう。
バッテリーの減りが早いと感じたら、設定>バッテリー>バッテリーの状態をチェックしよう。新品状態からどのぐらいバッテリーが劣化したかを知ることができる。バッテリーのコンディションを把握するためにも、中古iPhoneを買う時にも重要となるチェックポイントだ。
なお、アップルケア+に入っていれば、最大容量が80%を切るまで劣化すると、無償でバッテリーを交換してもらえる。
あなたのiPhoneの状態は?
バッテリーというのは化学反応で蓄電する。電解質の中でリチウムイオンが移動することで、蓄電と放電を繰り返すのだが、使っていくうちに電極や電解質が劣化し、新品時よりも蓄電能力が低下する。この低下度合いを示しているのが“バッテリーの状態”だ。
iPhoneの設定アプリを開いて、設定>バッテリー>バッテリーの状態でバッテリーの状態を確認できる。80%を切っていると、かなり劣化した感じがするはずだ(筆者撮影)
みなさんのiPhoneは何%になっているだろうか?
新品であれば100%と表示されるはずだし、1年ほど使ったならば95〜85%ぐらいに下がっているのではないだろうか。これが80%ぐらいになると、かなり早くバッテリーが減るように感じる。
仕事柄、劣化は気にせずがんがん使う筆者のiPhone 15 Proは、約1年で89%に。猛暑の中、使いながら充電したりしていたのはよくなかったと思う(筆者撮影)
計算してみるとわかるように、性能が80%に低下したバッテリーでは、新品のときの容量の64%分を消費すると表示上80%バッテリーを消費する(つまり残量20%になる)。この違いは大きい。これまでより早く残量表示が赤に変わるから、劣化を肌で感じやすい。
バッテリーをいたわる設定がある
バッテリーの劣化は仕方ないことだが、劣化が進む速度を抑えることはできる。一番簡単なのは、最大充電容量を下げることだ。
満充電にすればするほどバッテリーは劣化する。そこで、最大充電容量を最初から80〜95%に下げる設定をして利用する。人間でいえば腹八分目みたいなもので、満腹にしないほうがヘルシーというわけだ。
この設定は、設定>バッテリー>充電>充電上限で行う。
普段は80%に設定しておいて、終日充電するチャンスがない場所に出掛ける時だけ100%充電にする……というような利用も効果的だ。
『設定>バッテリー>充電』で、バッテリーをいたわる設定にすることができる。普段は80%までしか充電せず、終日出掛ける時だけ100%充電をする……というような使い方がおすすめ(筆者撮影)
また、ほぼ100%の状態なのに充電器につないでおくとちょっと減るたびに注ぎ足し充電されて、これもバッテリーを痛める。
これは、設定>バッテリー>充電>バッテリー充電の最適化をオンにすることで、防げる。この設定にすると充電タイミングはiPhoneが判断するので、十分残量があるときに充電ケーブルに繋いでも充電が始まらないことがある。
バッテリーに熱は大敵
日常使用で熱を持つ使い方が2つある。
1つは、激しい処理を行いながら充電すること。負荷を与えてバッテリーを激しく消費すると、チップセットもバッテリーも熱を持つ。その状態で充電すると、さらに発熱する。
もう1つはMagSafeによる非接触充電だ。非接触充電は、充電器側とiPhone側両方に設けられたコイルの間の電磁誘導で電力を伝えるが、当然ながらロスがあり、その分コイルが発熱する。冬季ならいいが、夏季は冷えず発熱が大きくなる。
夏に重いアプリを動かしながら、MagSafe充電をするなんていうのは最悪だが、図らずもそういう使い方になってしまっていた人も多いのではないか。筆者も暑い中、MagSafeで充電しながら、カーナビとして使ったりゲームをしたりしていた。記事を書きながら反省している。
ESRというメーカーの25W 3-in-1 ワイヤレス充電器は、MagSafe充電の際、CryoBoostというファンで冷却する仕組みを持つ。高速充電時の発熱を抑えられるので、バッテリーを労われる(筆者撮影)
筆者は仕事柄、毎年iPhoneを買い替えるのでバッテリーの劣化は気にしないが、長持ちさせたいと考えている人は、上記の点に注意して運用しよう。
Apple Care+に入っていれば、80%以下で無償交換
筆者が、バッテリーの劣化に気を遣わない理由はもう1つある。
Apple Care+に入っているからだ。Apple Care+では、加入中にバッテリー性能が劣化し、80%を下回ると無償でバッテリー交換してもらえる。Apple Care+は3年目までカバーできるので、その間にバッテリーの状態が80%以下になれば、バッテリーを交換してもらえばいいのだ。
ちなみに純正のバッテリーはアップルの正規サービスプロバイダにしか流通していない。街の非正規のiPhone修理店は、非正規のコピー品のバッテリーで修理を行う。バッテリーは価格によって性能が大きく左右される部品なので、社外品のバッテリーを使うと、大きく性能が低下するし、膨れ上がったり、最悪の場合燃える可能性もあることを覚えておこう。
一度でも非正規の修理店で修理したiPhoneは、正規サービスプロバイダで修理を受け付けてもらえない。購入時価格や残存価値にもよるが、iPhoneは可能な限り正規サービスプロバイダで修理を受けるようにしよう。
(村上 タクタ : 編集者・ライター)