2024年9月27日、リンキン・パークはアジアのメディアに向けて、Zoomでのオンライン記者会見を開催した。

【写真ギャラリー】FROM ZERO WORLD TOUR 2024(韓国・ソウル公演)

リンキン・パークは9月6日、7年ぶりに再始動することを発表したばかり。2017年にチェスター・ベニントンが亡くなって以降、バンドとしての活動は休止していたが、マイク・シノダ、ブラッド・デルソン、デイヴ・”フェニックス”・ファレル、ジョー・ハーンに加えて、新メンバーとして、元Dead Saraのエミリー・アームストロング(ボーカル)、プロデューサーでもあるコリン・ブリテン(ドラムス)を迎えることで再始動となった。すでに新曲「The Emptiness Machine」「Heavy Is the Crown」の2曲がリリースされており、11月15日には8枚目となるスタジオ・アルバム『From Zero』のリリースが控えている。

9月11日からは、ロサンゼルスを皮切りに、世界6都市を回るアリーナ・ツアー、FROM ZERO WORLD TOUR 2024が始まっており、この記者会見は9月28日の韓国・ソウル公演の前日に行われた。数多くのメディアから寄せられた質問をMCがメンバーに聞く形で、45分間に渡る記者会見は進められた。


リンキン・パーク(Photo by James Minchin)

最初にメンバーに投げかけられたのは、リンキン・パークが自分にとって何を意味し、何を象徴するのかという質問だった。最初にフェニックスが「音楽は若い頃から好きでやってきたことだから、仕事とかキャリアとか思ったことはない」と答えると、エミリーは「レガシーだし、世界にとって重要なバンド。音楽は長い間やってきたけれど、私にとっては最高の変化。毎日ワクワクしてるし、バンドとファンの未来に対してもワクワクしてる」と答える。ジョーは「もし人生の別の時期に同じ質問をされてたら、答は変わってた」と答え、コリンは「この人たちは自分の人生にクリエイティブな面でも、個人的な面でも、多大な影響を与えてくれた。最高にクリエイティブなアウトレットだし、新しいビジョンを持ってる。自分が少しでも関われるのはありがたいことだ」と話す。ブラッドは「友達と音楽を一緒に作ることができる喜びと、自分以上の大きなものに貢献できることだね。みんなと音楽を一緒にやれることが光栄なんだ」と話し、マイクは「このメンバーで初めてツアーに出てみて、新しい感覚だし、楽しいし、パワーをもらえてるし、上手くいってるし、ライブをやるたびにさらに楽しみになってきてる。ゼロから何かを生み出すのが楽しいし、それをこのメンバーと一緒にやれるのが楽しい」と、新生リンキン・パークに対する思いを語る。

二人の新メンバーに対しては、リンキン・パークのメンバーになったこと、バンドのレガシーやファンからの期待を背負うことについての質問が行く。エミリーは「こんなにラッキーなことって、どうやって起こったのだろうと思ってしまう。実際、これは一生に一度のチャンスだから。少しも当たり前のことだと思ってないし、一生懸命努力をしてる。しかもどんどん良くなるばかりだし、来年はさらに良くなるから」と答え、5人兄弟の最年長だというコリンは、「いまだに実感がないよ。メンバーが僕にとって兄のような存在になった」と話し、「メンバーとの曲作り、プロデュース、ビデオ制作、アート制作、ファンへの思いやり、アートフォームにおける純粋さ、そのどれもがインスピレーションに溢れてる」と続ける。

映像やアートワークも担当するジョーは、再始動に当たって何を思ったのかと聞かれると、「いろんなことを思ったよ。ただ、一番大切なのは音楽を作って、それを楽しむことだ。いろんなタイプの音楽でエクスペリメントをしたよ。それがコリンとエミリーが入ることで、コンビネーションは完結したんだ。重要なのは、僕たちのダイナミズムを新しくフレッシュな方法で追求するのは、刺激的だったということだ。アルバムのプレゼンテーションやアートワークについても話したし、自分たちの意図や感情、クリエイティビティをどのように形にするのかも考えた。ワーナーのフランク・マドックスにしても『Hybrid Theory』以来の付き合いで、アートに関しては彼もメンバーみたいなものだ。みんなと一緒にやるのが本当に楽しいし、みんながお互いにチャレンジもしてる。すべてを通じてごくごく自然な形で高められたんだ。今はツアーが始まって、次のステップに向かってるよ」と答える。

11月15日にリリースとなるアルバム『From Zero』については、ジョーは「最高のアルバムだ」と一言。マイクは、「このアルバムの好きなところは、リンキン・パークのアルバムらしいところだ。特定の時代のリンキン・パークじゃなくてね。エネルギーに満ちたアルバムで、ギターがリードする曲もあれば、メロディックな曲もあって、バラエティ豊かなんだ。先行の2曲が良い例だよ」と答える。

フェニックスに対しては、今の時代のリスナーの音楽の聴き方が変わったことで、音楽作りに何か影響があったのかという質問が行く。「まずは自分たちがやってることにワクワクできることが重要だ。クリエイティブな意味でも、音楽的にも、目標を定めるのは好きじゃない。僕たち6人が音楽にワクワクできて、今起きてることに情熱を感じることができれば、他の人たちも賛同できると思うんだ。アルバムを制作中の僕たちは、世界から離れたクリエイティブな殻の中に入ることができた。僕たちはともに制作をし、情熱を感じるものを見つけ、何にワクワクするのかを探求した。そして今は新しい音楽がリリースされるという素晴らしい段階にいる。一周した感じがあるし、再びファンとつながって、今一度みんなと経験を共有できるのは特別なことだ」とフェニックス。

ニュー・アルバムについては、さらに、ライブでやると最もワクワクする曲は何かという質問が出てくる。

エミリーは「Two Faced」「Casualty」「Overflow」の3曲を選び、ジョーは「A Place for My Head Part 2」「Two Steps Closer」とジョークを言いつつも、「ツアーではアルバム全曲をプレイしたい」と答える。

もしもタイムマシンで2000年の『Hybrid Theory』の発売日に戻れるとしたら、何をするのか?

ブラッドは「みんなに大きなハグをしたい」と答え、マイクは「次の街に向かうドライブの時、心配するなって自分たちに言いたい」と答える。自分たちのCDを発売日当日に買うために、次の街のタワーレコードに向かっていたのだが、営業時間に間に合わなさそうだったという。でもタワーレコードはバンドのために店を開けてくれたのだ。フェニックスは「オーバーサイズのパンツを手放さないように言いたいね。また流行るから」とジョーク。エミリーは「2000年は大きなインスピレーションをもらえた年。あのアルバムは私の人生を変えたから。これが私がやりたいことだと思えた」と話し、コリンは「当時好きだった女の子にリンキン・パークを教えてもらったんだ。あのアルバムと『Meteora』を聴いて、僕は音楽制作をやろうと決めた」と話し、二人にとっての2000年も重要な年だったようだ。

再始動する時が来たと思った瞬間はあるかという質問に対しては、マイクは「ただそうなっただけだ。僕たちみんなが集まったのは意図したことだ。でも、「ヘイ、リンキン・パークをまたやろう」という感じではなくて、「僕たちの好きな音楽をやろう」という感じだった」と、再始動はあくまでも自然な流れであったことを伝える。そこから、「今の若い人で音楽をハンバーガーとか服のような商品としてとらえてる人もいるけれど、音楽とは、アイデアのひらめきを追い求めて形にすることだから」と付け加えたのも印象的だった。

11月15日に出るニュー・アルバム、それに続くワールド・ツアーなど、今後の活動にも注目である。


LINKIN PARK『FROM ZERO』 
2024年11月15日配信リリース
リンク:https://bit.ly/LP_FZ_JP
*CD(輸入盤・日本盤)は後日詳細発表予定

『FROM ZERO』収録曲
1. From Zero (Intro)
2. The Emptiness Machine
3. Cut The Bridge
4. Heavy Is The Crown
5. Over Each Other
6. Casualty
7. Overflow
8. Two Faced
9. Stained
10. IGYEIH
11. Good Things Go