就寝時の枕元には、朝起きてすぐ確認したいスマートフォンと充電器、習慣的に身に付けている時計やアクセサリー、目覚まし用の時計など、さまざまなものを設置している人も多いはず。ソフトウェアエンジニアのファティ・アルスラン氏は、枕元のアイテムをすっきりさせつつオシャレにまとめるアイテムとして、有名アーティストなどから着想を得た3Dプリンター製iPhoneドックの制作過程を公開しています。

How I Designed a Dieter Rams inspired iPhone Dock

https://arslan.io/2024/09/23/dieter-rams-inspired-iphone-dock/

以下は、アルスラン氏のベッドサイドテーブル。スマートフォンを充電するワイヤレス充電器と、時間を確認するための卓上時計のほか、補聴器や時計、ペンなどが落ちないように保護するトレイが置かれています。



これに加えて、アルスラン氏は「DN40」というアイテムを長年求めており、それをベッドサイドテーブルに置く場合、ものが多く雑然としてしまう懸念を感じていたそうです。DN40とは、ドイツの時計ブランドであるBRAUN(ブラウン)が1976年に発売したデジタル時計。DN40のデザイナーのひとりであるディーター・ラムス氏は、iMacやiPod、iPhoneをデザインしたAppleのジョナサン・アイブ氏に影響を与えているとも言われており、DN40の派生デザインは現代でもリリースされています。以下は、アルスラン氏が示したDN40のカタログ。



DN40のスタイリッシュさを取り入れつつ、枕元をすっきりさせる方法として、アルスラン氏は以下のムービーからインスパイアを得たとのこと。以下は、さまざまなアイテムのデザインやアイデアのメイキング動画を投稿するスコット・ユー・ジャン氏による、「iPhoneスタンバイドック」のメイキングムービー。iOS 17から新しく登場した、iPhoneをロック状態で横向きにして充電すると自動的に時計やウィジェットなどが表示される「スタンバイ」モードを活用して、「iPhoneを充電しながら時計として使う」というアイデアです。

Making an iPhone Standby Mode Dock ft. OVERWERK - YouTube

以下がジャン氏の作成したiPhoneドックで、ドックにiPhoneのMagSafe充電器を組み込むことで、スマートフォンを磁石で簡単に固定しつつ、スタンバイモードのまま充電しながら時計として使うことができるという仕組み。



アルスラン氏はジャン氏やその他のDN40からインスピレーションを得たデザインを参照しながら、「よりスマートにまとめる」「MagSafe充電器を再利用可能な形で組み込む(接着剤で固定しない)」「他のものを自由に置けるトレイも必要」という3点を解決する構想をしていました。

そこで、次にアルスラン氏が着目したのは、BRAUNがDN40のクラシックなデザインを踏襲しつつ、現代のユーザー向けにスリム化したBC21です。BC21は、卓上時計の設置部分がすべり止め付きでトレイのように広くなっており、そこにスマーフォンを設置してワイヤレス充電も可能になっています。



iPhoneのスタンバイモードを用いるというジャン氏のアイデアと、時計の後ろにスマートフォン設置スペースを作ったBC21のデザインからインスピレーションを得て、アルスラン氏は「時計、充電器、トレイを1つにまとめる」というデザインをひらめきました。以下が最初に作成したプロトタイプ版で、MagSafe充電器を組み込んだL字状のiPhoneスタンドの後ろ側に、手元にあった革製のトレイがすっぽりハマるスペースが作られています。



プロトタイプから派生して、より見栄えも意識してデザインされた設計が以下。スタンド部分はiPhoneケースのようにスッポリ挟まるようになっており、トレー部分も合わせてiPhoneの丸っこい角の形状に合わせた統一感を意識したものとなっています。



以下は、アルスラン氏がXに投稿した完成デザイン。



時計として使わない際は、iPhoneを後ろから押すようにすると簡単に外れます。



そこからさらに友人からも感想やアイデアを募り、より丸みのあるデザインと、より派手なカラーを採用しています。アルスラン氏によると、1960年代から80年代の家電デザインを集めた書籍「Soft Electronics」およびBRAUNが1976年に発売したドライヤーのカラーをオマージュして、明るいオレンジに決めたそうです。



アルスラン氏が設計したiPhoneドックは、3Dプリンター用の3MFファイルがデジタルコンテンツ販売サイトのGumroadで配布されています。価格は「0ドル以上」で設定されているため、無料でダウンロード可能。なお、ドックはiPhone 16 Pro向けに作られており、iPhone 14 ProおよびiPhone 15 Proとは互換性があるとのことですが、その他のモデルでは推奨されていません。

Vintage inspired iPhone StandBy Dock