世界最高峰のアンサンブルを奏でる、木管五重奏団「アンサンブル・ウィーン=ベルリン」の来日公演が開催
2024年10月4日(金)紀尾井ホールにて、ウィーン・フィル、ウィーン響、そしてベルリン・フィルの首席奏者が集い、世界最高峰のアンサンブルを奏でる木管五重奏団「アンサンブル・ウィーン=ベルリン」の来日公演が開催されることがわかった。
アンサンブル・ウィーン=ベルリンは、1983年にウィーン・フィルとベルリン・フィルから集う桁外れのソリスト5人、シュルツ(Fl. ウィーン・フィル)、シェレンベルガー(Ob. ベルリン・フィル)、ライスター(Cl. ベルリン・フィル)、トルコヴィッチ(Fg. ウィーン響)、ヘーグナー(Hr.ウィーン・フィル) によって設立され、「スーパーアンサンブルの誕生」と熱狂的な喝采をもって世界中の音楽界から迎えられた。その誕生以来、メンバーを徐々に変更しながら世界的な活躍を続けてきたが、2013年に30周年を迎えたのを機に、ザルツブルク音楽祭、ウィーン、ベルリンでの演奏をもって、最後の創立メンバーであったシェレンベルガーが引退し、一つの時代に終わりを告げた。
その後、完全に若返る形で、新生アンサンブル・ウィーン=ベルリンとして新たな船出をした。2015年、17年、19年と日本ツアーを行い、会場には若い聴衆も詰め掛け、いずれも大成功を収めた。新しい感性と卓越したテクニックで、これまでにないさらなるレパートリーの拡大にも力を注ぎ、木管五重奏の新境地を開拓し続けている。2022年5月にクラリネット奏者が代わり、グループとしてのさらなる飛躍が期待されている。
アンサンブル・ウィーン=ベルリンは現在のメンバーも歴代の名手たちと肩を並べる現代最高峰のプレイヤーが集結している。カール=ハインツ・シュッツは、カール・ニールセン国際フルート・コンクール等で優勝、ウィーン交響楽団首席フルート奏者等を歴任してきた。そして現在はウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席ソロ・フルート奏者、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ソロ・フルート奏者を務めている。
カール=ハインツ・シュッツ(フルート/ウィーン・フィル首席) (C)T.Tairadate
ジョナサン・ケリーは、バーミンガム市交響楽団首席オーボエ奏者を10年間務めた後、2003年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席オーボエ奏者に就任した。ソリストとして定期的にベルリン・バロック・ゾリステンと共演を続け、CDの録音も積極的に行っている。
ジョナサン・ケリー(オーボエ/ベルリン・フィル首席)
ゲラルド・パッヒンガーは、1987年10月よりウィーン交響楽団首席クラリネット奏者を務めており、室内楽奏者としてもウィーン木管アンサンブル、ウィーン木管五重奏団、ウィーン室内合奏団のメンバーを務めるなど多岐にわたる活躍を見せている。
ゲラルド・パッヒンガー(クラリネット/ウィーン響首席)
ファゴットのリヒャルト・ガラーは、1987年9月よりウィーン交響楽団の首席奏者を務めているほか、2010年よりウィーン室内合奏団のメンバーとなった。ソリストとしても世界各地で活躍している。
リヒャルト・ガラー(ファゴット/ウィーン響首席)
そして、シュテファン・ドールは、1985年フランクフルト・オペラ管弦楽団の首席ホルン奏者に就任、2年後にはバイロイト音楽祭管弦楽団、その後ニース・フィルハーモニック管弦楽団、ベルリン放送交響楽団にて首席を歴任し、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団には1993年より首席ホルン奏者として就任、名実ともに世界最高峰のホルン奏者だ。
シュテファン・ドール(ホルン/ベルリン・フィル首席) (C)Simon Pauly
今回の公演で披露するプログラムは、木管アンサンブル・ファンならきっと聴きたい珠玉の名曲集。冒頭はモーツァルトのセレナード第12番。「ナハトムジーク(夜の音楽)」と名称を冠したこの分野唯一の短調作品で、重く暗い冒頭は異例ともいえる。同じく管楽器のために書かれた大曲セレナード第10番「グラン・パルティータ」と対をなす人気曲。続いて、ハンガリーの作曲家でクラリネット奏者でもあったセレヴァーンスキの木管五重奏曲第1番、ヤナーチェクのもとで研鑽を積んだユダヤ系チェコ人の作曲家ハースの木管五重奏曲をおくる。ともに20世紀に生まれた管楽アンサンブル作品だ。そしてコンサートの最後に演奏するのは、ドヴォルザーク作品の中でも特に親しまれている室内楽作品である弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」の木管五重奏版。ボヘミア風の魅力的な旋律が特徴的なドヴォルザークのアメリカ時代の代表曲の一つが、木管五重奏でどのような響きになるのか、期待しよう。
長い活動の中で、徐々にメンバー変更を繰り返し、その時々のトップ・メンバーが集い、高水準の演奏を続けてきたアンサンブル・ウィーン=ベルリン。現在のメンバーが紡ぐハーモニーを会場で体験してみてはいかがだろうか。