ソフトバンクグループは、NVIDIAと競合するAIチップの製造計画「プロジェクト・イザナギ」を進めており、この高性能AIチップ製造に向けてIntelとパートナーシップ協定を結ぶための交渉を行っていましたが、最終的にこの交渉が決裂したと報じられています。

SoftBank discussed AI chips tie-up with Intel to rival Nvidia

https://www.ft.com/content/6b7fd8a1-7f9c-427b-8467-f911f5f0d520



SoftBank's Intel AI processor plans in doubt as insiders say it is now considering a TSMC partnership | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/softbanks-intel-ai-processor-plans-in-doubt-as-insiders-say-it-is-now-considering-a-tsmc-partnership

Intel-SoftBank tie-up for AI chips is dead, for now: Report | Fierce Electronics

https://www.fierceelectronics.com/ai/intel-softbank-tie-ai-chips-dead-now-report

ソフトバンクグループ創設者の孫正義氏が提唱する「プロジェクト・イザナギ」とは、データセンター向けGPU市場でほぼ100%のシェアを握っているNVIDIAの牙城を崩すべく、グループ傘下の半導体企業であるArmを補完するようなAI半導体ベンチャーを設立して独自のAIチップを開発するというもの。実際にソフトバンクグループは2024年7月11日にイギリスのAIチップメーカー「Graphcore」を買収しています。

ソフトバンクがイギリスのAIチップメーカー「Graphcore」を買収 - GIGAZINE



海外メディアのFinancial Timesによると、AIチップの製造に向けてソフトバンクはIntelとのパートナーシップ協定の締結に向けた交渉を実施していたとのこと。しかし、ソフトバンク側が提示したAIチップの生産速度と生産量に関する要件を満たすことが困難なことから交渉は決裂したとされています。

Financial TimesはIntelとのパートナーシップの背景について「ソフトバンクが『Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors and Science Act(CHIPS法)』において多額の資金を提供されたIntelの潤沢な資金を活用するため」と推測しています。CHIPS法とは、地政学的リスクや半導体不足によるサプライチェーン寸断に備え、アメリカ国内での半導体製造企業に対して財政支援を行うもので、これまでにアメリカ政府は半導体製造能力向上のためにIntelに対し約3兆円規模の資金提供を実施しています。

アメリカ政府がIntelに対する約3兆円の資金提供を発表 - GIGAZINE



Financial Timesによると、Intelとのパートナーシップ協定の交渉が決裂したソフトバンクは続いて台湾の半導体製造企業であるTSMCとの協議に注力しているとのこと。しかし、関係者によるとTSMCはNVIDIAを含む既存の顧客からの需要を満たすのに苦労しているため、ソフトバンクとの合意には至っていないそうです。

なお、今回の報道に対しソフトバンクやIntel、TSMCなどはコメントしていません。