子どもも大人も心が浮き立つ、筋書きのないその日限りのノンストップ・エンタメショー!~ブルーマングループ、ジャパンツアーが開幕
ロック・アート・コメディを融合したショー「ブルーマングループ」のジャパンツアーが今夏開幕。2024年8月7日(水)~9月1日(日)まで、東京・新宿シアターミラノ座で上演されている。東京公演後は9月4日(水)~8日(日)に、大阪・オリックス劇場、9月13日(金)~16日(月・祝)は、愛知・愛知県芸術劇場へと展開していく。新宿歌舞伎町のど真ん中にある、新宿シアターミラノ座で行われたゲネプロの様子をレポートする。
3人の青い男たちが、言葉を使わずに繰り広げるショーは、90分のノンストップで展開。年齢や性別、国や文化も超え、全世界で5000万人以上を魅了してきた。
会場に入ると、前方のセンターブロックにいる観客がポンチョを着てスタンバイしている。聞くと、ステージから飛んで来るペイントなどを防ぐためだという。一抹の不安を抱えながら、開演を待つ。スリリングなショーは、開演時刻よりも前にすでに始まっていた。
ステージの両サイドに設置されたサインボードに、掲示された注意事項。スマートフォンの使用についてのアナウンスなど、目にしたことがある内容が終わると、「劇場内での自炊」はNG。「国家機密を漏洩することも固くお断りいたします」など様子がおかしい。
突然「ご注目下さい」という文字に切り替わると、2012年のロンドン五輪でメダルを獲得したメダリストや、作家、振付師など、この日来場していた著名人をエピソードとともに紹介。ステージに誰ひとり上がっていない状況で、観客は「金メダルおめでとう!」「お誕生日おめでとう!」と声をそろえた。不思議な時間が客席を一体にしていく。
青く染められたステージに、3人のブルーマンのシルエットが映し出された。浮遊感がある音を奏でながら、客席を青の世界に誘っていく。青い世界に足を踏み入れたが最後。観客はもう戻れない。
スティックやへらを使って、パイプをたたくパフォーマンスでは、ベートーベンの「エリーゼのために」を演奏し観客を圧倒。口いっぱいにスナック菓子をほおばった場面では、〝咀嚼音〟を三者三様に表現するなど、常識にとらわれない、振り切ったパフォーマンスで度肝を抜いた。
90分のショーの中で、ブルーマンはたびたび客席に降りる。観客として来場した人の手を取ると、そのまま舞台に連れ去り、突然出演者にしてしまう。最初はニコニコ笑っていた観客も、繰り返される〝喜劇〟に戦々恐々。目を合わせまいと、ビクビクしながら青い男たちの様子をうかがっている。
筋書きのない、その日だけのショーは、二度と経験できないもの。終盤にはスプレーで絵を描くように、客席一面に紙テープが投げ込み、ステージと観客の境もなくしてしまった。子どもはもちろん、大人も心が浮き立つような唯一無二のショーを、ぜひ今夏、全身で体験してほしい!
取材・文=翡翠 撮影=引地信彦